『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターのたるほさんがデッキの固定スロット、フリースロットという観点から、デッキ構築法をご紹介。新環境で新しいデッキを組もうと思うけどなかなかまとまらないという方はぜひ参考にしてみてください。
◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
みなさんはデッキを組んでいて、ひととおり使いたいカードを決めたあとで「残りの枠に何のカードを入れよう?」と迷ったことはありませんか?
デッキ構築のメジャーな考え方として、デッキの軸となる投入がほぼ決まっている枠=「固定スロット」と、デッキを補完する自由枠=「フリースロット」が存在します。
このフリースロットにどういったカードを採用するかで、固定スロットの部分は同じでも最終的なデッキの方向性は変わってきます。
フリースロットのカード選択こそが、デッキ構築においてもっともプレイヤーの個性が発揮されるポイントと言っても過言ではないでしょう。
今回の記事では、固定スロットとフリースロットを組み合わせてデッキを完成させるための、カードの選択法について考えていきたいと思います。
◆フリースロットを考える その1:「火単【侍】」
まずは「フリースロットが少ない」デッキから考えてみましょう。参考にするアーキタイプは「火単【侍】」です。
「火単【侍】」はみなさんもよく知るとおり、【12-012L】《テンゼン》や【11-003R】《カイエン》といった【侍】のカードを活かして戦うデッキです。
「火単【侍】」デッキでは【12-012L】《テンゼン》のアビリティによるカード供給を安定させるため、【侍】カードを大量に採用しています。
「反撃の雄たけび」で優秀な【侍】が増えたこともあり、デッキの大半を【侍】で埋めることができるようになりました。
フォワードの【侍】は8種×3枚で24枚、
バックアップの【侍】は4種×3枚で12枚、フォワードとあわせて合計36枚あります。これが現状の【侍】の固定スロットです。
また、【侍】ではありませんが火属性のデッキということであれば【12-002H】《アマテラス》も3枚投入されることがほとんどで、これも固定スロットと考えられるでしょう。
これで合計39枚。もちろん、どのカードを固定スロットと考えるかはプレイヤーごとに違いますが、現環境の「火単【侍】」であれば、おおむねこれらのカードを固定スロットと考えてもいいでしょう。
となると、残る11枚がフリースロットということになりますが、ここに何を入れていけばいいのでしょうか?
まず、現在投入されているカードだけの構成を見るとバックアップが12枚しかありません。ここには何枚かスロットを割く必要がありそうです。“追加のバックアップ枠”と名付けておきましょう。
また【侍】どうしのシナジーはしっかりしていますが、アタックフェイズ中や相手のターンにフォワードに干渉する手段がありません。これを補う“除去枠”も必要そうです。
この2つを加えて残った、“真のフリースロット”とでも言うべき最後の数枚という3つの枠で、デッキの残り11枚を埋めていくのがよさそうです。
では、次にこれらの“追加のバックアップ”、“除去”、“真のフリースロット”の3つをどの順番で加えていくかですが、ここでは“追加のバックアップ”から考えていくことにしましょう。
なぜかと言えば「火単【侍】」は単属性デッキなので、デッキ内の属性のバランスを考えなくていいからです。2属性以上のデッキでは、ほかの枠を決めてからバックアップを含めた枚数調整を行なうので優先順位が変わることもありますが、「火単【侍】」であればバックアップの部分をとりあえず固めてしまうのがいいでしょう。
となると、次はどんなバックアップを入れるかですが、ここで加えるカードには大きく分けて2つの方向性が考えられます。それは“固定スロットの長所を伸ばす”か、“固定スロットの短所を補う”かです。
前者で言えば【1-030R】《レブロ》、後者であれば【11-004C】《クー・チャスペル》などが候補となります。
フォワードのパワーを上げてくれる【1-030R】《レブロ》は、【11-003R】《カイエン》のためにある程度フォワードの数を並べたいこのデッキにはぴったりですし、ミラーマッチでお互い【12-012L】《テンゼン》を出し合うかたちになっても、こちらだけアタックに行けるようになります。
一方の【11-004C】《クー・チャスペル》は、【15-083L】《リディア》のようなダメージによる除去に耐性を持つフォワードへの対策となります。
じゃあ両方2枚くらい入れればバックアップ16枚になっていい感じ……なのですが、このデッキでは【11-003R】《カイエン》のバリューを高めるため、バックアップはなるべく【侍】で埋めたいので、加えたとしても1種類、2~3枚程度にとどめるのがいいでしょう。今回は【1-030R】《レブロ》を2枚採用することにしました。【12-012L】《テンゼン》さえ出せてしまえば、毎ターンデッキの上5枚から【侍】にアクセスできるので、バックアップの枚数は少なめでも大丈夫です。
さて、“追加のバックアップ枠”で2枚使ったので、残りは9枚です。“真のフリースロット”は最後になるので、次は“除去枠”ですね。
このデッキは中盤以降の除去手段は豊富なので、序盤に一手、相手に介入する手段が欲しいところでしょうか。そうなると5~6枚はスロットが必要そうです(ざっくりとした計算ですが、デッキの上10枚に1枚あれば初手5枚と引き直し+3ターン目までのドローで届くため)。
ここしばらくの火属性の定番除去といえば【15-014H】《ブリュンヒルデ》でしょう。【16-133S】《ブラスカ》や【9-115R】《ポロム》のような低コスト帯のシステムフォワードに有効で、大型フォワードに対してもほかのダメージ源と併用することでドローしつつ除去ができます。
1種類を【15-014H】《ブリュンヒルデ》にするならば、もう1種類は1枚で大型フォワードにも対応できるものがよさそうです。【15-009C】《バハムート》であれば【15-007C】《侍》で手に入るクリスタルの使い道にもなるので、軽いコストでキャストできる機会もありそうです。これも入れることにしましょう。
というわけで“除去枠”に6枚採用しました。これであと3枚、最後に“真のフリースロット”を埋めてデッキを完成させましょう。
この枠は本当に自由な枠なので、“追加のバックアップ枠”や“除去枠”に再びカードを割り当てても構いませんし、メタゲームを意識してカードをチョイスするのもいいでしょう。
たとえばブレイクゾーン対策を少し入れようと思ったら【11-140S】《カダージュ》でもいいですし、光・闇属性枠で言うならバックアップの《侍》をフォワードにできる【17-128L】《マリア》などもおもしろいでしょう。
また、【17-016L】《ヒエン》とあわせて急角度でダメージを与えられるヘイスト持ちのフォワードを加えて、デッキの突破力を高めるのもアリです。その場合は、味方も巻き込んでしまいますが“除去枠”と兼用できる【14-011H】《豪神スサノオ》(【カテゴリ(XIV)】というオマケ付き!)や、【16-011L】《スコール》などが候補となるでしょう。
また、フィールドに出すことはあまり考えずに【8-137S】《ゴウセツ》をちょっと入れて【12-012L】《テンゼン》のヒット率を高める+EXバーストに期待してみたり、同じくEXバースト持ちで9枚入っている召喚獣を再利用できる【10-132S】《ティナ》なども選択肢になりそうです。
今回は、ダメージによる除去を重視した構築になっていることから「与えるダメージを増やすアビリティ」を持つカードを採用してみました。【17-001H】《アドラード》と【16-010H】《ジン》です。
こうして、できあがったデッキがこちら。
※デッキリスト(各種【侍】カードと【12-002H】アマテラスを赤で表示、残りのフリースロットを青で表示)
●サンプルデッキ:「火単【侍】」(赤字は固定スロット、青字はフリースロット)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(26枚) | ||
【12-012L】 | テンゼン | 3 |
【11-003R】 | カイエン | 3 |
【15-006H】 | カイエン | 3 |
【17-016L】 | ヒエン | 3 |
【17-006R】 | ゴウセツ | 3 |
【8-004R】 | イロハ | 3 |
【17-008H】 | 侍 | 3 |
【14-014C】 | 侍 | 3 |
【17-001H】 | アドラード | 2 |
バックアップ(14枚) | ||
【7-009C】 | 侍 | 3 |
【12-009C】 | 侍 | 3 |
【14-014C】 | 侍 | 3 |
【17-009C】 | 侍 | 3 |
【1-030R】 | レブロ | 2 |
召喚獣(9枚) | ||
【12-002H】 | アマテラス | 3 |
【15-009C】 | バハムート | 3 |
【15-014H】 | ブリュンヒルデ | 3 |
モンスター(1枚) | ||
【16-010H】 | ジン | 1 |
デッキのバージョン1.0としては悪くないかたちになったのではないでしょうか。これをベースに「火単【侍】」の調整を始められそうですね。
そして、ここまでで意識してほしいポイントが1つあります。
それは「フリースロットのカード次第でデッキの速度が変わる」ということです。
たとえば、先ほど“真のフリースロット”枠で【10-132S】《ティナ》の投入を考えました。このカードはフィールドに残った状態で召喚獣をキャストし、アビリティでダメージを与えることで真価を発揮します。つまり、だいぶ“遅い”、長期戦向けのカードであり、このカードを入れるということは「火単【侍】」のなかでも低速の、コントロールに寄せた構築にするということになります。
フリースロットのカードによって、固定スロットのカードだけのときと比べてデッキの速度が上がっているのか下がっているのか、それとも変わっていないのかはよく考え、フリースロット内のカードが志向する速度がバラバラ、ということがないように気を付けましょう。
では次は、もう少し固定スロットの少ないアーキタイプを見ながら、フリースロットを考えていきたいと思います。
◆フリースロットを考える その2:「火氷【VI】」
「火氷【VI】」は『FFTCG』における、もっとも歴史が長いデッキのひとつです。
「Opus IV」でメジャーになって以降、今でも根強いファンが多く、10セット以上のカードが追加された現環境でもアーキタイプとして確立しており、日々研究が続けられています。
そんな「火氷【VI】」ですが「反撃の雄たけび」では【17-002L】《エドガー》、【17-017H】《マッシュ》といった新カードが登場しました。
そのため、現在のカードプールでは、
フォワードはこの4種×3枚、
バックアップはこの2種が固定で枚数は【11-026H】《ガストラ帝国のシド》が3枚、【11-002H】《インターセプター》が2枚で5枚、合計で20枚弱が固定スロットになるであろうデッキです。
すると、先ほどの「火単【侍】」の考え方どおりに“残りのバックアップ枠”、“除去枠”、“真のフリースロット枠”でカードを加えようとすると、恐らく“真のフリースロット”が多くなりすぎてしまいます。
そのため、前段階として“準固定スロット”を考える必要があります。これは、固定スロットのテーマに沿った追加の戦力となるカードです。
では、このデッキの固定スロットが持つテーマは何かということですが、「火氷【VI】」では、
・【4-048L】《ロック》を中心とした手札破壊ギミック
・【17-002L】《エドガー》を中心にしたスペシャルアビリティのギミック
・【カテゴリ(VI)】のキャラクターが多いことを活かしたギミック
の3つが考えられます。この方向性にあわせて準固定スロット、そしてフリースロットを加えていきましょう。
たとえば手札破壊の要素を濃くするなら【15-028H】《ゴゴ》+【4-043C】《プリン》パッケージの投入がよさそうです。
【15-028H】《ゴゴ》は【カテゴリ(VI)】であり、アクションアビリティをコピーできるため【4-043C】《プリン》だけでなく【17-002L】《エドガー》ともシナジーがあります。
この路線で行くならば【17-022H】《ウーマロ》も力強い味方になってくれるでしょう。
【カテゴリ(VI)】のキャラクターが少ないと自分も手札を捨てることになってしまいますが、2枚の手札破壊は非常に強力です。【15-028H】《ゴゴ》でコピーできればなおさらですね。
これで9枚ぶんのスロットが埋まりました。
あとは、【15-028H】《ゴゴ》を活かすために有用なアクションアビリティを持ったカードを増やすのもいいでしょう。【4-012C】《ゴブリン》などのモンスターを追加したり、モンスターが増えるならば【10-039C】《ナグモラーダ》なども俎上にあがってきます。そして、このデッキも火属性が入っているため「火単【侍】」でも固定スロットになっていた【12-002H】《アマテラス》が投入できそうです。
こうして固定スロットを拡張し、35枚ほどが決定しました。
あとはまた“追加のバックアップ”や“除去”、そして“真のフリースロット”を投入していきます。
今回はバックアップならば、フォワードとカード名が重複していない【カテゴリ(VI)】のカードから【9-008C】《カイエン》や【9-012C】《シャドウ》などを入れるのがいいでしょう。また、火属性と氷属性をバランスよく供給してくれる【17-020R】《モンブラン》と【17-034R】《ハーディ》のコンビも試してみたいところです。
また、フォワードの【17-030H】《セッツァー》とどちらを取るか悩ましいところですが、バックアップの候補では【8-036C】《セッツァー》も魅力的です。
今回はバックアップの方を採用してみましょう。
固定スロットのバックアップが5枚なので、【9-008C】《カイエン》と【9-012C】《シャドウ》と【8-036C】《セッツァー》を2枚ずつ、【17-020R】《モンブラン》3枚に【17-034R】《ハーディ》2枚で16枚。【10-039C】《ナグモラーダ》も足せば17枚になりますね。
次は“除去”の枠ですが、【17-017H】《マッシュ》のおかげで早いターンから8000ダメージを与えていけるので、それ以上のサイズのフォワードに対抗できる手段があるといいのではないでしょうか。
たとえば手札破壊戦略と相性がよく、大型フォワードをダル、凍結で無力化しつつ、スペシャルアビリティでの対処もできる【13-028L】《ファイサリス》だったり、モンスターのシナジーを活かすなら【17-017H】《マッシュ》の「オーラキャノン」の威力を高める【16-010H】《ジン》などが候補になるでしょう。ダメージを上乗せするという観点では【13-105R】《ラスウェル》などもよさそうですね。
最後に“真のフリースロット”枠ですが、手札破壊に特化したデッキになってきたので、相手の手札が少ないほど強力になる【16-030L】《シャントット》や、【15-041L】《ライトニング》などを加えるのが有効そうです。
【16-030L】《シャントット》に関しては、準固定スロットを追加してデッキが手札破壊方面に寄ったときにもうメンバーに加えてもよかったかもしれません。非常に強力なカードです。
こうしてできあがったのがこちら。
●サンプルデッキ:「火氷【VI】」(赤字は固定スロット、緑字は準固定スロット、青字はフリースロット)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(25枚) | ||
【4-048L】 | ロック | 3 |
【16-033C】 | セリス | 3 |
【17-002L】 | エドガー | 3 |
【17-017H】 | マッシュ | 3 |
【15-028H】 | ゴゴ | 2 |
【17-022H】 | ウーマロ | 3 |
【13-028L】 | ファイサリス | 3 |
【13-105R】 | ラスウェル | 1 |
【16-030L】 | シャントット | 3 |
【15-041L】 | ライトニング | 1 |
バックアップ(17枚) | ||
【11-026H】 | ガストラ帝国のシド | 3 |
【11-002H】 | インターセプター | 2 |
【9-008C】 | カイエン | 2 |
【9-012C】 | シャドウ | 2 |
【8-036C】 | セッツァー | 2 |
【17-020R】 | モンブラン | 3 |
【17-034R】 | ハーディ | 2 |
【10-039C】 | ナグモラーダ | 1 |
召喚獣(3枚) | ||
【12-002H】 | アマテラス | 3 |
モンスター(5枚) | ||
【4-043C】 | プリン | 3 |
【4-012C】 | ゴブリン | 1 |
【16-010H】 | ジン | 1 |
手札破壊をベースに攻めていくデッキになりました。
ここから、たとえばもっと手札破壊に寄せて【16-041C】《ユウナレスカ》や【15-023R】《ウェライ》などを投入するパターンに路線を移していったりするのもおもしろいかもしれません。
逆に【17-017H】《マッシュ》に注目して【8-014L】《ダンカン》や【14-006R】《焔神イフリート》など、ダメージによる除去での制圧を目指すパターンも考えられそうです。
「火氷【VI】」の固定スロットは手札と盤面のどちらを重点的に攻めるか、あるいは双方の要素をバランスよく採用するかで準固定スロットやフリースロットの採用カードが異なってきます。デッキのテーマをしっかり絞ってから固定スロット以外のカードを検討していくようにしましょう。
◆おわりに
今回は「火単【侍】」と「火氷【VI】」という2つのアーキタイプを通じて、固定スロット、準固定スロット、フリースロットの組み合わせで50枚のデッキを完成させるまでの流れについてお話ししました。
手札をコストにできる『FFTCG』では、属性さえ合っていればどんなカードでもデッキに投入することができます。その自由度の高さは魅力でもありますが、同時にデッキ構築の難しいポイントにもなっています。
そこで今回紹介した、
固定スロットを定める
↓
足りなければ準固定スロットを追加
↓
デッキに欠けている要素(バックアップが足りない、除去力が低いなど)をフリースロットで補う
↓
最後の数枚をユーティリティカードや固定スロットのテーマに沿ったカードに割り振る
という流れを意識してデッキ構築を試してもらえればと思います。「使いたいカードはあるんだけど、他の部分に何を入れたらいいかよくわからない!」という方の悩みが少しでも解決されればうれしいです。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!