『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は「JAPAN CUP NAGOYA」に参戦していたゲストプレイヤーの皆さんへのショートインタビューをお届けします。
皆さん、こんにちは。カードゲーマー編集部の編集(川)です。
4月27日から29日までの3日にわたって名古屋のIMYホールで「JAPAN CUP NAGOYA」が開催されました。
「JAPAN CUP NAGOYA」は2デッキ制の構築戦6ラウンド、ブースタードラフト戦6ラウンドの合計12ラウンドの予選を行ない、上位12名が決勝ラウンドに進出、そこからは2本先取の構築戦で優勝者を決めるという大会でした。
デッキ構築やプレイング、ブースタードラフトの知識、そしてデッキ選択といったさまざまな要素が絡み合う大会形式で、まさに『FF-TCG』の実力ナンバーワンプレイヤーを決める大会だったと言えるでしょう。
3日間にわたって行なわれたこの大会を優勝したのは東京のプレイヤー、ダンカン(=閣下)さんでした。
また、29日には「MASTERS2019」名古屋大会も併催され、こちらでは群馬のハリガイさんが優勝しました。
この2人はどちらも昨年の世界選手権に出場した日本代表プレイヤーであり、「代表になるプレイヤーは強い」とあらためて知らしめる結果になりました。
また、今大会には各方面からゲストのプレイヤーも参戦していました。
まずはじめに昨年の世界王者であるAlex Hancoxさんは、初日の予選ラウンドを5-1で終えるとその勢いのまま2日目も勝ち進み、堂々の決勝ラウンド進出。
予選ラウンドでマッチングされた人のなかには、あらためて海外プレイヤーの実力を肌で感じたという方も多かったのではないでしょうか。
そして、国内大会ではおなじみになりつつある「Edamame Arcade Channel」のパフォーマーであるカブキンさんとトム・リーさんも本大会に出場していました。
特にトムさんは初日の予選ラウンドを突破し2日目に進出するなど着実に実力をつけており、今後も「MASTERS2019」などには参戦されるということで、今後の活躍が楽しみです。
ここではそんなゲストのプレイヤーたちをもっと知ってもらいたいと思い、彼らへのショートインタビューを行なったのでその模様をお届けします。
「JAPAN CUP NAGOYA」チャンピオンとなったダンカン(閣下)さんのインタビューも来週掲載しますので、こちらと合わせてお楽しみください。
◆2018世界王者Alex Hancoxさんショートインタビュー
――インタビューさせてもらうのは昨年の世界選手権以来ですね。ようこそ日本へ! 日本に来てみた感想を聞かせてもらえますか。
Alex:12時間のフライトは少し疲れたけれど、日本の居心地はとてもいいです。ホテルはどこもきちんとしていますし、お店の人や、対戦した『FF-TCG』のプレイヤーの皆さんも外国人の私に対してすごく丁寧に、礼儀正しく応対してくれました。優しく受け入れてくれていると感じました。
また治安がとてもよくて、その辺にバッグを置いていても「盗まれるかも?」というような心配をしなくていいのはすばらしいですね。
――「JAPAN CUP NAGOYA」は「Opus VIII」環境での構築戦、ブースタードラフト戦で行なわれましたが、「Opus VIII」のインプレッションはいかがでしたか。
Alex:『ファイナルファンタジー』のファンアイテムとして見ると『FFXV』の参戦はビッグニュースだと思います。カードとして見ても、枚数こそ多くはありませんがカード間のシナジーは強力で、この大会でも実際に使用しているプレイヤーがいて、「土単」などのデッキに採用されているのを見ました。
セット全体で見ると【8-136L】《常闇のヴェリアス》や【8-134L】《レイン》のような強力なカードも多く、非常にパワフルなセットだと感じます。「Opus VIII」の恩恵を受けられなかったというデッキは少ないのではないでしょうか。
また、これまで対処法が限定されていたモンスターカードへの対処法が充実したのもいいニュースです。【4-085H】《ダダルマー》と【4-058C】《サボテンダー》のコンボなどに歯止めがかかりました。
――「Opus VIII」のなかでもっとも注目しているカード、あるいはお気に入りのカードについてお話しいただけますか。
Alex:強さとおもしろさを兼ね備えているという点では【8-136L】《常闇のヴェリアス》と【8-060L】《フィーナ》が「Opus VIII」のトップだと思います。それは恐らく「Opus VIII」発売後の大会における採用実績を見ても明らかでしょう。
【8-136L】《常闇のヴェリアス》の強さについては、攻めと守りの両面において強いという点があげられます。対象を選ばずに直接ブレイクゾーンに置けるという効果はもちろん、偶数コストなのでバックアップを置けていない状況からでも損をせずに出せて、相手の攻めをスピードダウンさせられます。
バックアップ2枚だけを出している相手に対して主力となる4コスト、5コストのフォワードを出したら【8-136L】《常闇のヴェリアス》を出されてそこから負けてしまったという経験は「Opus VIII」が発売されてから多くのプレイヤーがしたと思います。そして、ここでプレイヤーに「選択肢が生まれた」のがこのカードのおもしろいところだと思います。
【8-136L】《常闇のヴェリアス》はただ強いだけのカードではなく、デッキ構築を意識すればその強さを半減させられるカードでもあります。
たとえば【1-093H】《ヴァニラ》や【5-079H】《カルコブリーナ》といったブレイクゾーンに置かれても復活できるカード、あるいは【6-126R】《レイラ》と【4-133C】《バイキング》のような、除去されても困らないカードを使うことで【8-136L】《常闇のヴェリアス》の影響力を下げられます。
また、【8-136L】《常闇のヴェリアス》は闇属性のカードなので強いからと言って入れすぎると手札でだぶつく可能性もあります。氷属性のデッキと戦っていると1枚目を出したら凍結させられて、なかなか2枚目が出せないということもありますよね。
この「とても強いけれど対策ができないわけではない」というバランスが【8-136L】《常闇のヴェリアス》の魅力だと思います。
【8-060L】《フィーナ》に関しては、とにかくたくさんのカードとコンボするのがいいですね。【7-128H】《ユーリィ》と【7-054L】《チェリンカ》のデッキにも入りますし、《ユウナ》と【1-198S】《ヴァルファーレ》のデッキでもOKです。もちろん【4-085H】《ダダルマー》と【4-058C】《サボテンダー》とも共存できます。
風属性を含むデッキでは「チョコボ」をような展開力を重視するもの以外、だいたいダメージを与える手段が搭載されます。そこに5000ダメージを与えるか、キャラクターをすべてアクティブにするか、あるいはその両方かという強力な選択肢を持ったカードを入れられるとしたら採用しない理由はありませんよね。
そして、私の個人的なお気に入りカードですが、それは【8-145S】《バレット》です。
まずキャラクターとして好きという理由が一番大きいのですが(笑)、カードゲーム的な観点でもとてもいいカードだと思います。
除去されなければ継続的にアドバンテージを獲得できますし、EXバーストも持っています。
『FFVII』はゲームタイトルとして『ファイナルファンタジー』シリーズのなかでも、非常に存在感の大きいタイトルですが『FF-TCG』ではこれまで大活躍したというわけではありません。
「Opus VIII」で登場した【8-006L】《クラウド》と【8-049L】《エアリス》、【8-109L】《ルーファウス》などは強力ですが、それ以外でこれまでによく使われた【カテゴリ(VII)】のカードというと【1-075C】《チョコボ》や【3-033L】《ジェネシス》くらいではないでしょうか。
作品の規模に対して『FF-TCG』内では意外と【カテゴリ(VII)】のしめる割合は小さかったのです。
そんななかで登場した【8-145S】《バレット》には個人的な期待を寄せています。『FFVII』デッキが誕生するきっかけになってくれればいいなと思っています。
――では、最後に今年の世界選手権で挑戦を受けるチャンピオンとして日本のプレイヤーにメッセージをいただけますか。
Alex:2017年、2018年の世界選手権でも日本のプレイヤーと対戦しました。そしてこの3日間、『FF-TCG』が生まれた日本でゲームをしてみて、あらためて日本のプレイヤーの強さを感じました。
しかし世界選手権では日本のプレイヤーだけでなく参加選手全員を闇に葬ってやりたいと思っています!
そう、《エクスデス》のように(笑)!
世界選手権で日本のプレイヤーと会えるのを楽しみにしていますね!
――ありがとうございました。
インタビュー中、ずっと紳士的にお話しされていたのですが、最後に突然キャラクターが豹変して驚きました(笑)。
Alexさんといえばあごに指をあてる独特のポーズでもおなじみですが、これも「真剣にやっているなかでも楽しく見えるように」という意識から生まれたのだと去年のインタビューでお話しされていました。この「楽しくゲームをする」というスタンスがAlexさんの強さにつながっているのかもしれませんね。
続いては「Edamame Arcade Channel」のカブキンさん、トム・リーさんのショートインタビューです。
◆「Edamame Arcade Channel」カブキンさん、トム・リーさんインタビュー
――カブキンさん、トムさんはYoutuberとして『FF-TCG』の大会に出ていますが、そんなお2人のキャラクターについてお話をうかがおうと思います。よろしくお願いします!
カブキン、トム:よろしくお願いします。
――まずお2人の『ファイナルファンタジー』履歴からお聞きしたいのですが。
カブキン:最初に遊んだのは『FFV』で、そこからオンラインのタイトルを除いてナンバリングは全部遊んでます。一番好きなのは『FFVI』ですね。
――お気に入りのキャラクターはいますか?
カブキン:セッツァーですね。『FFVI』は子供のころに遊んだのですが「ギャンブラー」という設定にシビれました。カッコいい!って思いました。
トム:僕は『FFVII』ですね。『FFVII』は初めて海外でも発売されたタイトルなんです。なので日本のすごいゲームがやってきたということで、それはもうむちゃくちゃプレイしました。プレイ時間の表示限界までやったと思います。それから『FFVIII』、『FFIX』を遊んで、しばらくお休みしていましたが最近『FFXV』を遊びました。
一番お気に入りのタイトルはもちろん『FFVII』です。『FFVII』はまずそのビジュアルにも驚かされましたが、ストーリーも実は相当に深いんですよ。
完璧な人間だと思われていたクラウドには、実は過去があって、その弱い自分と向き合って、英雄と呼ばれたセフィロスに挑んでいく。また、ティファやエアリスなど彼を取り巻くキャラクターも、最初から断片的にではあるけれどそのことを知っていて…という。
なので、1回クリアしただけで終わりではなくて、くり返しプレイすると1周目ではよくわからなかったセリフが伏線になっていたりするので新たな発見があります。また『アドベントチルドレン』や『クライシスコア』などの派生作品も多く、ストーリーの補完がなされているのもいいですね。
カブキン:すっごい真面目に語るな(笑)! 「ギャンブラーカッコいい」とか言ってた俺がバカみたいじゃないか!
ちょっとちょっと、僕も好きなキャラ変えます。ケフカです、ケフカ。魔導の実験から狂ってしまった彼の悲哀にはひかれました。この(歌舞伎風の)メイクも実はケフカをオマージュしてるんですよ?
トム:後付けがすぎる(笑)。
――お2人が『ファイナルファンタジー』好きなのはよくわかりました(笑)。では『FF-TCG』についてはいかがでしょうか。
カブキン:『ファイナルファンタジー』のキャラクターが一堂に会して遊ぶっていうゲームは『ディシディア』シリーズや『シアトリズム』シリーズなどで珍しくないですが、敵やモンスターも含めて全部自分で使えるっていうのが遊んでて楽しいなって思います。
主人公たちはどのゲームにも出てくるとしても、やっぱり敵方はメジャーなところに限られることが多いんですけど『FF-TCG』はマニアックなキャラクターまでおさえててすごいなと。
トム:僕はほかのカードゲームもやっていたんですけど、『FF-TCG』はやりこめばやりこむほど難しいと思うときがあります。でも入り口にストレスがないんですよ。知ってるキャラクターがいて、手札をコストにしてカードを出せるから「何も出せないで負け」っていうゲームがない。キャラクターゲームとしてすごい遊びやすいなと感じます。それでいて、うまくなろうとしたら果てしなくやり込めるのがいいですね。
――初めてお2人が『FF-TCG』に登場したのは2017年の世界選手権からだったと思いますが、そこから約1年半『FF-TCG』をプレイして、成長したなと思う部分などはありますか。
カブキン:これまでは自分の好きなカード、好きなデッキを使うぞとだけ考えていました。もちろん、それでもいいのですが最近になって、もうちょっと立体的に『FF-TCG』を見られるようになったかなとは少し思います。
トム:たとえば新しいカードを見て「つえー!」だけじゃなくて、「じゃあ使われたらどうしよう」とか「このカードで対策できるかも」といったことも、少しずつですが考えられるようになりました。
――メタゲーム的な観点ということですね。
トム:特にこの「JAPAN CUP NAGOYA」はプレイヤーも多く集まるだろうということで、僕たちも結構競技的に考えて臨みました。「土風」のデッキは強いだろうなとか。あと、個人的に驚いて、それでちょっとうれしかったのは「水氷」を上位の人が使っていたことですね。練習中に「水氷デッキ強くない?」って思っていたんですが、いいデッキにならなくて僕はあきらめちゃって。でも「水氷」が活躍してるのを見て、少しずつカードを見る目ができてきたのかも、と感じています。
――成長を実感した1年半だったと。
トム:でも、2日目のブースタードラフト戦では0-6してしまって(笑)。まだまだ『FF-TCG』は奥が深いなと痛感しました。個人的な感覚ではまぁまぁなデッキが作れたかなという印象だったのですが、まさか全敗するとは(笑)。
カブキン:僕は2日目に進出することもできなかったので、まだまだだなと。
――「MASTERS2019」が始まっていますが、今後も継続的に参戦されるでしょうか。
カブキン:行きますよ。山形大会とさいたま大会には出場しようと思ってます。なのでこれからも練習あるのみですね。大会で当たったときは皆さんよろしくお願いします!
トム:よろしくお願いします!
――先日「ニセコの雪山で『FF-TCG』を遊ぶ」という動画を投稿されていましたが、本当にお2人が『FF-TCG』を楽しまれているのが伝わってきます。
カブキン:あれは「氷属性」編なんですよ(笑)。
――ということは、今後ほかの属性編も…?
トム:やってみたいですね。
――火属性とか大変そうですよね。火山とかでやりますか(笑)?
カブキン:風属性はスカイダイビングしながら、とかね(笑)。
トム:カードどっか行くでしょ、それ(笑)。
――カードゲームプレイヤーとしてだけでなく、Youtuberならではのパフォーマンスも楽しみにしています。それでは最後に『FF-TCG』プレイヤー、そしてこれから『FF-TCG』を遊んでみようかなと考えてる方たちにメッセージをいただけますか。
カブキン:カードゲーム好きな人は1回触ればそのおもしろさが伝わることでしょう。なので、僕たちとしてはカードゲームは知らないけれど『ファイナルファンタジー』は好き、という人にこそ遊んでもらいたいなと思います。
それであらためて『ファイナルファンタジー』の楽しさを知りつつ、新たにカードゲームというゲームの魅力にも触れてほしいなと。その楽しさを伝えるべく、これからも活動していくので動画ぜひチェックしてみてください!
トム:Edamame Arcade Channelは「アーケード」とついているので、カードゲームに限らず、いろんなゲームのファンが動画を見てくれます。そのなかでこれまで『FF-TCG』を知らなかったけど、こんなゲームあるのかと思ってもらえるような活動をしていきたいですね。そのためにはまだ自分たちがもっともっと『FF-TCG』をうまくなって、そのおもしろさを伝えられるようにならなくてはと思います。これからも修行して、どんどん大会出て、成長していきたいと思います。これから出る「MASTERS2019」もトロフィー取る心構えで挑戦します! 大会会場で皆さんとお会いするのを楽しみにしています!
――ありがとうございました。
Edamame Arcade Channelで活躍するカブキンさん、トム・リーさんのインタビューでした。
お2人の出ている動画はこちらからチェックすることができます。
今回は「JAPAN CUP NAGOYA」に参戦していたゲストプレイヤーのインタビューをお届けしました。
『FF-TCG』のイベントは競技性の高いものでも非常にカジュアルな雰囲気で行なわれているので、「まだ始めたばかりだから…」としり込みせず、どんどん参加してみてくださいね。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう!