【バトスピ】日本の頂点に立ち、世界の強豪と相対す……! 「バトスピチャンピオンシップ2022」優勝&準優勝選手インタビュー


去る2月19日、千葉の幕張メッセで開催されたバンダイカードゲームが集結する一大イベント「バンダイカードフェス2023」にて『バトルスピリッツ』の日本一バトラーを決める「バトスピチャンピオンシップ2022(以下「チャンピオンシップ」)」決勝大会が実施されました。本記事では、日本中から集まった強豪バトラーを制し、チャンピオンシップ優勝を勝ち取ったボス・アルパーカー選手、準優勝を手にしたPure選手のお二人にインタビューを敢行。チャンピオンシップを振り返ると同時に、チャンピオンシップベスト4の選手が招待された「アジアエキシビショントーナメント2023(以下「アジアエキシビション」)で海外選手とバトルした感触についてもお話をうかがいました。

▲1枚目画像中央:ボス・アルパーカー選手・2枚目写真中央:Pure選手

なお、チャンピオンシップとアジアエキシビションは、いずれも『バトスピ』公式YouTubeチャンネルにてアーカイブされていますので、あわせてチェックしてみてください!

 

目次

■チャンピオンシップを終えて

―まずはボス・アルパーカー選手、優勝おめでとうございます! 少し日が経ちましたが、現在の心境や周囲の反応はいかがでしょうか?

ボス・アルパーカー選手(以下「ボ」):僕はショップバトルはほぼ毎週参加していたんですが、チャンピオンシップを含めて大型の公認大会は初めての参加だったので、優勝できたのは非常にびっくりしました。周囲のバトラーにもすごく祝ってもらえましたし、『バトスピ』を知らない友達にも大会に出ること自体は話していたので「なんか優勝してるじゃん!」みたいな感じで褒めてもらえましたね。

―初参加で全国優勝はすごいです! ショップバトルは長く参加されているということで『バトスピ』のプレイ歴自体も長いのでしょうか。

ボ:高校の友だちに誘われて2010年のブースター第8弾「戦嵐」から始めたんですが、実は翌年の覇王編 第1弾「英雄龍の伝説」で一旦休止したんです。そこから10年弱経って、その友人から自分が大好きな「ガンダム」がコラボで出ることを教えてもらって、それならばと2019年のメガデッキ「ダブルノヴァデッキX」で復帰した形になります。アルティメットとか煌臨とか創界神ネクサスとか、知らないシステムだらけで大変でしたが(笑)、そこからはずっと続けています。

―今回ボス・アルパーカー選手が優勝されたデッキも「エヴァンゲリオン」ですし、コラボが復帰のきっかけというのは説得力がありますね。

ボ:たしかに。「エヴァンゲリオン」も大好きなシリーズなので、コラボデッキで優勝できたのはうれしいです!

―そしてPure選手、準優勝おめでとうございます! 同じく現在の心境などをお聞かせください。

Pure選手(以下「P」):僕もチャンピオンシップみたいな大規模大会の本戦出場は初めての経験で、決勝トーナメントまで上がってこれたことにすごく驚いていました。ボス・アルパーカー選手と同じく、ショップバトルやバトラーズカップのようなショップ大会には出ていたんですが、こういった大規模公認大会はいつも店舗予選で敗退していたので……。

―それがアジアエキシビションまで出場するなんて快挙です! 周囲の反応はいかがでしょう?

P:バトラーの友人に祝福されたのはもちろんなんですが、実は両親にも決勝トーナメントに進出したことを伝えていて、YouTubeの配信を観戦してくれていました。ただ、両親は自分のバトラーネームを知らないので、トーナメント表が出た時点で「息子は勝ち上がれなかったんだな」と思っていたらしいんです。そこから決勝で突然僕が画面に映って、すごく驚いていたとか(笑)。あと、大学の所属サークルで声優さんを呼ぶイベントを企画していて、僕は運営に携わっていたんですけど、そのイベント日がちょうどアジアエキシビションの翌日だったんです。前日設営とかも参加できなくなるので、申し訳ないと思いつつサークルメンバーに事情を説明したんですが、みんな驚きながらも参加を快諾してくれたんです。それどころか、『バトスピ』をほとんど知らないはずなのに配信を観て応援してくれたり、みんなが準優勝を祝福してくれてすごくうれしかったです!

―温かいエピソードですね……! ちなみにPure選手は『バトスピ』をいつごろからプレイされていたのでしょう?

P:『バトスピ』に初めて触れたのは第1弾からなんですが、当時は小学校低学年だったのでルールもほとんど理解していませんでしたね(笑)。昔からカードが大好きで、なんとなくおもしろそうだなと思って親にねだって買ってもらった思い出があります。そこからしばらくはカードを集めるのがメインで、高学年になっていくにつれてルールもだんだんわかってきたんですが、中学校に上がったタイミングで周囲にバトラーがいなくなってしまい、一度休止しています。でも、中学3年生で同じクラスにバトラーを見つけて意気投合してすぐ復帰して、高校大学とずっと続けている感じです。

―なるほど。子供の頃から続けてきたこともあって、ご両親や周囲も理解があったんですね。

P:そうですね。いろいろなカードゲームを触ってきましたけど、そのなかでも『バトスピ』は一番力を入れてきたタイトルなので、準優勝という実績を残せたのは誇らしいです。

 

■決勝トーナメントの使用デッキ

―ここからは決勝トーナメントで使用されたデッキについてお伺いしていきます。まずは優勝されたボス・アルパーカー選手の「初号機(エヴァンゲリオン)」について、採用理由などをお聞かせください。

カードNo. 種類 カード名 枚数
BS58-X03 スピリット 幻惑の隠者騎士バジャーダレス 2
CB21-X01 スピリット EVANGELION Mark.06 -カシウスの槍- 2
CB21-X02 スピリット エヴァンゲリオン 第13号機 3
CB23-010 スピリット エヴァンゲリオン 第13号機 -記憶の世界- 3
CB23-X03 スピリット エヴァンゲリオン 試験初号機 -カシウスの槍- 3
CB23-035 ブレイヴ ガイウスの槍 2
CB23-X05 ブレイヴ 碇シンジ -シンクロ率∞- 3
CB23-X06 ブレイヴ 真希波・マリ・イラストリアス -お待たせ! シンジ君- 3
SD62-012 ブレイヴ 碇シンジ 3
BS53-TX02(A) ネクサス 紫の世界 3
BS53-TX02(B) スピリット 紫の悪魔神
CB23-041 ネクサス 鈴原トウジ 2
CB23-043 ネクサス ゴルゴダオブジェクト 3
CB23-044 ネクサス 相田ケンスケ 3
CB21-058 マジック さあ約束のときだ、碇シンジ君。今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ 1
SD56-RV008 マジック 覇王爆炎撃(リバイバル) 2
SD56-RV009 マジック 絶甲氷盾(リバイバル) 2

ボ:決勝トーナメントの開催日が最新ブースターの契約編 第4章「ビヨンドエボリューション」の発売から3週間経ったタイミングで、まず短期間で新環境を理解するのがすごく大変でした。最初は「王契約」を採用候補としてまるまる1週間触っていたんですが、結局「蒼契約」のほうがフィニッシュパターンやリソースの優位点が多くて断念しました。ただ、そこで契約デッキ全体の練度が上がったので、次はデッキパワーが高くてSNSでも評価されていた「血契約」を検討しました。しかし、人気ということもあって相手に対策を取られている可能性が高く、その場合プレイ難易度が跳ね上がるデッキだったので、残り2週間でものにするのは難しいかなと使うのをやめています。その判断に至るまで不慣れな「血契約」をずっと回していたのでストレスが溜まっちゃって(笑)、気晴らしにそれまで6ヶ月くらい使っていて2次予選も突破した「初号機」を握ってみたら、想像以上に使い心地がよかったんです。「初号機」は白デッキが苦手なんですけど、現環境は耐性貫通の手段が増えたせいで耐性が強みとなる白デッキが減ったんですよね。その追い風もありつつ、対面が多そうな「蒼契約」「血契約」にもプレイングで何とか勝てるなと気づいて、最終的に「初号機」に落ち着きました。

―結局はメタゲームより練度が勝ったと。

ボ:どうなんでしょうね……。決勝トーナメントに上がってきそうなデッキの候補を事前にピックアップしていたんですが、20種類くらい出てきちゃったんですよ。正直これを全部試すのは無理そうだなというのも「初号機」に落ち着いた理由かもしれません。あとは、自分のデッキはかなり前から固まっていたレシピをあまり変えずに使っているので、対策カードもたくさん出てきてはいるんです。新弾で超契約煌臨が注目されていたこともあって、直近の同じデッキの優勝報告が片手で数えるくらいしかなかった。だから、従来どおりのデッキをあえて握ることで、相手の裏の裏をかいて惑わすことはできるんじゃないかなという狙いはありましたね。

―多彩なデッキが勝ち上がってくる群雄割拠の環境ならではのデッキ選択、お見事です! 一方でPure選手は「空契約」を採用されていますが、こちらはどうでしょう?

カードNo. 種類 カード名 枚数
BS62-CX01 契約スピリット 相棒翼竜テラード 1
BS52-010 スピリット エンシェントドラゴン・フェブラーニ 3
BS52-019 スピリット 吸血伯爵エル・サルバトール 1
BS52-XX02 スピリット 三賢神ラルヴァンダード 3
BS63-012 スピリット 飛翔空牙テラード・ハイタイド 3
BS63-X09 スピリット オラクル二十一柱 XX ザ・ジャッジメント 2
CB06-X01 スピリット 仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム 3
CB13-X05 スピリット アルケーガンダム 1
CB21-X01 スピリット EVANGELION Mark.06 -カシウスの槍- 2
SD39-X01 スピリット 秩序龍機νジークフリード 1
SD55-009 スピリット 道化竜フール・ジョーカードラゴン 3
BS47-087 ブレイヴ Z魔神 2
BS51-RV005 ブレイヴ 暗黒の魔剣ダーク・ブレード(リバイバル) 2
BS52-TX01(A) ネクサス 赤の世界 3
BS52-TX01(B) スピリット 赤き神龍皇
BS60-074 ネクサス 溶岩海のエデラ砦 3
CB05-055 ネクサス ダークタワー 2
BS63-090 マジック オラクルXX オーバージャッジメント 3
SD56-RV009 マジック 絶甲氷盾(リバイバル) 2


P:
自分はトーナメント初参戦ということもあって、環境読みとかはほとんどできておらず「蒼契約」が多いのかな? くらいの認識でした。なので、今年に入って作ったデッキをそのまま使い続けました。ただ、形は初期から結構変わっていて、《時空龍クロノ・ドラゴン》《合体魔王獣ゼッパンドン[ウルトラ怪獣2020]》なんかも入れていた時期もありましたね。残っているのは《仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム》くらいです。契約スピリットも最初は《相棒武者オボロ》でしたが、大会で使うたびに欠点を見つけて改良していくうちに《相棒竜グロウ》のほうがドローができるなとなり、さらにワンターンキルが狙える《相棒翼竜テラード》へ鞍替えしていきました。そのタイミングで京都の大会に出場したんですが、そこで同じ「空契約」を使うバトラーさんと出会って、お互いにデッキを見せあいながらさらに改良を重ねることができました。どのデッキも不利な対面はあると思うのですが、このデッキに関しては手札さえ揃えれば相手が構えてくる前に押し切れますし、防御札を抱えていても《仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム》《Z魔神》《暗黒の魔剣ダーク・ブレード(リバイバル)》をそろえてアタックすればフラッシュタイミングを与えずに勝ちきれるので、どのデッキにも上振れればワンチャンスがあると考えました。

―たしかに決勝戦でも序盤からガンガン攻めていました。ボス・アルパーカー選手は従来のレシピを維持、Pure選手は最新カードも積極的に取り入れてと、対照的なデッキ構成となっていますが、それぞれデッキ調整で気をつけたポイントはあるのでしょうか?

ボ:「初号機」デッキはネクサスやブレイヴを使ってドローして《エヴァンゲリオン試験初号機 -カシウスの槍-》の連続アタックや《エヴァンゲリオン 第13号機》の高打点でフィニッシュという攻撃の主軸は固まっていて、残りの限られた10枚に満たない自由枠、防御札に何を割くかがおもしろいポイントだと思っています。今回は2次予選から《幻惑の隠者騎士バジャーダレス》《絶甲氷盾(リバイバル)》《覇王爆炎撃(リバイバル)》を採用しています。僕はチャンピオンシップ初参加で、住んでいる宮崎はバトラーも大会も少ない環境なので、自分より対戦相手のプレイングが絶対うまいだろうという気持ちがありました。例えばマッチアップの勝率が五分、手札も同質となった場合、プレイングでは絶対に勝てない。だから手札がよくないときのことは逆に考えず、上振れする方向に懸けたんです。

―回ったら絶対勝てるプランをめざしたんですね。

ボ:バーストに《闇輝石六将 砂海賊神ファラオム》を採用して受け性能を高めた時期もありましたが、受けだけで終わって自分の手札が増えないので、自力のドローに頼るしかなくなるんですよね。一方で《幻惑の隠者騎士バジャーダレス》なら2ドローで上振れに繋げられる。また《絶甲氷盾(リバイバル)》《覇王爆炎撃(リバイバル)》はどちらもライフ減少時に手札からタダで使えるので、直前のターンにギリギリまでコアを消費して動けるんです。防御札のためにコアをキープしておくのは『バトスピ』の基本ですが、このデッキは使い切ってもカバーができる。アグレッシブに動けるのでデッキの回転率も上がって、事故率も減って、上振れに繋がっていくんです。

―たしかに《覇王爆炎撃(リバイバル)》と《幻惑の隠者騎士バジャーダレス》は決勝でも大活躍していました!

ボ:そうですね。あの場面はまさにっていうパターンで、あのターンはコアをギリギリまで使って残り1個の状態だったところを、その2枚の破壊でしのぎつつ、2ドローで次ターンのフィニッシュルートをきれいに整えられた展開となりました。Pure選手のデッキは知らないタイプでしたし、プレイも格上だと実感したので、何をすれば許されるか瀬戸際まで考えられるというか、デッキの質を信じられるこの防御札の選択がなければ勝てなかったと思います!

P:僕は先に話した通り、このリストに至るまでにいろいろと試行錯誤がありました。まずは《道化竜フール・ジョーカードラゴン》が浮かびますね。このデッキのいいところは後攻1ターンキルのルートがたくさんあるところなので、なるべく広い選択肢をとれるように、カウントが増えたら発動できるコスト5以上の赤のスピリットというところで《エンシェントドラゴン・フェブラーニ》に加えてフル採用しています。あとは後攻1ターンキルのルートを増やす意味で《秩序龍機νジークフリード》《アルケーガンダム》も採用しました。《νジーク》なら後攻1ターン目に《相棒翼竜テラード》のカウントアップから《フェブラーニ》《フール・ジョーカー》《吸血伯爵エル・サルバトール》のどれかを【バースト】で召喚したところに【煌臨】させて、探してきたブレイヴを【合体】して合計5点。《アルケーガンダム》の場合は同じ流れの【バースト】召喚に加え、手札から《三賢神ラルヴァンダード》とあわせて出すことで5点が達成できます。また、もうひとつの勝ち筋である《ファイズ ブラスターフォーム》にブレイヴを【合体】して強制ブロックで相手のライフを一気に持っていく形も、より再現性を高めるために《Z魔神》に加えて《暗黒の魔剣ダーク・ブレード(リバイバル)》を採用してるのもポイントですね。

 

―2つのフィニッシュプランにあわせてデッキを特化していったと。防御面のケアはされていたんでしょうか。

P:新弾で出た強い防御札として《オラクル二十一柱 XX ザ・ジャッジメント》《オラクルXX オーバージャッジメント》は抑えつつ、プラスアルファで《絶甲氷盾(リバイバル)》を入れています。《白晶防壁(リバイバル)》だとコアが残らない可能性もあるので確実性をとったほか、手札保護もできるので「蒼波」に対しても受けが効くのも理由ですね。フィニッシュプランで決めきれなかった場合にもちゃんと耐えられるように防御もある程度厚くしています。

 

■決勝トーナメントのハイライト

―決勝トーナメントで印象に残ったバトルをお聞かせください。

ボ:決勝トーナメントの3戦はどれもギリギリのバトルで甲乙つけがたいのですが、準決勝、決勝は配信で取り上げていただけたので、準々決勝の試合を振り返りたいです。ぜろえむ選手の「蒼契約」との対戦だったんですが、実は予選のスイスドローの4回戦でも当たって一度負けているんです。そのときは序盤からめちゃくちゃ上手なプレイを目の当たりにして「これが全国レベルか……!」と思い知らされました。そこから決勝トーナメントの準々決勝で再戦することとなり「これを超えないとこの先絶対に勝てないぞ」と気合を入れ直して立ち向かったんですが、プレイングが活きた特殊なフィニッシュパターンで勝つことができて自信につながりました。

―特殊なフィニッシュパターンとは?

ボ:たしか後攻4ターン目くらいで勝てたんですけど、「蒼契約」の理解度を高めていたおかげで、手札の捨て方のパターンで相手にフィニッシャーとなる《神海皇子ガブル・シャック》《神海大帝ケーニッヒ・シャック》が揃っていないことに気づけたんです。今の「蒼契約」《ガブル・シャック》がいないと盤面を処理する能力が低いので「今《エヴァンゲリオン 第13号機》を出したら除去できないのでは?」と思いました。そこで2軽減の状態から6コストで《第13号機》を強引に召喚して、ドローに使った《碇シンジ》を【合体】してレベル1でアタックしたんです。

―隙を逃さないために素出しのような形で攻めたんですね。

ボ:本来の使い方ではないので、ぜろえむ選手もビックリした顔してましたね(笑)。そのアタックで3点を与えてターンを返しつつ、手札の潤沢な防御札で相手ターンをしのぎ、次のターンでそのまま《エヴァンゲリオン 第13号機》で削り切るバトルになりました。逆に防御札が重なりすぎて手札事故のような状態になっていたので、これが唯一の勝ち筋だったと思います。実はこの動き自体は歴代のショップバトルや練習で長く「初号機」を回してきたなかで結構使ってきたパターンなんですが、全国レベルでも通用したというのが自分のなかで自信にもなりましたし、準決勝以降のモチベーションにもつながったので、すごく印象に残っています。

P:決勝はもちろんなんですが、僕は準決勝も印象に残っています。全国大会32選手のなかで、唯一同じ《仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム》を採用した「空契約」を使っているはるき。選手とのバトルで、予選でも1回バトルしていました。そのときは僕が結構攻めていたんですが《秩序龍機νジークフリード》の煌臨時に《EVANGELION Mark.06 -カシウスの槍-》で止められてしまったんです。そこで絶望してしまったのもあって、そのあと攻めてライフを削った際に出された《オラクル二十一柱 XX ザ・ジャッジメント》に対して、召喚時効果が強制発動なのに手札にあった《Mark.06 -カシウスの槍-》を出し忘れたりもしていて、後悔を残す形で負けてしまいました。

―Pure選手もはるき。選手に準決勝でリベンジすることになったんですね。

P:そうですね。準決勝でははるき。選手が先攻で《相棒翼竜テラード》を召喚したあと《ダークタワー》を配置して、手札の《秩序龍機νジークフリード》の【煌臨】を封じられてしまったんですが、相手の残りコアが1個で【バースト】を破棄してくる《超星使徒スピッツァードラゴン》は出てこないだろうと読んで《エンシェントドラゴン・フェブラーニ》《ダークタワー》を破壊しました。そこからはプラン通り《νジーク》を【煌臨】させ《EVANGELION Mark.06 -カシウスの槍-》も使われなかったので2ターンで押し切ることができました。僕やはるき。選手のような形の「空契約」はほかでも見かけることが多いのですが《νジーク》を採用したデッキはほとんどなくて、自分のデッキの特長のひとつかなとも思っています。その特長でリベンジを果たせたというのは印象的でしたね。

 

■アジアエキシビション

―お二人を含め、チャンピオンシップのベスト4バトラーはアジアエキシビショントーナメントで海外のバトラーともバトルを繰り広げましたが、感触はいかがでしょう?

ボ:アジアエキシビションはいろいろ考えた結果「ストライク・ジークヴルム」がおもしろいかなと使ってみたのですが、僕は初戦敗退でベスト4には残れませんでした……。チャンピオンシップからすぐの開催で心身ともに追いついてなかったという言い訳もありますが、それ以上に初戦で当たった海外のバトラーがめちゃくちゃ強くてビックリしました! 相手は《放浪者ダンのブレイドラ》を使っていたんですが、いわゆる「新光導」デッキだったんです。エキシビションの控室で日本バトラー4人がこれからどんなデッキが環境に出てくるか議論してときに挙がっていたひとつで、日本でもまだ使われ始めたくらいのタイミングでした。

―最新環境のデッキを海外バトラーがすでに取り入れていたと。

ボ:日本のベスト4が考えるデッキを率先して採用してるんですから、環境理解度はかなりのものですよ。しかも、難しいデッキなのにリソースの稼ぎ方や使い方に無駄がない、文句なしのプレイングでした。その選手は直近の海外の大会で「夜族」を使われていて、そちらもかなり練度が要求されるデッキなので、短期間で練度が求められるデッキをここまで使いこなしてくるのはすごいです。国内でもトップバトラーのプレイングは「バトスピ エクストリームゲーム」や公式大会の配信で見る機会がありますが、海外バトラーはまた違った洗練がされていて刺激を受けましたね。

P:言語の壁を越えてプレイされているのもすごいですよね。自分は海外のバトラーとプレイすると聞いて、カードのテキストとか読めなかったらどうしようと不安になっていましたし、当日は通訳の方が常駐していなかったので緊張していました。でも、実際バトルしてみたら海外のプレイヤーも日本語のカードを使っていますし、みなさん日本語が上手で安心しました。また、僕は事前のリサーチがあまりできてなくて、Twitterで海外の優勝デッキを軽くチェックしたくらいだったんですが、対戦相手となった海外の選手はチャンピオンシップの配信で僕のことを知ってくれていたみたいで、あらためて準優勝を実感できた瞬間でした。バトルの戦績としてはチャンピオンシップから少し調整した「空契約」で2戦目まで勝ち進みましたが、3戦目で敗退してベスト4入賞となりました。僕はチャンピオンシップも含め、配信で取り上げてもらったフィーチャーマッチはすべて負け試合となっているのでお恥ずかしいですが……。

―アジアのベスト4入りはすばらしい結果だと思います! アジアエキシビションの3戦で印象に残っているバトルはありますか?

P:バトル内容としては《相棒翼竜テラード》の召喚時効果が強制なのが災いして、1戦目と2戦目は《EVANGELION Mark.06 -カシウスの槍-》で止められ、3戦目では《吸血伯爵エル・サルバトール》に止められと、まともに効果が通らなくて苦しいバトルが続きましたね。ただ、1戦目の海外選手とのバトルでは、相手の使用デッキが自分も2次予選で使っていた「ストライク・ジークヴルム」で、手札が重たそうな気配をすぐに察知できました。なので、相手がギリギリ主力を出せないようにあえてアタックをせずにコアを調整して、なんとか5点を作れるタイミングを見計らって勝利できたのはよかったですね。《テラード》が止められてうまく機能しなかったところを、調整で採用した《ヴァンピーアヴォルク》でつなげたことも印象に残っています。勝利はできましたが、相手の海外選手もかなり強い方だったので、チャンピオンシップも含めてよい経験をさせてもらったなと思っています。

―お二人のお話を聞いていると、海外のバトラーも日本のバトラーと変わらないレベルで熟達されている印象を受けますね。

ボ:配信を見た方はもうご存知かと思いますが、アジアエキシビションを優勝されたのも香港のProfessor J選手なんですよ。みなさん本当にハイレベルですし、いつかリベンジしたいなとも思いました。逆エキシビションじゃないですけど、海外のバトラーともっと戦える機会が増えたらうれしいですね!

 

■ホームにしているカードショップ

―ここからは話題を変えて、普段ホームにしているカードショップがあればお聞かせください。

ボ:僕は宮崎県の宮崎市に住んでいるのですが、そもそも市内で『バトスピ』の大会を開催しているお店が3店舗しかないんですよね。土曜日に1店舗、日曜日に2店舗が開催していて、宮崎のバトラーにとっては日曜がフィーバータイムになってます(笑)。そんな事情もあって、日曜日に開催している「トレカショップNISHIKI」さんと「トレスタ宮崎恒久店」の大会にはほぼすべて参加してます! 特に「トレカショップNISHIKI」さんはここ1年を振り返ってもチャンピオンシップの2次予選と決勝トーナメントの日を除けば参加しなかった大会がないレベルで、店員さんや店長さんとも仲良くさせてもらっているスーパーホームになってます。今回の優勝もお店総出で祝福してくれて、4月には「祝日本一!ボス・アルパーカー杯」という大会を開いてくれるそうです(笑)。

P:僕は滋賀県の近江八幡市に住んでいるんですが、近江八幡駅に直結しているショッピングモールに入っている「CREATIVE STYLE」さんがホームになります。『バトスピ』以外のカードゲームを遊んでいた頃からずっとお世話になっているショップで、日曜日に開催している大会にはずっと参戦していますし、1次予選を通過したのもこのショップでした。大会がない日もふらっと寄ったりしていますね。店長さんとも結構仲良くさせてもらっているんですが、まだ準優勝の報告ができていないので、そろそろ話そうかと思ってます。

―報告ついでに「優勝したボス・アルパーカー選手は記念大会開いてもらえたらしいですよ?(チラッチラッ)」みたいなお願いをしてみるのもありかもしれませんね(笑)。お二人ともよく通われているショップとのことで、お近くに寄られたバトラーはぜひチェックしてみてください!

 

■「契約編」から「契約編:界」へと向かう15周年

―5月から『バトスピ』は新シリーズ「契約編:界」がスタートします。先行情報もいくつか出てきていますが、1年間続いた「契約編」を振り返りつつ、新シリーズへ期待することがあればお聞かせください。

ボ:僕は「契約編」が始まった当初、正直不安だったんですよね。『バトスピ』の特徴として、初期手札が4枚と少ないじゃないですか。加えて、デッキ内に入れられる同名カードが最大3枚で、特定のカードをサーチする手段がないというシステムを軸に作られている以上、初動を確定させる契約カードはゲームバランスを崩壊させないかなって。ですが、蓋を開けてみたら契約カードを除いた残りの3枚のカードの質がものすごく大事になるし、契約カードの枠で手札が1枚少なくなることがリスクになる場面も出てくる。そして、契約カードを採用した多彩なデッキが環境に上がってくるなかで、最終的には契約カードを使わないデッキでチャンピオンシップを優勝するという結果も残せました。なので、今はうまくコントロールされたシステムだと思っていますし、「契約編」の環境には安心感もあります。なので「契約編:界」も心配することなく、次はどんな新しい展開があるのだろうといちユーザーとしてワクワクしていますね! 契約カードの存在自体に信頼を置けたので、それにブレイヴがどんな形で絡んでいくのか楽しみです。あとは新シリーズとは関係ないところにはなりますが、優勝で強さも証明できたので「エヴァンゲリオン」コラボの第3弾をやってくれたらうれしいなと。

P:僕も「契約編」はすごいおもしろい環境でした。初期手札が1枚確定する契約カードのシステムはほかのカードゲームでもなかなかない新しい要素だなと思います。あと、契約カードが登場した初期はやはりデザイナーズデッキというか、ある程度定形のデッキが流行っていましたが、途中から例えば《相棒機スターク》を入れた「新光導」デッキや《相棒狼ランポ》を入れたグッドスタッフみたいな、契約カードを見ただけでは全体像がわからない、いい意味で混沌としたデッキがバトラーの間で開発されていました。契約カードがうまく環境に溶け込んでいろいろなデッキが活躍しているのはすごく好印象ですね。また、カードゲームってどうしても弾を追うごとにインフレして、昔のカードは使われにくくなることが多いですが、『バトスピ』は契約カードで初動が安定したことによって、昔は重くて使われなかったカードが再評価されるような動きが出てきたのも個人的にはすごくうれしいです。契約カードの流れは「契約編:界」でも引き続き楽しみにしているとともに、先行公開された情報のなかでいちばん楽しみにしているのが、アニメ『バトルスピリッツ 少年突破バシン』時代のXレア全20種がリメイク収録される「XVレア」です。初期からカードに触っていたこともあって、いちばん印象に残っているアニメが『少年突破バシン』ですし、何回も観返しているくらい大好きな作品なので、その時代のカードがどう生まれ変わっていくのかすごく期待しています。それでいうと、僕はカードゲームとして『バトスピ』をプレイするのと同じくらいアニメの『バトスピ』が大好きなので、15周年を記念してまた通年でアニメをやってくれないかなという願望もありますね!

ボ:15周年でやってほしい施策でいえば、今回のバンダイカードフェスのようなオフラインのイベントをたくさんやってほしいなという気持ちはありますね。僕はオンラインカードゲームもメインでプレイしていて、競技的にも技術的にもすごく発展していると感じています。対して『バトスピ』のようなオフラインのカードゲームは向かい風に見えますが、今の時代に他人と面と向かって交流できることってすごい貴重だなと思うんです。今回のチャンピオンシップの優勝はもちろん、それ以外にも『バトスピ』でしか得られない経験をたくさんさせてもらいました。次のチャンピオンシップは1年後になると思いますが、その間を埋めるようなオフラインの大会イベントを15周年で実施してくれるとすごくうれしいです!

P:対面イベントは盛り上がって欲しいですね。追随して、今回のエキシビショントーナメントでアジアの選手と対戦して、海外のバトラーと対戦する楽しさを知れました。なので、もっと世界規模で『バトスピ』が盛り上がったらいいなって思いますね。

―英語圏では英語版の『BATTLE SPIRITS SAGA』も展開が始まりますし、いつか世界大会のようなイベントが開催されるといいですね!

 

■最後にひとこと

―最後に読者へひとことお願いします!

ボ:僕は先に話した通り、宮崎という田舎に住んでいて『バトスピ』の交流がどうしても少ないので、ぜひ宮崎に遠征に来てほしいですね(笑)。逆にこっちが遠征しに来いという話なんですが、どこに行けばバトラーがたくさんいるのかわからなくて……。優勝後に東京のショップバトルに何回か参加したんですけど、ありがたいことにチャンピオンシップを見ましたとか、宮崎行ってみたいですって言ってくれる方も多くて、優勝するってこんなに大きいことなんだなって思うと同時に、もっとたくさん交流がしたくなりました。宮崎は美味しいものもいっぱいあるので、ぜひお越しください!

P:僕はチャンピオンシップに参加する前までは本当にただバトルを楽しんでいる一般のバトラーだったんです。そんな僕でも毎日ずっと『バトスピ』続けていたら、チャンピオンシップで準優勝して海外のバトラーと交流できるまで成長できました。みなさんも「自分には関係ない世界だろうな」と思わずに、日々のバトルを楽しみながら大会にもチャレンジしてみてください!

―ありがとうございました!

 

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