『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「第四期名人戦」北信越予選で優勝したぱっつぁんさんのインタビューをお届けします。
◆はじめに
みなさん、こんにちは!『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
熱戦の繰り広げられた「MASTERS2021」が幕を閉じ、「光の使者」環境もいよいよ終盤です。
「第四期名人戦」も後半戦に入り、残された「名人位決定戦」への出場権をめぐり、全国では引き続き予選大会が開催されてきました。
僕はといえば、「MASTERS2021」の終了で若干燃え尽き気味のモチベーションでゆるゆると『FFTCG』を楽しんでいました。
が、
そんな僕の耳に衝撃的なニュースが飛び込んできました。
先代(第2期)の『FFTCG』名人で、無限ループの愛好家であるぱっつぁんさんが「第四期 名人戦」北信越地区予選を「土風【テテオ】」で優勝されたというのです。
ぱっつぁんさんは、これまでも無限ループの研究に意欲的に取り組んでいましたが、大きなトーナメントの場ではよりソリッドなデッキ選択をするというイメージのプレイヤーでした。
そんなぱっつぁんさんが無限ループを持ち込み、しかも公式トーナメントで優勝したとあれば、これはインタビューしないわけにはいきません。さっそく声をかけさせていただき、「土風【テテオ】」についてお話をうかがってきました。
今回は皆さんに「土風【テテオ】」の全貌と完成に至るまでの過程をお伝えしたいと思います。
ぱっつぁん
東海のプレイヤーで、二代目『FFTCG』名人にして、無限ループ研究の第一人者。
普段ソリッドなデッキ選択を行なう彼が、ついに専門分野の無限ループで優勝を果たした。
彼が長い歳月をかけて育てた「土風【テテオ】」を、ぜひこの機会に目にしてほしい。
◆繰り返される試行錯誤の果てに! 「土風【テテオ】」無限ループ!
――「第四期名人戦」北信越地区予選、優勝おめでとうございます。
ぱっつぁん:ありがとうございます。
――ぱっつぁんさんは以前から『FFTCG』の無限ループを熱心に研究しており、今回使用された「土風【テテオ】」もそんな無限ループを主軸にしたデッキでした。無限ループというものについてなじみのない方も多いかと思いますので、まずは今回のデッキがどのような動きでゲームに勝利するのかを教えていただけますか?
●「土風【テテオ】」(「第四期名人戦」北信越地区予選優勝 フォーマット:スタンダード)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(15枚) | ||
【16-048H】 | 《ジタン》 | 3 |
【16-135S】 | 《ルールー》 | 3 |
【16-134S】 | 《ユウナ》 | 2 |
【12-051R】 | 《パイン》 | 1 |
【16-081R】 | 《ミラ》 | 3 |
【9-076H】 | 《ラーケイクス》 | 2 |
【10-127H】 | 《シトラ》 | 1 |
バックアップ(20枚) | ||
【8-058R】 | 《ノルシュターレン》 | 3 |
【11-056R】 | 《フィオナ》 | 3 |
【12-038H】 | 《アルテア》 | 2 |
【13-046R】 | 《パブロフ》 | 1 |
【1-197S】 | 《アニキ》 | 2 |
【11-073H】 | 《テテオ》 | 3 |
【3-096R】 | 《リディア》 | 3 |
【1-107L】 | 《シャントット》 | 3 |
召喚獣(8枚) | ||
【1-062L】 | 《ヴァルファーレ》 | 3 |
【9-068H】 | 《ドラゴン》 | 2 |
【15-082H】 | 《ヘカトンケイル》 | 2 |
【16-074C】 | 《サボテンダー》 | 1 |
モンスター(7枚) | ||
【7-053C】 | 《ズー》 | 3 |
【14-049H】 | 《テュポーン》 | 1 |
【16-043H】 | 《アトモス》 | 1 |
【8-080C】 | 《プーマ夜光》 | 2 |
ぱっつぁん:まず、これから説明する流れはすべて、バックアップが5枚あり、【11-073H】《テテオ》のアクションアビリティでキャラクターカードのコストが1軽減されていることが前提となります。
今回の「土風【テテオ】」は【16-048H】《ジタン》・【1-062L】《ヴァルファーレ》・【16-135S】《ルールー》(もしくは【10-127H】《シトラ》)のコンボによる勝利を狙うデッキです。
【1-062L】《ヴァルファーレ》で【16-048H】《ジタン》と【16-135S】《ルールー》を手札に戻し、【16-135S】《ルールー》で【1-062L】《ヴァルファーレ》を回収することで、【16-048H】《ジタン》を何回もキャストし、相手のデッキをすべてゲームから除外することができます。
このコンボは【11-073H】《テテオ》を起動した状態では、【16-048H】《ジタン》が1CP、【16-135S】《ルールー》が2CP、【1-062L】《ヴァルファーレ》に5CPと、合計して8CPのコストがかかるのですが、【1-062L】《ヴァルファーレ》で手札に戻して再度キャストするフォワードによってバックアップから8CPぶんのコストを捻出できれば、このアクションを1ターンの間に無限に使用できることになります。
そのためにこのデッキでは以下のカードで、余剰の8CPを確保しています。
(-の数値は、キャラクターのキャストにかかったコスト-アクティブになったバックアップの数=生み出される余剰のCP)
[-4]:【16-081R】《ミラ》+【7-053C】《ズー》
[-2]:【9-076H】《ラーケイクス》+【7-053C】《ズー》
[-2]:【10-127H】《シトラ》+【7-053C】《ズー》
[-2]:【16-134S】《ユウナ》
[-2]:【12-051R】《パイン》
これらのカードを数値の合計が[-8]になるように組み合わせ、【1-062L】《ヴァルファーレ》・【16-048H】《ジタン》・【16-135S】《ルールー》とそろえることで、
●フィールド
・【16-048H】《ジタン》
・【16-135S】《ルールー》
・【7-053C】《ズー》
●余剰8CPを生み出すために使用するフォワード
●アクティブ状態のバックアップ5枚
●手札
・【1-062L】《ヴァルファーレ》
という状況を作ります。
最後に【1-062L】《ヴァルファーレ》をキャストしてコンボパーツを手札に戻し、【7-053C】《ズー》を起動してバックアップを5枚アクティブにすれば、手札に戻ったフォワードをすべてキャストしなおして同様の状況を作れるので、これを無限に繰り返し【16-048H】ジタンによってデッキ切れによる勝利が可能となります。
注意すべき点として、【1-062L】《ヴァルファーレ》のキャスト後に【7-053C】《ズー》でバックアップをアクティブにすることが必須なので、上記の状況を整えるため手順の最後に。
【16-048H】《ジタン》+【16-081R】《ミラ》or【7-053C】《ズー》+上の[-2]の組み合わせのいずれか
とキャストして、フィールドに【7-053C】《ズー》を残す必要があります。
また、
-4:【16-081R】《ミラ》+【7-053C】《ズー》
-2:【9-076H】《ラーケイクス》+【7-053C】《ズー》
-2:【10-127H】《シトラ》+【7-053C】《ズー》
の組み合わせで-8CPを作る際は、【1-062L】《ヴァルファーレ》をキャストするための5CPも【7-053C】《ズー》を経由する必要があるため、【7-053C】《ズー》が2枚必要になるということも覚えておいてください。
――無限コンボに直接関わらないカードは、それぞれどういった意図で採用されているのでしょうか?
ぱっつぁん:それを説明するために、僕が「第四期 名人戦」東海地区予選で使用したリストについて触れさせてもらいます。
●「土風【テテオ】」(「第四期名人戦」東海地区予選 フォーマット:スタンダード)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(19枚) | ||
【16-048H】 | 《ジタン》 | 3 |
【16-135S】 | 《ルールー》 | 3 |
【16-134S】 | 《ユウナ》 | 2 |
【1-199S】 | 《パイン》 | 1 |
【12-051R】 | 《パイン》 | 1 |
【16-081R】 | 《ミラ》 | 3 |
【9-076H】 | 《ラーケイクス》 | 2 |
【10-127H】 | 《シトラ》 | 1 |
【1-090R】 | 《リュック》 | 3 |
バックアップ(19枚) | ||
【8-058R】 | 《ノルシュターレン》 | 3 |
【11-053H】 | 《ドネッド》 | 1 |
【11-056R】 | 《フィオナ》 | 1 |
【12-043C】 | 《白魔道士》 | 3 |
【13-046R】 | 《パブロフ》 | 1 |
【1-197S】 | 《アニキ》 | 1 |
【11-073H】 | 《テテオ》 | 3 |
【3-096R】 | 《リディア》 | 1 |
【8-069R】 | 《アプルル》 | 2 |
【1-107L】 | 《シャントット》 | 3 |
召喚獣(8枚) | ||
【1-062L】 | 《ヴァルファーレ》 | 3 |
【10-055H】 | 《チョコボ》 | 2 |
【10-068C】 | 《クーシー》 | 3 |
モンスター(4枚) | ||
【7-053C】 | 《ズー》 | 3 |
【16-043H】 | 《アトモス》 | 1 |
この段階での構築は簡単に言うと「自分のことしか考えていないデッキ」でした。
無限コンボを成功させることに特化し、今回の構築では採用していない
【1-090R】《リュック》+【8-069R】《アプルル》+【12-043C】《白魔道士》+【7-053C】《ズー》
のギミックも採用した構築で、【15-082H】《ヘカトンケイル》などの相手へ干渉するカードはほとんど採用せず、有利なデッキに勝つことだけを考えた構築です。
これはさすがにやりすぎていて、環境的に見ても現在と比べアグロデッキが多いメタゲームで、無限コンボを決め切る前に負けてしまったため、この大会の成績は2勝4敗と振るわないものでした。
さすがに反省して、「MASTERS 2021 FINAL」のしどさんのデッキなども参考にしながら、調整して北信越地区予選に持ち込んだのが今回のデッキです。
――バックアップを手札に戻せる【1-090R】《リュック》ギミックの採用をやめたこともあってか、バックアップ周りのカードもガラリと変わっていますね。
ぱっつぁん:【11-073H】《テテオ》と【8-058R】《ノルシュターレン》に関しては説明不要かと思うので省かせてもらいます。
【13-046R】《パブロフ》は序盤の起爆剤になるカードです。
【8-058R】《ノルシュターレン》→【11-073H】《テテオ》とスタートしたゲームの3ターン目、【11-073H】《テテオ》起動から【8-058R】《ノルシュターレン》をコストに【13-046R】《パブロフ》をキャストし、さらにコスト3のバックアップとつなげられると非常に強力なので、1枚は絶対必要なカードです。
【12-038H】《アルテア》はしどさんの構築を見ていて非常にいいなと思い採用したカードです。
「土風【テテオ】」の無限コンボは【1-062L】《ヴァルファーレ》を起点としているため、【1-062L】《ヴァルファーレ》にあわせて除去を打たれるとコンボを止められてしまうことがあるのですが、【1-062L】《ヴァルファーレ》を打つタイミングは前提として【7-053C】《ズー》がフィールドにいるため、除去にあわせて【12-038H】《アルテア》を構えることができます。
こちらに対してアタックをしかけてこない相手に対して、【12-038H】《アルテア》+【1-107L】《シャントット》で盤面をリセットし続けるだけで勝てる試合もあるため、これ自体が特定のデッキに対する勝ち筋になる点も評価しています。
【11-056R】《フィオナ》を出すためにバックアップをどけなければならないシーンもあり、そういった融通性の面でも優秀なカードとなっています。
【3-096R】《リディア》は東海地区予選のときも1枚採用していたカードですが、今回は3枚に増量して採用しています。
このデッキではコンボの都合上、土属性のCPしか生み出せないバックアップを【11-073H】《テテオ》含めて2枚までしか置くことができないので、名前が被ることを嫌って3種類目の土属性のバックアップを採用するより、【3-096R】《リディア》を3枚採用したほうがいいと気付き、今回の構築では増量して採用しました。
厳密には、土属性のCPしか出せないバックアップを3枚置いた場合も無限コンボ自体はできるのですが、動きがもっさりしてしまうので現実的ではないです。
これと同じ理屈で、【11-056R】《フィオナ》も3枚採用しています。
東海地区予選のときも、1枚か2枚で頭を悩ませていたのですが、【11-056R】《フィオナ》を引きすぎてつらいパターンよりも、引けなくてつらいパターンのほうが絶対多いなということに気付いて3枚採用にしました。
コンボに必須となるカードは【1-062L】《ヴァルファーレ》以外すべて【11-056R】《フィオナ》でサーチできるので、【1-062L】《ヴァルファーレ》は【3-096R】《リディア》でサーチして、それ以外は【11-056R】《フィオナ》でサーチしようと割り切ってどちらも3枚ずつとなりました。
【16-134S】《ユウナ》と【16-135S】《ルールー》の登場により、無限コンボ界隈(?)で大きく株を上げたのが、次に挙げる【1-197S】《アニキ》です。
【16-134S】《ユウナ》はコンボパーツでありながら手札に残しておく必要がないため、序盤は【1-197S】《アニキ》で雑に【16-134S】《ユウナ》をサーチし、コストとして活用したうえでブレイクゾーンにストックしておくことができます。
【12-051R】《パイン》を使う際の【カテゴリ(X)】キャラクターのカウントも稼いでくれる優秀なカードですね。
最後に【1-107L】《シャントット》ですが、デッキの性質上バックアップの展開が優先されるので、バックアップを展開しつつフォワードを除去できるカードは必要だと考え3枚採用しています。
フィールドに出た後も実質風属性のバックアップとして運用できるので、展開を邪魔することがない点も優秀ですね。
このスロットに関しては【14-067H】《シャントット》と悩んだのですが、序盤からフォワードを展開してくるデッキに対する回答が必要だったので今回はこちらを採用した形となりましたが、北信越地区予選の会場くらい環境が遅いのであれば、【14-067H】《シャントット》を優先してもよかったかもしれません。
――結果としてバックアップを20枚採用されている、かなり偏った構築になりましたね。
ぱっつぁん:そうですね。ただこのデッキはバックアップを5枚そろえないと勝てないので、この偏りには問題ありません。どれだけコンボパーツがそろっていようと、バックアップが5枚ないと無限コンボは成立しないので。
むしろこのデッキは【1-107L】《シャントット》を3枚採用していることもあり、純粋なバックアップカウントでいえば17枚と、やや少ないくらいだと思っています。
最近は【14-116H】《マシュリー》や【14-118H】《シュテル・リオニス》の存在により、特定のカードタイプに構築を寄せて戦うデッキが多かったですが、このデッキは【11-073H】《テテオ》のためにバックアップに構築を寄せたデッキだと考えてもらえればと思います。
――召喚獣については【1-062L】《ヴァルファーレ》以外は直接コンボにかかわらないカードだと思います。それぞれの役割を教えてください。
ぱっつぁん:召喚獣はそれぞれ明確な理由をもって採用しています。
まず【15-082H】《ヘカトンケイル》ですが、これはしどさんが3枚採用しているのを見て「いいな」と思い採用しました。
東海地区予選のとき「火水【パロムポロム】」に負けた経験があり、アグロデッキへの対策が手薄に感じたことで採用を決めました。
当時は【1-107L】シャントットを無理やり使いまわして相手の攻めをしのいでいたのですが、それはあまりに効率が悪く、コンボパーツ兼リセット手段の【1-062L】《ヴァルファーレ》は当然3枚採用していますが、コスト効率のよいフォワードに対してはそれほど有効ではないため、何かいいカードがあれば採用したいなと思っていたところ、しどさんのデッキで見つけ、自分のデッキにも取り入れることにしました。
とはいえ、環境的にアグロデッキが少ない傾向にあったことも事実なので、3枚は過剰だと感じ【3-096R】《リディア》でサーチできることも加味して2枚採用に留めています。
【9-068H】《ドラゴン》は、相手の【9-068H】《ドラゴン》を対策するために採用しました。
【9-068H】《ドラゴン》が入っていそうなデッキに対して【3-096R】《リディア》からサーチして相手の【9-068H】《ドラゴン》に備え、さらに【16-135S】《ルールー》で回収し、次の【9-068H】《ドラゴン》に備えるという動きで、自分のブレイクゾーンを守れるようにしています。
汎用性が高いカードではありますが、このデッキにおいては他のモードでの使用は考えておらず、採用理由の99%は相手の【9-068H】《ドラゴン》への対抗策です。
同じく【16-074C】《サボテンダー》は【11-140S】《カダージュ》から自分のブレイクゾーンを守るために採用しています。
【11-140S】《カダージュ》に対して【1-062L】《ヴァルファーレ》でしのごうとすると、【11-140S】《カダージュ》を出しなおされて【1-062L】《ヴァルファーレ》を除外されてしまいますが、【16-074C】《サボテンダー》であればしっかりと対処できます。
また、能動的にダメージを受けることができるので、「土風【テテオ】」の動きを理解したうえで【16-081R】《ミラ》をケアしてダメージを止めてくる相手に対する対策にもなります。
ゲーム中に複数回打たれる可能性がある【9-068H】《ドラゴン》対策の【9-068H】《ドラゴン》は2枚、1回しか出されないであろう【11-140S】《カダージュ》対策の【16-074C】《サボテンダー》は1枚採用して、状況に応じて【3-096R】《リディア》でサーチすることを想定していました。
――モンスターも多用されているデッキですが、これらの採用理由も教えてください。【16-043H】《アトモス》は一見コンボパーツなのかなと思っていましたが、話を聞くかぎり直接コンボに絡むカードではないんですね。
ぱっつぁん:【16-043H】《アトモス》に関してはデッキの潤滑油として強いカードだと考えていて、例えばゲーム中相手の攻撃を【1-062L】《ヴァルファーレ》でしのがなければならないターンなどにCPを稼いで、【7-053C】《ズー》を節約するなどの使い方をします。ただ、本命のコンボには絡まないので、採用は1枚で十分だと考えています。
【14-049H】《テュポーン》も除去として優秀なので1枚採用しています。
これらは単純に強力かつ【9-076H】《ラーケイクス》からサーチできることを加味して1枚ずつ採用しているといったカードです。
【8-080C】《プーマ夜光》はカードの再利用手段として採用しているカードです。
無限コンボをスタートする際に、相手に除去があるか計算してから始動する必要があるのですが、【8-080C】《プーマ夜光》があれば1回の除去までなら耐えられるので、フィールドにプールできる回収手段として強い場面が多かったです。
回収枠についてはEXバーストを持つ【10-068C】《クーシー》も検討しましたが、今回に関しては【8-080C】《プーマ夜光》のみの採用としています。
――相手をしていた側からの意見ですが、「土風【テテオ】」はダメージを与えるほど【16-081R】《ミラ》のバリューが高くなっていくのがかなりのプレッシャーで、なかでも【8-080C】《プーマ夜光》が出てしまう5点目のダメージを不用意に与えるのはできるだけ避けたいと思っていました。【16-081R】《ミラ》の登場は、防戦に弱いモンスターデッキの弱点を見事に克服した要素と言えそうですね。
ぱっつぁん:そうですね。そういった側面も確かにあると思います。
――ぱっつぁんさんはこれまでもさまざまな無限デッキを開発、調整されていましたが、トーナメントの場に持ち込んでいるのはあまり見ませんでした。今回ぱっつぁんさんが「土風【テテオ】」を大会に持ち込もうと思った理由についてもお話しいただきたいです。
ぱっつぁん:最大の要因はEXバーストを主軸としたデッキの流行でアグロデッキが減り、環境が遅くなったことにあると考えています。
「土風【テテオ】」は特化すればするほどデッキ内のコンボパーツの割合が多くなるため、ゲームへの干渉力が低くなりアグロデッキに対して弱くなってしまいます。
かつ仮想敵がEXバーストに構築を寄せたことで、通常どおりキャストするにはコストが重いカードが多くなったことでこちらの行動が阻害されにくくなり、「土風【テテオ】」自体がアタックせずに勝利を目指すためEXバーストでの除去に左右されないこともあり、それなら使わない手はないということで「土風【テテオ】」を選択することにしました。
特に北信越地区予選は「MASTERS2021 FINAL」直後だったこともあり仮想敵が明確で、アグロデッキは「火水【パロムポロム】」か「風水【FFX】」、コントロールデッキは「風単【デブチョコボ】」・「風氷」・「【モールズの夜会】デッキ」に絞られるだろうと考えていました。
実際、大会では
「火土」〇
「風水【FFX】」〇
「火水【パロムポロム】」〇
「風単【デブチョコボ】」〇
「風単【デブチョコボ】」×
という結果で、最終戦こそバックアップが間に合わず【11-140S】《カダージュ》に押し込まれてしまいましたが、全体として予想どおりでした。
実は「MASTERS2021 FINAL」もメタゲーム的には今回とよく似ており、会場で「なぜ「土風【テテオ】」を選択しなかったんだろう」と後悔したこともあり、そういった思いから今回使用に踏み切ったという背景もありました。
――「土風【テテオ】」自体は、デッキとしては長い歴史のあるデッキだと思いますが、今回の構築に至るまでにはどういった変遷を辿ってきたのでしょう?
ぱっつぁん:僕はもともと無限コンボを考えてそのルートを開拓することが好きなので、「Opus XI」の発売以降、ずっと【11-073H】《テテオ》を使った無限コンボについて考えてきていました。
そんな「土風【テテオ】」に昨年12月大きな事件が起こりました。
それが【5-067R】《ミューヌ》の禁止です。
それまでの「土風【テテオ】」は【1-090R】《リュック》+【5-067R】《ミューヌ》+【12-043C】《白魔道士》で無限に手札を入れ替えられたため、基本的にバックアップ5枚の状況でこの3枚がそろえばそのまま無限ループに入ることができました。
当時の勝ち筋は、
・【1-069C】《シーフ》+【10-127H】《シトラ》+【1-062L】《ヴァルファーレ》による無限コンボでのデッキ切れ
・【12-044R】《スカリーX》+【12-045R】《スカリーY》+【12-046R】《スカリーZ》と【2-087R】《統制者ハシュマリム》によるワンショットコンボ
というものでしたが、余剰CPの確保に
[-4]:【1-090R】《リュック》+【8-069R】《アプルル》+【12-043C】《白魔道士》+【7-053C】《ズー》
[-4]:【12-044R】《スカリーX》+【12-045R】《スカリーY》+【12-046R】《スカリーZ》+【3-065L】《バッツ》
と要求値が高く、【5-067R】《ミューヌ》が禁止されたことでコンボパーツを集めるためことが難しくなり、非常に苦しい状況になりました。
【5-067R】《ミューヌ》の禁止以降、「土風【テテオ】」はこうした課題に取り組むことになります。
ここにきて大きな問題がデッキスロットの圧迫でした。
無限ループを行なうために必要なカードの種類が多く、それらを3枚ずつ採用しなければならないため、デッキの大半をコンボパーツに割かねばならなかったのです。
そんな「土風【テテオ】」に訪れた次の転機が「カスタムスターターセットFINAL FANTASY X」の発売でした。
【16-135S】《ルールー》が登場したことで、【10-127H】《シトラ》以外にも【1-062L】《ヴァルファーレ》を回収する選択肢が生まれます。
また光属性である【10-127H】《シトラ》を3枚採用しなくてもよくなったことも、デッキを運用するうえで大きなメリットになりました。
【16-135S】《ルールー》は【16-134S】《ユウナ》も回収できるため、序盤でコストにしてしまってもあとから回収して使いやすい点も便利です。
また【16-134S】《ユウナ》が登場したことで、【7-053C】《ズー》を使わなくても【1-062L】《ヴァルファーレ》用のコストが捻出できるようになりました。
これにより、2枚必須だった【7-053C】《ズー》が1枚でもコンボをスタートさせられるようになったことは「カスタムスターターセットFINAL FANTASY X」で得た大きな収穫です。
ただ、この時期は大きなトーナメントもなかったので、デッキを完成させるというより、いろいろなアプローチを試してデッキの可能性を探っていた段階でした。
そして三度目の転機となったのが「光の使者」の発売です。
最大の収穫はなんといっても【16-081R】《ミラ》で、【7-053C】《ズー》とセットで4CP分のコストを稼ぐことができるカードの登場は構築にも大きな変化を与えました。
これは無限コンボ愛好家あるあるだと思うんですが、コストを踏み倒せる要素があるカードを見ていると、それが数字にしか見えなくなるんですよね。
【16-081R】《ミラ》は「-4」にしか見えないし、【16-134S】《ユウナ》は「-2」にしか見えないみたいな(笑)。
――それは、なんともニッチなあるあるですね(笑)。
ぱっつぁん:また、デッキを削る手段として【16-048H】《ジタン》が登場したことも大きな変化です。
これまで採用していた【1-069C】《シーフ》は単体のカードパワーが低かったのですが、【16-048H】《ジタン》は相手から奪ったカードを使えるので、リソースを伸ばすこともでき、コンボパーツ以外としても単体で運用する価値があるカードです。
デッキの構造的に奪ったカードをなんでも使うということはないですが、たとえば除去カードを奪ってそれを妨害手段に回すなど、実際の場面でも活躍してくれる機会は多いです。
デッキの性質上、フォワードがアタックすることはほとんどありませんが、【16-048H】《ジタン》と【16-043H】《アトモス》だけは、アドバンテージを獲得するためにまれにアタックすることを許容してくれるスペックのあるカードでした。
このように「カスタムスターターセットFINAL FANTASY X」そして「光の使者」で新たに登場したカードにより、ついに完成したのがこの「土風【テテオ】」というデッキです。
――1つのテーマに向き合い続け、ようやく大成したデッキだったと。デッキに向き合った時間が長い分喜びもひとしおかと思います。
ぱっつぁん:【11-073H】《テテオ》の登場から苦節2年3か月、ようやく「土風【テテオ】」で優勝を果たすことができたので、本当にうれしいですね。
――ありがとうございました。
◆おわりに
今回は「第四期名人戦」北信越大会予選で優勝したぱっつぁんさんにインタビューを行ない、彼の作り上げた「土風【テテオ】」についてお話をうかがいました。
長い時間をかけて育てたデッキが実を結ぶというのは『FFTCG』のみならず全カードゲーマーの1つの夢だと思いますが、それを実現したぱっつぁんの努力に惜しみない賞賛を送りたいと思います。
ぜひ今後も無限ループの研究を深め、『FFTCG』の可能性に挑んでもらいたいですね。
さて、残す「第四期名人戦」予選大会もあとは今週末の東京地区予選を残すのみ。
「光の使者」環境はどのようなメタゲームに行き着くのでしょうか?
最後まで目を離さずに、見届けていきたいと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!