『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターのたるほさんが「SHOP MASTERS 2020」で使用して優勝を果たした「氷風水バラライギード」デッキについて語ります。
◆はじめに
皆さん、こんにちは!『FFTCG』プレイヤーのたるほです。
現在、全国各地で開催されている「SHOP MASTERS 2020」。
参加賞としてPRカードとスリーブ、優勝者にはここでしか手に入らないプレイマットが配布される公式イベントです。
僕も先日名古屋で開催された大会に参加して、そこで優勝することができたので、そのとき使用したデッキの紹介と大会のレポートをお届けしたいと思います。
それでは「たるほの隙あらばデッキ語り~SHOP MASTERS 2020編~」スタートです!
◆決めろ必殺コンボ!「氷風水バラライギード」デッキ
さっそくですが、まずは今回使用したデッキがこちらです。
●「氷風水バラライギード」(「SHOP MASTERS 2020」優勝)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(22枚) | ||
【12-114R】 | 《バラライ》 | 3 |
【12-116L】 | 《ロック》 | 3 |
【12-115C】 | 《リュック》 | 1 |
【3-056H】 | 《ジタン》 | 3 |
【5-068L】 | 《ヤ・シュトラ》 | 3 |
【8-060L】 | 《フィーナ》 | 1 |
【6-126R】 | 《レイラ》 | 3 |
【4-133C】 | 《バイキング》 | 3 |
【10-117H】 | 《ティーダ》 | 2 |
バックアップ(19枚) | ||
【5-067R】 | 《ミューヌ》 | 2 |
【1-197S】 | 《アニキ》 | 2 |
【6-046C】 | 《シド・ヘイズ》 | 1 |
【9-033C】 | 《モーグリ–9組–》 | 3 |
【6-022R】 | 《イゼル》 | 2 |
【1-174R】 | 《ヤーグロッシュ》 | 2 |
【3-122C】 | 《アルテミシオン》 | 1 |
【3-131H】 | 《ギード》 | 3 |
【4-134C】 | 《ブラネ》 | 1 |
【6-108R】 | 《イシュガルド教皇》 | 2 |
召喚獣(9枚) | ||
【10-055H】 | 《チョコボ》 | 3 |
【9-114C】 | 《不浄王キュクレイン》 | 3 |
【3-123R】 | 《暗黒の雲ファムフリート》 | 3 |
今回「SHOP MASTERS 2020」で使用したデッキは「氷風水バラライギード」です。
「Opus XII」発売直後に、ここでの連載記事でカードゲーマー編集部の(川)さんが「火水バラライギード」を紹介していましたが、今回僕が紹介するのはキーカードの属性をそのまま使った「氷風水」型になります。
最初にこの2枚コンボを知らない方のために、まずは「バラライギード」コンボの挙動からご説明していこうと思います。
「バラライギード」とはその名のとおり【12-114R】《バラライ》と【3-131H】《ギード》を組み合わせたコンボのことです。
【12-114R】《バラライ》は「Opus XII ~クリスタルの目覚め~」で登場した「自分のバックアップがアクティブになったとき、相手のフォワード全員に3000ダメージを与える」というオートアビリティを持つ氷・風の多属性のフォワードです。
【3-131H】《ギード》は水属性のバックアップで「水属性のCPを1つ支払うと自身をアクティブにする」というアクションアビリティを持っています。
この2枚をフィールドに出した状態で、【3-131H】《ギード》自身をダルにして生み出した水属性のCPを使ってアビリティを起動することで、【3-131H】《ギード》をダルにしてアクティブにするというアクションを何度でも繰り返せるようになります。
【3-131H】《ギード》がアクティブになるたびに【12-114R】《バラライ》のオートアビリティが発動するので、相手のフォワードが全滅するまで何回でも3000ダメージを与えられるというのが「バラライギード」と呼ばれるコンボです。
そのうえで今回使用したデッキの解説に入っていきますが、実は一から自分で組んだわけではありません。
コンボの存在自体は知っていたのですが、自分でデッキを作って使おうとは最近まで思っていませんでした。ですが、あるとき『FFTCG』の公式Discordでフリー対戦をした際に相手になっていただいた、やぶさんという方の「バラライギード」デッキがあまりに強力で、その魅力に惚れ込んでデッキを教えてもらいました。
◆各スロットの役割
このデッキは3属性の組み合わせになっていますが、基本的な構造は「風水タッチ氷」で、氷のカードは基本的に【12-114R】《バラライ》をキャストするために使います(【12-116L】《ロック》を使うサブプランもありますが、これについては後述します)。
コンボパーツ以外のスロットは、
風属性:【12-114R】《バラライ》と【3-131H】《ギード》を守るための役割を担います。このデッキでは、相手の対策カードを捨てさせる【3-056H】《ジタン》と幅広く相手のカードに対応できる【5-068L】《ヤ・シュトラ》、そして【10-055H】《チョコボ》が採用されています。
水属性:コンボパーツを見つけるための役割を担います。【6-126R】《レイラ》&【4-133C】《バイキング》でドローを進めたり、どんなカードでもサーチできる【6-108R】《イシュガルド教皇》などを投入しています。
コンボが決まれば基本的に相手のフォワードはいなくなるので、パワーの低い【6-126R】《レイラ》などもアタッカーとして運用できるようになります。
氷属性:【12-114R】《バラライ》のコストを支払うために採用されているカードがほとんどですが、今回から登場した多属性カードで風属性のCPを生み出せるので、氷属性と風属性の両方としてカウントできるカードがいくつか投入されています。
◆サブプラン「ティーダミューヌロック」について
やぶさんからデッキを共有してもらった段階で、すでにデッキの完成度は高いものでしたが【12-114R】《バラライ》と【3-131H】《ギード》に依存したコンボデッキゆえに、対策を施したデッキには脆いという弱点はあるなと感じました。
具体的には、
・氷属性を主体とした、早い段階で手札を攻めてきてコンボパーツをそろえさせてくれないデッキ
・【1-117R】《ヘカトンケイル》などでこちらの【3-131H】《ギード》をブレイクしてくるデッキ
・【1-171H】《ミンウ》で【12-114R】《バラライ》のアビリティを無効にしてくるデッキ
・バックアップのブレイク手段と【12-114R】《バラライ》への除去を両方持っている「忍者」デッキ
などです。
ただ、現在の日本のメタゲームではkakka(ダンカン)さんが使って「自宅名人戦」を連覇した「火単 侍」が人気だろうという予想があり、上で挙げた“アンチ「バラライギード」”デッキはこの「火単 侍」を苦手としています。
それならば、まだ結果を残していない「バラライギード」よりも「火単 侍」を意識したデッキが多い=「バラライギード」が活躍できる環境ではないかと考えました。
なお、この「バラライギード」自体は「火単 侍」と互角以上に戦えると思っています。
理由としては【3-131H】《ギード》がブレイクされないので、これがある状態で【12-114R】《バラライ》をキャストすればほぼ確実に相手の盤面を壊滅させられることがまず1点。【12-002H】《アマテラス》があっても、基本的にこのコンボを妨害することはできません。
そして「火単 侍」は【12-012L】《テンゼン》と【11-003R】《カイエン》という放置できないフォワードがゲーム中何度も出てきて、一度これらを倒し損ねるとそこからアドバンテージ差を広げられてしまうというデッキですが、「バラライギード」であればこの2枚を余計なコストやカードを使わず、キャラクターのアビリティのみで何度でも除去できます。
というわけで『「火単 侍」がアンチ「バラライギード」を駆逐してくれるだろう、そしてこのデッキは「火単 侍」や「バッツ&ボコ」、「ネオエクスデス」、「スカリー三姉妹」など、アドバンテージを失うので除去はしたくないけど放っておくこともできないフォワードを主軸にしたデッキには五分以上で戦える』と考えました。
そのうえで、もしアンチデッキに当たってしまったときに【1-171H】《ミンウ》などで詰んでしまうことを避けるためサブプランを用意することにしました。それが「ティーダ&ミューヌ&ロック」です。
これは【10-117H】《ティーダ》で【5-067R】《ミューヌ》を手札に戻し、好きなフォワードを1体手札に戻しつつ、また【5-067R】《ミューヌ》で【10-117H】《ティーダ》を手札に戻すというコンボで、コストさえあれば何度でも【10-117H】《ティーダ》のアビリティを使えます。
【10-117H】《ティーダ》は自分のフォワードも手札に戻すことができるので、フィールドに出たときにアビリティを誘発するフォワードを何度も使い回すことができます。
このデッキでは元から【3-056H】《ジタン》や【12-115C】《リュック》、【6-126R】《レイラ》、【4-133C】《バイキング》など使い回して強いカードが多く採用されていて、そのなかでもとりわけ【12-116L】《ロック》との相性が抜群でした。
【10-117H】《ティーダ》+【5-067R】《ミューヌ》をキャストするので、これだけで【12-116L】《ロック》のコストを4CP減らすことができます。
さすがに「バラライギード」のような無限コンボとはいかないものの、状況が整えば、毎ターン【12-116L】《ロック》がキャラクター2体をダル凍結しながら手札を1枚捨てさせるという制圧力の高い盤面が完成します。
またこちらのコンボは「バラライギード」がそろうまでのつなぎとしても優秀で、【3-131H】《ギード》を引いてくる前に一度バックアップを5枚展開してしまっても、【10-117H】《ティーダ》でバックアップを戻して途中から「バラライギード」にスイッチして戦うことができるので、【3-131H】《ギード》のためのスペースを空けておくことを考えずにゲーム序盤からしっかりとバックアップをキャストして態勢を整えることができます。
「バラライギード」と「ティーダミューヌロック」、この2つの軸を切り替えながら戦えるのがこのデッキの強みです。
◆「SHOP MASTERS 2020」簡易レポート
次に、今回参加した「SHOP MASTERS 2020」の対戦を振り返りたいと思います。
今回参加させていただいたのは、愛知県名古屋市のショップ「アドバンテージ大須2号店」さんです。
1回戦:vs「火単バハムート」 〇
1回戦の対戦相手は地元名古屋のプレイヤーだというシさん。
使っていたデッキは大量の《バハムート》を採用していた「火単バハムート」デッキです。
【12-114R】《バラライ》をすべて除去しきるだけの《バハムート》があると判断し、こちらはギリギリまで【12-114R】《バラライ》を展開せず、じっくり勝機をうかがう展開に。
そして相手が手札を使ってフォワードを展開したタイミングで「バラライギード」を決め勝利。「バラライギード」のコンボは知らなかったとのことで、それも幸いした試合となりました。
2回戦:vs「氷風水バラライギード」 〇
2回戦の対戦相手は、以前インタビューもさせていただいたabcさんの「氷風水バラライギード」。
デッキ自体は同じ属性を使っていますが、abcさんは「ユ・リ・パ」のギミックを採用し、【1-198S】《ヴァルファーレ》まで採用した構築で、カードのキャストに注力した構築に見えました。
勝負の分かれ目となったのは【12-114R】《バラライ》の枚数で、abcさんは氷属性を使うためのコストとして【12-114R】《バラライ》を捨てており、さらにこちらは【3-056H】《ジタン》で1枚捨てさせることに成功しました。
こちらは【12-114R】《バラライ》を3枚すべて使える展開となり、一度は「バラライギード」のコンボ合戦に負けてしまうものの、2枚目の【12-114R】《バラライ》からabcさんの最後の【12-114R】《バラライ》を除去することに成功し、勝利を収めることができました。
3回戦:vs「火単 侍」 〇
3回戦目の対戦相手は東海地方の強豪で、ブログを使っての情報発信などもされている、たまごまんさん。
使用デッキはこちらの仮想敵である「火単 侍」でした。
対戦前からお互いの使用デッキがわかっていたので、たまごまんさんは先攻から【10-004H】《カイアス》を出してプレッシャーをかけてきます。
しかし、こちらの手札には【3-123R】《暗黒の雲ファムフリート》があり、この【10-004H】《カイアス》を対処することに成功します。
これでスピードダウンさせたことが功を奏し、たまごまんさんの猛攻にダメージ6点まで追い詰められますが、ギリギリのタイミングで【3-131H】《ギード》が間に合い、盤面を制圧し勝利をもぎ取りました。
4回戦:vs「土風氷」 ×
続く4回戦目は予選の最終戦、対戦相手は昨年「世界選手権」の出場権も獲得(編註:都合により参加は辞退されています)した岐阜の強豪、しらたまさんでした。
デッキは【12-061L】《クルル》を介してキャスト数を稼ぎ、低コストで【12-116L】《ロック》を展開して制圧してくるタイプの「土風氷」で、コントロールデッキどうしの対決となりました。
拮抗した展開が続いての終盤、しらたまさんをダメージ6点というところまで追い詰めるも最後の1点が届かないまま、最後はデッキ切れで負けとなってしまいました。
途中でミスもあったものの、慣れないコントロール対決でダメージを与えるタイミングが読みきれず、プレイングスキルの未熟さを感じる試合でした。
予選は3勝1敗、2位で決勝トーナメントに進みます。
決勝進出者は予選で当たったたまごまんさんとしらたまさん、そして「第2期名人」のぱっつぁんさんという、いずれも東海地方の強豪が名を連ねていました。
準決勝:vs「火単 侍」 〇
ここで再び、たまごまんさんとの対戦。
予選とはうってかわってこちらは早い段階から「バラライギード」をそろえることに成功します。
相手の召喚獣なども【5-068L】《ヤ・シュトラ》や【10-055H】《チョコボ》で万全のケアができ、この日一番デッキのポテンシャルを発揮できた試合となりました。
決勝戦:vs「土風氷」 〇
運命の決勝戦、相手は再びしらたまさん。
予選でデッキ切れで負けてしまったことを考慮し、なるべくダメージを与えて早い段階でとどめを刺せるようにしようとフォワードを展開していきました。
しかし中盤に差し掛かり、こちらの盤面を対処されて攻め手が途切れてしまいます。
手札には最後の1枚が残るのみでしたが、デッキの枚数はこちらのほうが少なく何とか攻撃を通さねばならないと判断したため、無防備な状態でしたが【12-114R】《バラライ》をキャスト。
そこからバックアップを引き続けてフォワードを増やすことはできなかったものの、しらたまさんも【12-114R】《バラライ》を対処できるカードを引けず、【12-114R】《バラライ》が与えたダメージでデッキの枚数が逆転。辛くも勝利することができました。
◆おわりに
ということで今回の「SHOP MASTERS 2020」、なんとか優勝することができました。
景品のプレイマットもゲットすることができ、ほくほくの結果です。
何より久しぶりのオフラインでの大会イベントということもあり、とても楽しい一日となりました。
デッキを教えていただいたやぶさん、デッキ調整に付き合ってくれた皆さん、そして当日対戦してくれた皆さんには感謝が絶えません。
今回紹介したもの以外にも、さまざまな形で「バラライギード」を組むことができます。
直接対戦はしませんでしたが、ぱっつぁんさんは「土水バラライギード」を使っていて、そちらもかなり手強そうだと感じ取れるデッキでした。
ぜひ「SHOP MASTERS 2020」に参加する皆さんも一度形にして練習してみてはいかがでしょうか?
「SHOP MASTERS 2020」の開催スケジュールはこちらから確認ができます。
新型コロナウイルス感染症には十分対策のうえ、ぜひ参加してみてください。
ということで今回はここまで。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!