『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は「第二期名人戦」中国予選大会で優勝したテートクさんのインタビューをお届けします。
◆はじめに
みなさん、こんにちは! 『FF-TCG』プレイヤーのたるほです。
「第2期名人戦」近畿大会に引き続き、「第2期名人戦」中国予選に参加してきました。
自信満々のデッキで「土風を倒すぞ」と思って挑んだのですが、結果は3勝2敗。しかも2敗は「土風」戦でした。まだまだ精進が足りません。
残る予選は2月3日の北信越予選と2月10日の東京予選の2回なので「名人位決定戦」の出場権利を獲得すべくラストスパートをかけていきたいと思います。
ここでは、この「第2期名人戦」中国予選で見事優勝されたテートクさんにインタビューし、「風単」誕生の秘密について聞いてきましたのでその模様をお伝えします。
広島のプレイヤー。
プレイヤーとしてだけでなくカードショップの店員としてもカードゲームを盛り上げて活躍している。
『FF』シリーズは『FFI』のころから親しんでいて、お気に入りのタイトルは『FFIX』。
デッキを組む時は主役を決めて組むスタイルで「Opus VII」でお気に入りのカードとなる《チェリンカ》と出逢った。
◆《チェリンカ》への愛が生んだ「風単」誕生秘話
――「第2期名人戦」中国予選優勝おめでとうございます。
テートク:ありがとうございます。
――「風単」での優勝となりましたが、今回このデッキを使うに至った経緯などをお話しいただこうと思います。まずデッキレシピがこちらですね。
風単(「第二期名人戦」中国予選:優勝)
カードNo. | カード名 | 枚数 |
フォワード(24枚) | ||
【1-080H】 | 《バッツ》 | 3 |
【7-135S】 | 《セシル》 | 1 |
【6-044L】 | 《ジタン》 | 3 |
【3-066R】 | 《バルバリシア》 | 3 |
【4-069H】 | 《モーグリ》 | 2 |
【7-046R】 | 《ヴァータ》 | 2 |
【5-068L】 | 《ヤ・シュトラ》 | 3 |
【7-054L】 | 《チェリンカ》 | 3 |
【5-050H】 | 《アデル》 | 1 |
【7-128H】 | 《ユーリィ》 | 3 |
バックアップ(18枚) | ||
【1-083H】 | 《マリア》 | 2 |
【5-051R】 | 《アリア》 | 1 |
【1-064R】 | 《エアリス》 | 3 |
【4-066R】 | 《ノノ》 | 2 |
【7-043C】 | 《アーチェス》 | 2 |
【7-044H】 | 《アルハナーレム》 | 3 |
【1-088C】 | 《弓使い》 | 2 |
【6-047C】 | 《白魔道士》 | 2 |
【3-070C】 | 《予言士》 | 1 |
召喚獣(8枚) | ||
【5-062L】 | 《ディアボロス》 | 3 |
【3-071H】 | 《輪廻王カオス》 | 3 |
【2-049H】 | 《アスラ》 | 2 |
テートク:「Opus VII」が出たときに【7-054L】《チェリンカ》を見て「このカードを使いたい!」と強く思ったのがこのデッキができるきっかけでした。
――【7-054L】《チェリンカ》は現環境の「風単」ではキーになるカードです。強力なカードと認識している人も多いと思いますが、テートクさんはこのカードのどういったところに注目されましたか。
テートク:カードの能力よりも単純にイラストが好きだったというのが一番の理由です(笑)。彼女自身もかわいらしいですし、一緒に描かれているモーグリもかわいくて、このカードを使ってみたいと思わせてくれました。一種の一目ぼれですね(笑)。
――カードの強さよりも、カードの魅力が今回のデッキのスタートになったわけですね。
テートク:デッキを作るときはいつもはじめに「このカードを使いたい」というカードを決めて、それを活躍させられるデッキを組むというのが自分の信条で、今回はこの【7-054L】《チェリンカ》を活かせるデッキということで、まず「土風」を組みました。
――最初は「風単」ではなかったんですね。
テートク:土属性を使うことで【5-075L】《ウォル》で【7-128H】《ユーリィ》にブレイブを与えて攻めることができるようになり、より【7-128H】《ユーリィ》のアビリティが使いやすくなるのではと考えたのですが、調整していくうえで土属性を使う理由がブレイブの付与以外に見当たらず土属性の強みを引き出せないという問題にぶつかってしまいました。
そのとき、一緒に調整をしている友人から「ブレイブを与えたいだけなら「風単」でアクティブにすればいいのではないか」とアドバイスをもらって「風単」にシフトしました。
――風属性のアクティブにする能力で擬似的にブレイブを与えることで「土風」のときのコンセプトを守りつつデッキを単属性化できたわけですね。
テートク:【7-128H】《ユーリィ》も単属性デッキのほうが活躍させる機会が与えやすいので、単属性デッキでデッキパワーがたりるなら、その方面で進めていこうと思いました。
――今回使われた「風単」のデッキリストですが、デッキコンセプトになった【7-054L】《チェリンカ》以外にもこだわりを感じるカードが見受けられる印象です。個々のカードの選定理由をお話しいただけますか。
テートク:まずフォワードですが、デッキのコンセプトである【7-054L】《チェリンカ》【7-128H】《ユーリィ》と「風単」の強みと言える【1-080H】《バッツ》は3枚ずつ採用しました。
【6-044L】《ジタン》は最初は2枚でそのぶん【7-046R】《ヴァータ》を3枚採用していたのですが、「土風」の【4-085H】《ダダルマー》に対してアビリティによって選ばれない【6-044L】《ジタン》をしっかり採用したかったというのと、何より《ジタン》も僕が『FF』シリーズで特に好きなキャラクターの1人なので、使うなら3枚にしようと思って3枚採用に切り替えました。
――【5-068L】《ヤ・シュトラ》や【3-066R】《バルバリシア》の枚数は人によって好みが分かれるカードかと思いますが、このデッキでは共に3枚ずつ採用されています。
テートク:僕は【5-068L】《ヤ・シュトラ》を使うときは基本的に3枚にしたいと思っています。特に「Opus VII」環境では召喚獣が非常に強くなっています。このデッキであれば【7-128H】《ユーリィ》や【6-044L】《ジタン》を守るという役目でも活躍してくれますし、「土風」に対して【6-044L】《ジタン》に加えてもう一種類【4-085H】《ダダルマー》に強いカードが欲しいという理由もあり、3枚投入でいいだろうと考えました。
【3-066R】《バルバリシア》は最初2枚で運用していたんですが、「第2期名人戦」東海大会で入賞されたこじまっちさんのリストに3枚採用されていたのをみて増やしました。「水単」などに対して【1-180R】《ワッカ》などパワーを+1000するバックアップを置かれても【7-054L】《チェリンカ》や【7-044H】《アルハナーレム》などの2000ダメージを与えるカードがあれば無駄にならず活躍が見込めるだろうという考えでした。
――【5-050H】《アデル》は1枚採用ながら特に目を引かれたカードです。どういった経緯でデッキに入ったのでしょう。
テートク:「風単」を使っている中で、「水単」などのフォワードを展開して守りを固めてくるデッキに対してあと1ダメージが押し込めないという状況がよくあったのですが、そういった状況を打開してくれるカードとして採用しました。またヘイストがあることで不意の1ダメージを与えることができ、あまり意識していない相手のダメージ計算を崩せるのも重要なポイントだったかなと思います。
――「風単」にはあまりない動きを与えてくれる1枚だったということですね。
――バックアップも【1-083H】《マリア》に加え、【1-064R】《エアリス》【4-066R】《ノノ》とコストが重いバックアップが多く採用されている印象があります。
テートク:最初のリストでは【1-064R】《エアリス》は採用しておらず、【4-066R】《ノノ》を3枚採用していました。【4-066R】《ノノ》には【7-044H】《アルハナーレム》をアクティブにするという仕事があり、フォワードのアタックに2000ないし3000のダメージを追加できる点でコンセプト段階から採用を決めていて、どうしてもプレイしたいカードなので3枚使おうと考えていました。
【1-064R】《エアリス》は、最初【3-050L】《エアリス》を使って【2-146H】《フースーヤ》や【7-033R】《スノウ》に対抗していこうと考えていたんですが、先程お話ししたこじまっちさんのリストを見て、【4-066R】《ノノ》と同様に【7-044H】《アルハナーレム》をアクティブにすることができて、スペシャルアビリティでフォワードを守ることができるのでデッキで果たすことができる役割が大きいと感じました。そのため【4-066R】《ノノ》の枠を少し譲り【1-064R】《エアリス》を採用しました。
見た目は重く見えるかもしれませんが【1-064R】《エアリス》はバックアップを1枚アクティブにできれば2コスト相当ですのでデッキ内で重めのバックアップは18枚中【1-083H】《マリア》と【4-066R】《ノノ》の4枚ですし、それほどプレイするときにストレスにはなることはありませんでした。
――【5-051R】《アリア》も中々目にすることのないカードですね。
テートク:このカードは「第2期名人戦」近畿予選で2位になられたかわむらさんの「土風」に入っていたのをみてインスピレーションを受けたカードです。【4-066R】《ノノ》を使うにあたって相方となるカードが【7-044H】《アルハナーレム》だけだと【7-054L】《チェリンカ》と【7-128H】《ユーリィ》がいなくなってしまうと、どちらのカードも本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。【7-044H】《アルハナーレム》はアビリティが使えなくなりますし、そうなると【4-066R】《ノノ》でアクティブにしても、CPが余るだけになってしまいます。
そのため、何度でも使えてコストが重すぎず環境に見合ったバックアップはないかと探していたところ、先の大会でかわむらさんが使われていたのをみて感銘を受け、役割の近い【1-083H】《マリア》を1枚減らし採用することにしました。
――【1-088C】《弓使い》【6-047C】《白魔道士》【3-070C】《予言士》は枚数を分散させての採用ですが、この比率はどんな意図で決められたのでしょう。
テートク:このスロットは環境を意識して変わってくる部分なのですが、最初は【1-088C】《弓使い》【3-070C】《予言士》が2枚ずつで【6-047C】《白魔道士》を1枚の形で調整していました。正直当初は【6-047C】《白魔道士》に対してそれほど重要性を感じていなかったのですが、調整のなかで【5-082C】《採掘師》や【6-126R】《レイラ》、【4-133C】《バイキング》、【3-020H】《フェニックス》、【3-078H】《クルル》などブレイクゾーンに関わるギミックが増えたことで【6-047C】《白魔道士》が1枚だけでは対応しきれないなということで枚数を増やしました。
また、上記のカードを使うデッキに対して【1-171H】《ミンウ》が有効なこともあり、このカードが使われるようになるならこのデッキも対策をしなくてはなりません。それで一度【3-070C】《予言士》をあきらめて【1-088C】《弓使い》3枚【6-047C】《白魔道士》2枚の構成にしました。
しかし、調整を重ねるうちに【5-062L】《ディアボロス》、そして3枚に増やした【3-066R】《バルバリシア》のおかげで【1-171H】《ミンウ》を置かれても十分対処ができることがわかり、デッキの動きにあっている【3-070C】《予言士》が1枚戻ってきたという感じです。もちろんこの枠は今後環境がどう動いていくかによって柔軟に変更していける枠だと思います。
――環境の考察が進んだことで今のバランスにたどり着いたんですね。環境ごとに自由に入れ替えられるスペースがあることもデッキの1つの強みと言えそうです。デッキリストに目を戻すと、召喚獣で採用されている【2-049H】《アスラ》が目をひくカードですね。
テートク:やはり【7-128H】《ユーリィ》を使うデッキですので、手札よりはバックアップで動くので、手札をバックアップに還元できるカードとして採用しました。最初は1枚だけだったんですが、使い込んでいくうちに、重要性や使いやすさに気付き2枚あってもいいかなと思うようになりました。
いざとなればフォワードをアクティブにしてプチ【5-062L】《ディアボロス》としても使えますし、相手も手札1枚と起きているバックアップ1枚の状況であまり警戒せず攻め込んでくるシーンも多かったので非常に活躍してくれました。
◆好きを形にする広島勢のチームスタイル
――デッキを拝見していて気付いたんですが、全部プレミアムカードでデッキを組まれてるんですね。
テートク:【7-054L】《チェリンカ》のイラストが本当に素晴らしくて、デッキを作るにあたって【7-054L】《チェリンカ》はプレミアムで組もうと思っていたんですが、【7-128H】《ユーリィ》もプレリリースでプレミアムが集まったので、どんどんデッキを光らせたくなってしまう、カードゲーマー特有の病気にかかってしまいました(笑)。ただ僕が当てたホイルカードは友人のさむぞう(編註:「広島の師匠」と呼ばれる、中国地方で活躍するプレイヤー)さんに渡していたので、どうしようかと思っていたら、運良くほかの友人たちが風属性のプレミアムカードを提供してくれたんです。
ただ実はまだ1枚だけ、【5-068L】《ヤ・シュトラ》が見つからなくて友人に借りたものなのでフルプレミアムまではあと一歩というところなんです。名古屋の友人が1枚トレードしてくれると言ってくれているので、それでこのデッキが完成します。
――隅々まで愛のあるデッキになっていますね。やはり『FF』シリーズでも『リング・オブ・フェイト』はお気に入りなんでしょうか?
テートク:実は最近まで、ゲームキューブのソフトだと思っていて、ハードがなくてできないと思っていたので、未プレイなんです。《チェリンカ》好きとは言うのがはばかれれるのですが、ニンテンドーDSのソフトだということを知ったので近いうちに遊びたいなと思っています。
――もともと『FF』シリーズは好きでしたか。
テートク:そうですね。オンラインシリーズをのぞけば、ナンバリング作品は『FFI』から『FFXIII』までやっています。『FF-TCG』のほうは「Chapter」時代から知っていたんですが、その当時は別のゲームをやっていてため始めるきっかけがなくて遊んでいませんでした。「Opus」シリーズは、今店員をやっているカードショップに来ているさむぞうさんがもう1回やろうか考えているって話をしていたので、じゃあ自分も興味はあったし一緒にやろうってことでやり始めました。
――カードショップの店員さんということで調整はやはりショップでされることが多いのでしょうか。
テートク:そうですね。とはいえ公認大会がある土曜日は僕も仕事なので、僕が休みの月曜日に広島勢何人かで集まってとか、あとはskypeを使って離れた友人などとも調整はしますね。メタゲームを意識してというよりは各々好きなデッキを持ち寄って自由に遊ぶって感じですが。それぞれ担当分野があるので、なにか聞きたい時はその人に聞いてみるといい方向に進んだりします。もちろんメタゲームをそれぞれ考察しますが、それに対して自分の好きなカードでどう立ち向かっていくかというスタイルのプレイヤーが多いですね。
――なるほど。さむぞうさんへのインタビューのときも感じましたが、一人一人こだわりを持ちつつ同じ目標をもつ結束力のあるチームだと感じます。では最後に「第2期名人位決定戦」への意気込みなどお聞きできればと思います。
テートク:「風単」は「第2期名人戦」四国予選から使い続けて、戦い抜いてきたデッキなので、どんどん精錬されて今回の結果につながったのだと思います。「第2期名人位決定戦」まであまり時間はありませんが、優勝を目指してがんばっていこうと思います。
――ありがとうございました。
◆終わりに
「第2期名人戦」中国予選で優勝を果たしたテートクさんへのインタビューでした。
自分の好きなキャラクターで戦いたいという気持ちを強く持ちと、それを優勝に導くためよく観察し自分の中にフィードバックしていく深いFF愛を感じたインタビューとなりました。
「第2期名人位決定戦」でも、その『FF』愛で活躍してほしいですね。
「第2期名人戦」予選大会もいよいよ終盤戦です。
僕はまだ「第2期名人位決定戦」の出場権を手にしていないのでハラハラしながら次の大会を待っていますが、これから参加される皆さんも互いにがんばっていきましょう。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!