「FINAL FANTASY TRADING CARD GAME」の公式記事連載。今週はライターのたるほさんが先日の「自宅名人戦」で使用した「FFTA」デッキについて語ります。
◆はじめに
皆さん、こんにちは! 『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
さて、突然ですが2月14日といえば、皆さんは何の日だと思いますか?
そう、もちろん世間一般ではバレンタインデーですね。しかし、実は『FINAL FANTASY TACTICS ADVANCE』(以降『FFTA』と略します)の発売日、つまり『FFTA』の誕生日でもあったのです。
『FFTA』は19周年を迎えた今でも多くのユーザーから愛されるタイトルで、『FFTCG』では今もなお、伊藤龍馬さんによる描き下ろしのイラストなどでさまざまなキャラクターがカード化されています。
僕は個人的に『FF』シリーズのなかでも特に好きな作品ということもあり、デッキに入れるだけでなくコレクションとしても楽しんでいます。
4月に発売を控えた新ブースターパック「光の使者」では、新たな『FFTA』の描き下ろしカードが登場するとのことので、それらも楽しみに待ちたいところです。
ということで今回は、そんな『FFTA』の19周年を祝いつつ、このシリーズのカードを使った「火単【FFTA】」デッキを紹介したいと思います。
こちらのデッキは先日開催された「自宅名人戦 クリスタルの支配者Series」第1回大会(フォーマット:L6構築)で使用して上位入賞を果たせた自慢のデッキなので、ぜひ語らせてもらいたいデッキです。
それでは、久しぶりの「たるほの隙あらばデッキ語り」、始めていきましょう!
◆自慢のデッキを紹介!
今回ご紹介するのは「火単」のタイプです。さっそくデッキリストをご覧ください。
●デッキリスト:「火単【FFTA】」(「自宅名人戦 クリスタルの支配者Series」第1回大会3位フォーマット:L6構築)
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(22枚) | ||
【11-017H】 | 《マーシュ》 | 3 |
【11-063L】 | 《リッツ》 | 3 |
【10-132S】 | 《ティナ》 | 3 |
【11-015L】 | 《ブラスカの究極召喚獣》 | 1 |
【13-130S】 | 《ランジート》 | 3 |
【13-017H】 | 《レイン》 | 3 |
【14-011H】 | 《豪神スサノオ》 | 2 |
【14-003R】 | 《イルーア》 | 2 |
【14-116H】 | 《マシュリー》 | 2 |
?バックアップ(17枚) | ||
【10-131S】 | 《エース》 | 1 |
【11-004C】 | 《クー・チャスペル》 | 2 |
【11-012C】 | 《タツノコ》 | 1 |
【11-020C】 | 《リルティ》 | 3 |
【12-016C】 | 《ブレイズ》 | 2 |
【13-006C】 | 《ザンデ》 | 2 |
【14-012C】 | 《コウジン族》 | 3 |
【15-007C】 | 《侍》 | 3 |
召喚獣(11枚) | ||
【10-002H】 | 《イフリート》 | 3 |
【12-002H】 | 《アマテラス》 | 3 |
【15-009C】 | 《バハムート》 | 2 |
【15-014H】 | 《ブリュンヒルデ》 | 3 |
今回参加した「自宅名人戦 クリスタルの支配者Series」第1回大会はフォーマットがL6構築だったので、「Opus?X?~いにしえの戦士たち~」以降のカードを使用したデッキになっています。
現環境のL6構築に関しては前回の記事でも考察していますので、そちらもあわせてご覧ください。
さて今回の主役はもちろん「Opus XI ~ソルジャーの帰還~」で登場した【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》の2枚です。
これらを使おうと考えたきっかけですが、その一因になったのが【9-068H】《ドラゴン》の不在でした。
【9-068H】《ドラゴン》は、『FFTCG』におけるブレイクゾーン対策の代名詞ともいえるカードで、その汎用性の高さから、土属性を採用するメリットの1つに挙げられるカードですが、最新セットの「クリスタルの支配者」と入れ替わるかたちでL6構築から退場しました。
そのため現在のL6構築はブレイクゾーンを活かしたギミックが使いやすく、【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》にはスタンダード環境以上に活躍のチャンスがあるだろうと考えました。
では次に【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》をどう活かすかと考えたとき、候補となったのは「火単」、「火風」、「火土」の3パターンでした。
「火風」の形は僕がスタンダードでも愛用している【FFTA】デッキのもっともポピュラーな形のひとつだと思いますが、L6構築で形にするにあたりデッキの潤滑油となる【8-058R】《ノルシュターレン》が採用できないことが大きなネックになるため、今回はパスすることに。
次に「火土」の形ですが、こちらは【11-072R】《デシ》で【11-063L】《リッツ》をサーチできるなどメリットは大きいものの、デッキ全体が【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》に傾倒しやすく、ギミックへの依存度が高くなってしまう点が気になりました。現在のL6環境は純粋にパワーの高いフォワードが多く、アドバンテージの面でも【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》と同等以上のポテンシャルを持つカードが多いため、一点特化で戦うのは難しいという印象を受けていました。そのためこれもパス。
最終的に今回白羽の矢が立ったのが、「火単」に【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》を採用した構築です。
「Opus?XI?~ソルジャーの帰還~」のころから受け継がれてきた構築ながら、着実に強化されてきた古きよきデッキといえるでしょう。
そんな「火単【FFTA】」の最大のメリットは、風属性のカードを【11-063L】《リッツ》のみ採用することで【11-020C】《リルティ》で疑似的にサーチできるようにして【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》の安定性を高めつつ、【13-017H】《レイン》や【14-003R】《イルーア》、【14-012C】《コウジン族》といった「火単」が持つ優位性をそのまま享受するといういいとこ取りができる点にあります。
また、前回の記事では「火単」には“能動的にアクションを起こして勝ちを狙う”課題があるという話をしましたが、【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》はこの課題を解決するうえでも重要な役割を果たしてくれます。
もともと「火単」は除去による制圧力の高いデッキですが、お互いが除去の打ち合いとなる「火単」同士の対決などでは、戦況が硬直しやすくなります。
そこで相手の除去より一歩早く動ける【14-003R】《イルーア》などのヘイストを持つカードで主導権を握るのが重要になりますが、このデッキでは【11-063L】《リッツ》が追加のヘイスト持ちアタッカーとなるため、同型対決でもより有利に立てるだろうと思いました。
今回大会のなかで、ぱっつぁんさんの「火単」、ダンカンさんの「火水」と対戦する機会がありましたが、この思惑が見事にはまりダメージを先行しつつ勝利へつないでいくことができました。
さらに【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》はアドバンテージソースという点でも活躍してくれます。
【11-063L】《リッツ》はアタックすることでバックアップをアクティブにできますが、ここから得られるCPは必ずしも毎ターン使いきれるわけではないため、せっかく稼いだリソースを無駄にしてしまうこともあります。しかし、今回の「火単」は相手のターンに召喚獣を構えて戦うデッキなので、バックアップがアクティブであること自体に価値があり、仮に稼いだリソースを使えなくともそれは相手のアクションが脅威ではなかったということになるので、結果的に無駄にはなりません。
また「火単」の同型対決では、1枚で2体のフォワードを展開する【11-017H】《マーシュ》も、相手が持つ除去の枚数以上の動きをするという点で重要です。
もちろん【12-002H】《アマテラス》によって容易に防がれてしまうこともありますが、そうなると【13-017H】《レイン》などの止めなければならない別のカードを止められなくなってしまうので、相手に限りある対処手段を使うのかという選択を迫ることができます。
次に「火単タッチ風」型【FFTA】デッキのアップデート部分についてですが、今回パートナーとして考えたのが【14-116H】《マシュリー》です。
前述のとおり、このデッキは【11-063L】《リッツ》で稼いだアドバンテージを相手のターンに使う召喚獣のコストにあてることを想定して召喚獣を多く採用しているので、【14-116H】《マシュリー》が自然と採用できます。
召喚獣のコストを下げることで【15-009C】《バハムート》を手札を使わずにキャストできたり、【15-014H】《ブリュンヒルデ》と【12-002H】《アマテラス》をセットで使って除去の範囲を広げられることなどはもちろんですが、フォワードを手札に戻すアクションアビリティも強力で、【11-063L】《リッツ》だけ除去されたまま放置されることの多い【11-017H】《マーシュ》を再利用することで何度も【11-017H】《マーシュ》+【11-063L】《リッツ》をそろえられる点がデッキによくフィットしていました。
なお、完全に余談ではありますが「マーシュリッツマシュリー」というワードの語呂がとても気持ちよくて、積極的に声に出していきたかったというのも今回のデッキの使用理由のひとつです。
大会では最終ラウンドの全勝対決でeurekaさんに負けてしまい3勝1敗という成績でしたが、非常に満足のいく結果を残すことができたので、『FFTA』の19周年に花を添えられたのではないかと思っています。
◆おわりに
今回は僕が「自宅名人戦 クリスタルの支配者Series」第1回大会で使用した自慢のデッキを紹介しました。
最近は「MASTERS」や「名人位決定戦」など公式トーナメントの場でメタゲームを意識したデッキ選択による勝利を狙って競技的に『FFTCG』に取り組んでいましたが、好きなカードと真剣に向き合って勝利を目指すこともまた『FFTCG』の醍醐味だと感じられるいい大会だったと思います。
今回の大会では、eurekaさんがL6構築仕様の「風水【空賊】」を使って優勝しており、L6構築でも遺憾なく実力を発揮されていました。
「風水【空賊】」についても以前インタビューを行っていますので、こちらもぜひチェックしてみてください(こちらはスタンダードの「風水【空賊】」デッキになります)。
「自宅名人戦 クリスタルの支配者Series」第2回大会は2月27日(日)に、スタンダードで開催されます(受付は当日12:45まで)。
次回の大会では「カスタムスターターセット?FINAL FANTASY X」に収録されているカードも使用することができるので、環境もガラリと変わってくるかもしれません。
こちらにもぜひ注目していきたいですね。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!