【FFTCG】海外遠征は楽しいぞ! たるほの「CRYSTAL CUP WATER」参戦レポート

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はたるほさんの「CRYSTAL CUP WATER」参戦レポートをお届けします。

◆はじめに

皆さん、こんにちは!
『FFTCG』プレイヤーのたるほです。

いつも僕の公式記事連載を読んでいただいている皆さんのなかには、11月にアメリカのロサンゼルスで開催される「世界選手権2019」を目指し、日々『FFTCG』に励まれている方も多いのではないかと思います。
もちろん僕もその一人です。出たい! めちゃくちゃ出たい! 世界選手権!

しかし、国内で「世界選手権2019」の出場権を得られる大会は、3つの「CRYSTAL CUP」「MASTERS2019 FINAL」の合計4回のみ。
ここにはそれこそ日本中から強豪プレイヤーが集まってくるわけですから、簡単には優勝できないでしょう。

となると、権利獲得の可能性を高めるためには試行回数を増やすほかありません。つまり、海外の「CRYSTAL CUP」に参戦するのみです。
ということで、タイのバンコクで開催された「CRYSTAL CUP WATER」に行ってきました!

今回はそのレポートをお届けします。

◆大会の地、タイへ!

「CRYSTAL CUP WATER」が開催されるタイ王国はインドと中国の中間、インドシナ半島の中央部に位置する国で「微笑みの国」とも呼ばれています。
ワットポー寺院やアユタヤ遺跡など、一度は名前を聞いたことのあるような歴史的建築物なども有名です。
そんな異国情緒溢れるイメージのタイですが、今回の「CRYSTAL CUP WATER」の舞台であるバンコクは高層ビルが建ち並ぶ都会でありながら、賑やかな屋台街や怪しいお店などのディープなスポットがそこかしこにあります。そのギャップもまた、タイの魅力といえるでしょう。

▲会場の外観。「CRYSTAL CUP WATER」はこのビルのなかにある「Animate Shop Bangkok」内で開催されました。

また、タイは非常に親日的な国として知られており、市内のショッピングモールには日本でもおなじみの飲食店が軒を連ねています。
食文化も米(タイ米)や麺類を主食にしたものが多いので、日本人にはとてもなじみやすいです。ガパオライス、カオマンガイ、トムヤムクンなどは日本でもよく見かける料理ですよね。

日本と少し違うのは味付けが濃く、極端に言えば甘いか辛いかの二極的なところでしょうか。食べ物はどれも美味しかったのですが、帰るころにはあっさりした味付けの日本料理が恋しくなっていました。

▲タイでの食事。日本食に近い見た目と味で、ほとんどの人は抵抗なくなじめると思います。

ちなみに、タイのだいたいのホテルは宿泊人数ではなく部屋の数で料金が決まるため、複数人で同じ部屋に泊まれば旅費を節約できるでしょう。
今回、僕は「何とかなるだろう」と事前にホテルを取らずにタイに行ったのですが、同じく日本から来ていたサトツさん(今回の「CRYSTAL CUP WATER」優勝プレイヤー)の泊まる部屋に相乗りさせてもらえて助かりました。

また、大会には日本在住のポルトガル人プレイヤーの蛮さんも遠征しており、彼の紹介でオーストラリアのJason Zhe選手(「世界選手権2018」ベスト8入賞プレイヤー)やたくさんの地元のプレイヤーやジャッジと知り合えたほか、昨年シンガポールで開催された「Asia Grand Championship」で知り合った友人とも再会できました。普段なかなか会えない世界の『FFTCG』プレイヤーと交流できるのも海外遠征の楽しみですね。

▲「世界選手権」に2年連続で出場しているJason Zhe選手。僕たちに「ステーキはレアで食うもんだよ」と力説しているシーンです。

◆タイの大会、こんなデッキを使いタイ!

ここからは「CRYSTAL CUP WATER」の大会参加レポートになります。

まずは今回使ったデッキです。

「CRYSTAL CUP WATER」使用デッキ土単「episode:Arden」

カードNo. カード名 枚数
フォワード(15枚)
【8-068L】 《アーデン》 2
【5-086L】 《セシル》 3
【7-064R】 《アシュマダイ》 1
【1-093H】 《ヴァニラ》 2
【5-084C】 《PSICOM治安猟兵》 3
【8-071H】 《アンデッドセレブ》 2
【7-129H】 《ガルデス》 2
バックアップ(18枚)
【6-079L】 《ミンフィリア》 1
【6-064H】 《アジドマルジド》 3
【2-093H】 《ラウバーン》 3
【5-082C】 《採掘師》 2
【7-069C】 《コルカ》 2
【9-067C】 《シド・ガーロンド》 1
【3-076R】 《仮面の女》 1
【3-096R】 《リディア》 1
【6-067R】 《エピタフ》 1
【9-071C】 《バンガ族》 3
召喚獣(15枚)
【6-075R】 《タイタン》 3
【7-084C】 《ようじんぼう》 3
【1-117R】 《ヘカトンヘイル》 3
【9-068H】 《ドラゴン》 1
【4-093R】 《ヘカトンケイル》 3
【8-081R】 《フィンリル》 1
【8-135H】 《アーク》 1
モンスター(2枚)
【8-080C】 《プーマ夜光》 1
【5-090R】 《ヒルギガース》 1

以前、公式記事連載の「たるほの隙あらばデッキ語り」で紹介した「土単アーデン」を「Opus IX」バージョンにアップデートしたものを使用しました。

以前使っていたものに比べると、新しくモンスターを採用し、【7-129H】《ガルデス》imageのアビリティをフル活用しようというのがポイントです。

【8-080C】《プーマ夜光》imageは【7-129H】《ガルデス》imageとのコンボで【7-129H】《ガルデス》imageとバックアップorフォワードを回収できるので、【8-071H】《アンデッドセレブ》imageを介したバックアップの再利用コンボを意識したこのデッキと相性のよいカードです。

もう1枚のモンスターである【5-090R】《ヒルギガース》imageは、召喚獣をけん制してくる【5-068L】《ヤ・シュトラ》imageや継続的にダルと凍結を迫ってくる【8-043H】《ラスウェル》image、「風単」のデッキの要である【7-128H】《ユーリィ》imageなどにプレッシャーをかけることができるいぶし銀な1枚。

「Opus IX」からの新カードはまず【9-071C】《バンガ族》imageです。今まで【1-105C】《幻術士》だったスロットとそのまま入れ替わったカードですが、中盤以降にバックアップやモンスターを使い回すこのデッキでは、単なる実質1CPバックアップ以上の仕事をしてくれる大きな追加要素と言えます。

召喚獣には【9-068H】《ドラゴン》imageを新たに採用しました。効くか効かないかは相手次第ですが、3つの効果がどれも効かない相手はなかなかいません。不器用な「土単」の対応力を高めてくれるカードでした。

今回このデッキを使った狙いは3つあります。

1、使い慣れているデッキであること
2、EXバーストの枚数が多いこと
3、あまり知られていないデッキタイプだということ

まず「1、使い慣れているデッキであること」ですが、海外での大会という慣れない環境での戦いになること、あまり使う機会のない英語でのコミュニケーション(タイでは英語版の『FFTCG』が取り扱われています)が必要になることなどから、普段以上に緊張感のある試合になるだろうと考えました。

国内大会での実績を見れば「風単」「氷単」「火氷」なども選択肢になりましたが、もし同じデッキ同士で戦うことになった場合、普段の練習量から考えてもこれらのデッキではより習熟度の高いプレイヤーには勝ちにくいだろうという点も踏まえ、「使い慣れている」というのは重要な要素だと判断し「土単」を選択しました。

次に「2、EXバーストの枚数が多いこと」ですが、「CRYSTAL CUP WATER」はタイ国外のプレイヤーでも参加できる大会なため、環境を正確に予想することはできないだろうと思いました。そこで、どのデッキに対しても逆転する可能性を持つことができるEXバーストという要素に着目しました。

EXバーストは運に左右される要素なので、デッキのパフォーマンスを確実に引き上げてくれるわけではありませんが、昨年参加した「Asia Grand Championship」ではEXバーストを多く採用した「土単」に敗れ、その「土単」が優勝したという経験がありました。

優勝を目指すには実力はもちろんですが、運にも愛された「その日の人」になることも重要だと思います。そのため、EXバーストの枚数を自然に増やせる構成にできるという点でも「土単」は選ぶ価値があると考えました。

そして「3、あまり知られていないデッキタイプだということ」ですが、【8-068L】《アーデン》imageは対処するのに工夫が必要で、対策手段の乏しいデッキに対しては有利に立ち回れるのが特徴です。事前に海外の「CRYSTAL CUP」などの結果を見ていたのですが、【8-068L】《アーデン》imageを使ったデッキが上位に食いこんだ大会はなく、このカードを意識してデッキを組んでくるプレイヤーはそれほどいないのではないかと考えました。

また「CRYSTAL CUP」の結果を見ると「風単」が多く成績を残していたことのも、使用を後押しする要因になりました。

「風単」と「土単アーデン」のマッチアップは基本的に「風単」側に分があると考えていますが、【8-068L】《アーデン》imageを対処する手段に関してはそれほど多いわけではありません。

具体的には【7-128H】《ユーリィ》imageで【8-068L】《アーデン》imageの「ブレイクされない」アビリティを失わせてからダメージを与えたり、【5-062L】《ディアボロス》imageで除去するか、あるいはキャラクターを並べて【8-068L】《アーデン》imageをブロックに参加させず押し切るかの二択になります。

対処としては【8-068L】《アーデン》imageを除去されるのが一番厳しいのですが、初めて【8-068L】《アーデン》imageと相対したプレイヤーは【7-128H】《ユーリィ》imageで【8-068L】《アーデン》imageを凍結させることで無力化しようとしてくるケースが多く、そうすると【8-068L】《アーデン》imageはフィールドに残ります。

そうなれば【4-093R】《ヘカトンケイル》imageや各種EXバーストの発射台になってくれるので十分に役目を果たせます。こういった対処のミスを誘えるというのも「あまり知られていないデッキタイプであること」の利点であり、今回のデッキ選択のポイントです。

◆Day1:予選ラウンド【構築戦】
先に紹介した3つのポイントを踏まえて挑んだ「CRYSTAL CUP WATER」でしたが、実際ふたを開けてみると

1回戦 不戦勝
2回戦 「風雷」?
3回戦 「風単」?
4回戦 「土雷水」
5回戦 「風単」?
6回戦 「風単」?
7回戦 「水雷」?

と、全勝で2日目へコマを進めることができました。
対「風単」は予想通り相手のミスを誘うことができ、あまり想定していなかった「風雷」や「水雷」などのフォワードを並べてくるデッキに対してはEXバーストがよく刺さるという具合にしっかりデッキが機能し、事前の狙い通りの結果になってくれました。

特に5回戦は、Jason Zhe選手との対戦に勝つことができ、緊張もしましたが自分のなかで「世界選手権に参加するようなプレイヤー相手にも自分の技術、デッキが通じるんだ」と、大きな自信につながる試合となりました。

◆Day2:予選ラウンド【ブースタードラフト戦】
初日を全勝で勝ち進めたため、かなり余裕がある状態でDay2に臨むことができました。

ちょーぎょーじさんのブースタードラフト解説記事Kurosawaさんへのインタビューを読み返したり、“第二期名人”であるぱっつぁんさんからのアドバイスを思い出しつつピックを進め、きれいな「火土」が組めました。その結果2勝1敗という成績を残すことができました。これにより9勝1敗と事前の予想よりはるかにいい成績で決勝ラウンドに進出することができました。

◆Day2:決勝ラウンド
準々決勝 「土風」 ○○
準々決勝は「土風」との対戦となりました。
【4-085H】《ダダルマー》imageの禁止を受け全盛期ほどの勢いはありませんが、除去が豊富で【1-107L】《シャントット》imageでこちらの【8-068L】《アーデン》imageや【1-093H】《ヴァニラ》imageを容易に対処できるデッキということもあり、油断はできません。

幸い、どちらのゲームも早いターンから【1-093H】《ヴァニラ》imageでダメージを与えることができ、相手に【1-107L】《シャントット》imageを使わせてから【8-068L】《アーデン》imageをプレイすることができたため、2連勝できました。

準決勝 「風単」 ××
決勝ラウンドでは事前にデッキリストが公開されており、手の内がわかっている状態での「風単」とのマッチアップ。2本目、3本目はお互いのデッキの強い面が出た試合でしたが、惜しむらくは1本目。

普段だったらダメージを覚悟でバックアップを並べてから【8-068L】《アーデン》imageをプレイする展開だったのですが、勝ちに目がくらんで除去カードをコストに【8-068L】《アーデン》imageをプレイしてしまい、それが響いて負けてしまいました。

ということで、残念ながらベスト4という結果で僕の「CRYSTAL CUP WATER」は終了しました。

念願の世界選手権まであと一歩というところまで進み、正直悔しい気持ちも強いですが、自分の力が世界にも通じるとわかったことや、たくさんの友人との出会いなど多くの収穫があり、2日間を通して非常に充実したイベントでした。


◆優勝者のサトツさんへショートインタビュー!

さて、ここからは「CRYSTAL CUP WATER」で見事優勝を果たし、「世界選手権2019」への切符を手に入れたサトツさんへのショートインタビューをお届けします。

――「CRYSTAL CUP WATER」優勝おめでとうございます。

サトツ:ありがとうございます。

――見事優勝を果たし、日本勢の力を見せつけてくれました。今回、「CRYSTAL CUP WATER」へ参加しようと思ったきっかけはなんでしょう?
サトツ:実は元々友人と「いつかタイに行きたいね」と話していたのがきっかけでした。僕らの予定と「CRYSTAL CUP」の日程がすごくちょうどよかったんです(笑)。なので、今回は観光も兼ねての参加ということになります、友人は大会には参加していませんが。

――お友達と来たわけですね。サトツさんにとっては初めての海外遠征ということでしたが、参加してみていかがでしたか?

サトツ:海外初参加のイベントがタイでよかった、というのを強く感じました。初の海外イベントということでかなり緊張していたんですけど、1戦目から日本語がわかる方とマッチングして、日本語でコミュニケーションを取ってくれたのですごく気が楽になりました。それで調子が整って、いつも通りのプレイができたのが大会の全行程を通じていい方向に影響したかなと思います。

あと、たるほさんと蛮さんがいたのも心強かったですよ。やはり1人だと心細いですからね(笑)。海外のプレイヤーと試合後にコミュニケーションを取る機会も多く、たくさんのプレイヤーと交流できて、お互いの試合結果を聞いて盛り上がったりするもの楽しかったです。言葉が通じなくてもカード名だけで通じるものがありますから。

――「風単」を使っての優勝でしたが、デッキは大会を通していかがでしか?

サトツ:構築に関してはKurosawaさんのインタビューの通りなので改めてお話しするまでもないかと思いますが、デッキの安定度も高かったですし、しっかりプレイに答えてくれたかなと思います。繰り返しになりますが、落ち着いてプレイできたことが最大の勝因かなと。

――今大会でのベストカードなどあれば教えてください。

サトツ:ベストカードは【5-053R】《エコー》imageですね。序盤の立ち上がりから、ここ一番ってときのEXバーストなどすごく活躍してくれました。

――これでサトツさんはタイ代表(?)として世界選手権に出場されるわけですが、何か目標などありますか?

サトツ:初めての世界選手権で今から緊張しているので、気楽に……とはとても言えないですが結果を残せるように、まずはベスト4を目指して頑張ろうと思います。

――ありがとうございました。サトツさんの活躍に期待しつつ僕も後に続けるよう、シンガポールでの「CRYSTAL CUP WIND」に挑みたいと思います。

◆終わりに

というわけで、「CRYSTAL CUP WATER」の参加レポート&優勝されたサトツさんへのショートインタビューでした。

僕にとっては2回目となる海外イベントで、結果こそあと一歩届かなかったものの、今までなかった好成績を収めることができ、再会や新たな出会いなどもあり、楽しく充実した2日間となりました。

海外遠征はハードルの高い部分もありますが、非常に楽しいので機会があれば皆さんもぜひトライしてみてください。

さて、「CRYSTAL CUP WATER」で「世界選手権2019」の切符を手に入れることができなかったので、次回は今週末にシンガポールで行なわれる「CRYSTAL CUP WIND」に参加してこようと思います。

もし応援してくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ応援のほどお願いします!

それではまた次回の記事でお会いしましょう!