『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今回は、今週末の「自宅名人戦」のフォーマットである「L6構築」の最新事情について、ライターのたるほさんが考察します。
◆はじめに
皆さん、こんにちは! 『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
先日、『FFTCG』の公式ツイッターからこんな告知が出されました。
💻Discord大会💻
2月13日13時に開始する「自宅名人戦 クリスタルの支配者 Series」第1回大会の参加受付を開始しました。参加費はございません。
参加希望の際は同日の12:45までに専用チャンネルで「参加します」とコメントください。 #FFTCG
Discordサーバーはこちら→https://t.co/NdSciRzA0D pic.twitter.com/r03qPv82Up— FFTCG_SQEX (@FFTCG_SQEX) February 4, 2022
過去にオンラインで開催されていたイベント「自宅名人戦」が、「自宅名人戦 クリスタルの支配者 Series」として帰ってきました。
新型コロナウィルス感染症の再流行で公式イベントなども再び延期となり、『FFTCG』をプレイする機会が減ってしまっていたなかで、こうした取り組みをやってもらえるのはうれしいですね。
これまでの「自宅名人戦」とは異なり、今大会は3回の予選大会の優勝者と、予選大会で獲得した勝ち点の多い順から上位5名が参加できる「自宅名人位決定戦」も開催されます。
参加賞にはレアなスリーブも用意されているので、大会を楽しみたい人だけでなく、イベントが好きな人にも楽しめる催しとなるでしょう。
そこで今回は来たる2月13日(日)の第1回大会(L6構築)に向けて、昨年末の禁止・制限カードの制定後の「クリスタルの支配者」環境でのL6構築戦について考察していきたいと思います。
それでは、さっそく始めていきましょう!
◆「クリスタルの支配者」でL6構築はどう変わったか?
今回の考察を進めるにあたり、まずは「クリスタルの支配者」発売以降、禁止・制限カードの制定までの環境でどういったデッキが活躍してきたか確認していきましょう。
禁止・制限が施行される前の「MASTERS?2021」姫路大会・福島大会ではどちらも「火単」が優勝し、上位には「火水」「土水【ドーガ】」「風水【空賊】」が入賞していました。
このうち、「土水【ドーガ】」はキーカードである【13-120H】《ドーガ》が禁止されたことで、そもそも構築ができなくなってしまいました。
スタンダードと異なり【13-119L】《ソフィ》は制限を免れているため、「土水」というデッキタイプが組めなくなったということはありませんが、カードプールが狭いL6構築にとって使えないカードがあること自体が大きな痛手であると言えるでしょう。
これに伴い、「風水【空賊】」はかなり動きやすくなるのではないかと考えられています。
スタンダードと比べ、【14-125L】《ヴァン》をサーチするための【4-138R】《メルウィブ》の不在や、【9-055C】《フラン》が【10-060L】《フラン》になることで若干安定感は落ちるものの、デッキの核となる【14-125L】《ヴァン》、【15-047R】《カイツ》、【15-115H】《パンネロ》などの【空賊】パッケージや【14-042L】《雲神ビスマルク》は健在で、デッキ自体のポテンシャルはスタンダードの構築と遜色ないレベルであると考えられます。
反対に「火単」や「火水」といった「土水【ドーガ】」を対策する前提で考えられたデッキは、仮想敵を失ったことで、環境での優位性という面での弱体化を受けたと考えられます。
先述した「風水【空賊】」が禁止制限の影響で活躍の機会を広げそうなことも、その一因になると考えています。
とはいえデッキ自体が弱体化されたわけではなく、除去性能の高さはいまだ健在なので、コントロールデッキの候補としてL6構築環境で無視することはできないデッキと言えるでしょう。
個人的には、禁止制限で影響を受けたデッキとしては大きくこの3つが挙げられると考えています。
簡単にまとめると、
・「土水」は少なくとも既存のかたちでは難しそう
・「風水【空賊】」は「土水」の衰退によって好ポジションにつけるか
・「火単」や「火水」などのコントロールは仮想敵の設定をし直す必要はあるが、ポテンシャルはじゅうぶん
といった感じですね。
また、禁止・制限の施行後にも、活躍の可能性を感じさせたデッキがありました。
それが「土雷【王の剣】」です。
このデッキの登場は昨年末に開催された「第3期名人位決定戦」で、スタンダード環境でありながらほぼL6構築のカードプールで上位に食い込んだデッキということで非常に高いポテンシャルを感じさせるものでした。
このデッキは「クリスタルの支配者」で登場した【王の剣】とクリスタルのギミックを両方採用しているデッキで、【王の剣】自体が「Opus XI」で登場したジョブということもあり、デッキの軸となるカードがすべてL6構築のカードプールに存在します。
L6構築ではスタンダードのデッキをL6構築に落とし込むという構築の手法がセオリーになることが多いですが、「土雷【王の剣】」はスタンダードと同様のポテンシャルをそのままL6構築で発揮できるという点も魅力的なデッキと言えるでしょう。
「自宅名人戦 クリスタルの支配者 Series」第1回大会では特にこれらのデッキに注目が集まるのではないか??というのが現時点での僕の見解です。
◆サンプルデッキを紹介!
それでは、ここからは考察してきた中からサンプルデッキを紹介していきたいと思います。
●サンプルデッキ1:風水【空賊】
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(24枚) | ||
【14-125L】 | 《ヴァン》 | 3 |
【13-048H】 | 《バルフレア》 | 3 |
【14-042L】 | 《雲神ビスマルク》 | 3 |
【14-056R】 | 《嵐神ガルーダ》 | 1 |
【10-060L】 | 《フラン》 | 3 |
【15-047R】 | 《カイツ》 | 3 |
【10-109C】 | 《エルザ》 | 2 |
【14-102L】 | 《海神リヴァイアサン》 | 3 |
【15-115H】 | 《パンネロ》 | 3 |
バックアップ(15枚) | ||
【12-038H】 | 《アルテア》 | 1 |
【11-056R】 | 《フィオナ》 | 1 |
【14-053R】 | 《ミュリン》 | 1 |
【14-054R】 | 《ヨーテ》 | 3 |
【15-056R】 | 《フィロ》 | 3 |
【10-118R】 | 《トマジ》 | 3 |
【13-093H】 | 《サラ》 | 3 |
召喚獣(8枚) | ||
【12-049R】 | 《ディアボロス》 | 3 |
【10-055H】 | 《チョコボ》 | 2 |
【12-097H】 | 《シルドラ》 | 3 |
モンスター(3枚) | ||
【14-049H】 | 《テュポーン》 | 3 |
まずは「風水【空賊】」です。
考察でも触れたように、デッキが持つポテンシャルの面ではスタンダードとそれほど差がないデッキですが、スタンダードと大きく異なる点として、【14-125L】《ヴァン》からサーチできる【9-055C】《フラン》が【10-060L】《フラン》に変わったことでバックアップの安定感が低くなり、またフォワードになったことで【空賊】がフィールドに定着しにくくなり、【15-115H】《パンネロ》の安定感も低くなることが考えられます。
これをフォローするため、このデッキでは次の2つのアプローチをしました。
・バックアップに【13-093H】《サラ》を採用し、【14-054R】《ヨーテ》を増量することで、バックアップの展開力を高める
・安定して【14-125L】《ヴァン》にアクセスする手段として、【12-097H】《シルドラ》を採用
【13-093H】《サラ》は、もともと【空賊】ではないという理由から採用を見送るプレイヤーもいるカードでしたが、L6構築では【9-055C】《フラン》がいないためバックアップには【空賊】を2枚しか置けず、【4-138R】《メルウィブ》も使えないため十分採用の余地があるカードです。
【12-097H】《シルドラ》はスタンダードでは【4-138R】《メルウィブ》が担ってきた【14-125L】《ヴァン》へのアクセスの役割だけでなく、【10-118R】《トマジ》などバックアップにもつながるカードとしての役割を併せ持ちます。
こちらも水の召喚獣として人気のあった【9-114C】《不浄王キュクレイン》のスロットを補完しつつ、弱体化された安定感を補うことができるカードとして採用しました。
●サンプルデッキ2:「火単」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(22枚) | ||
【10-132S】 | 《ティナ》 | 3 |
【13-017H】 | 《レイン》 | 3 |
【13-129S】 | 《フィリア》 | 1 |
【13-130S】 | 《ランジート》 | 3 |
【14-011H】 | 《豪神スサノオ》 | 2 |
【14-003R】 | 《イルーア》 | 3 |
【14-010H】 | 《グツコー》 | 3 |
【11-015L】 | 《ブラスカの究極召喚獣》 | 3 |
【11-063L】 | 《フリオニール》 | 1 |
バックアップ(17枚) | ||
【10-131S】 | 《エース》 | 1 |
【11-004C】 | 《クー・チャスペル》 | 2 |
【11-012C】 | 《タツノコ》 | 1 |
【12-016C】 | 《ブレイズ》 | 2 |
【13-006C】 | 《ザンデ》 | 1 |
【14-012C】 | 《コウジン族》 | 3 |
【10-012C】 | 《風水師》 | 3 |
【13-008R】 | 《朱雀のルシ?セツナ》 | 1 |
【15-007C】 | 《侍》 | 3 |
召喚獣(11枚) | ||
【12-002H】 | 《アマテラス》 | 3 |
【15-009C】 | 《バハムート》 | 2 |
【10-002H】 | 《イフリート》 | 3 |
【15-014H】 | 《ブリュンヒルデ》 | 3 |
次に紹介するのは「火単」です。
「火単」はもともと除去に特化した構築で相手のフォワードを受け切り、デッキ切れでの勝利も視野に入れつつ戦うデッキでしたが、「土水【ドーガ】」がいなくなったことでデッキ切れのリスクがあるデッキがいなくなり、採用されるフォワードが増えたことでただ除去をするだけではこちら側のリソースが間に合わない可能性が出てきました。
こちらから能動的にアクションを起こして勝ちを狙う必要ができたということで、【14-003R】《イルーア》や【14-010H】《グツコー》といった、アタックすることに価値ができるカードをこれまでよりも多く採用しています。
【13-129S】《フィリア》や【14-011H】《豪神スサノオ》といった全体除去カードも、これまでほど有効な局面が減りそうなため、継続して役割を果たせてフィニッシャーにもなりえる【11-015L】《ブラスカの究極召喚獣》の重要度が高いと考えこちらを3枚採用する構築にしました。
また召喚獣もEXバーストを持つ【12-005C】《イフリート》、【13-012R】《バハムート》ではなく、【15-009C】《バハムート》、【10-002H】《イフリート》といったキャストしやすいカードに置き換えて採用しています。
●サンプルデッキ3:「土雷【王の剣】」
カード番号 | カード名 | 枚数 |
フォワード(27枚) | ||
【15-084L】 | 《ロベルアクベル》 | 3 |
【11-140S】 | 《カダージュ》 | 1 |
【12-122L】 | 《レギス》 | 3 |
【11-065H】 | 《アーデン》 | 1 |
【11-102C】 | 《リベルト》 | 3 |
【11-097H】 | 《ニックス》 | 3 |
【15-094L】 | 《ニックス》 | 3 |
【15-086R】 | 《アクシス》 | 3 |
【14-094R】 | 《レイヴス》 | 1 |
【11-090L】 | 《クジャ》 | 2 |
【15-093R】 | 《トレッド》 | 3 |
【14-062L】 | 《岩神タイタン》 | 1 |
バックアップ(20枚) | ||
【15-095C】 | 《忍者》 | 2 |
【15-092C】 | 《ソニト》 | 3 |
【11-103C】 | 《ルーチェ》 | 3 |
【15-098C】 | 《ペルナ》 | 3 |
【11-092C】 | 《クロウ》 | 3 |
【15-080C】 | 《風水士》 | 3 |
【11-069H】 | 《シドニー》 | 3 |
召喚獣(3枚) | ||
【15-090H】 | 《オーディン》 | 3 |
最後に紹介するのは「土雷【王の剣】」です。
このデッキに関しては、もともと採用されていたカードがほとんどL6構築のカードプールのものであったため、構築上の変化はほとんどありません。
唯一【8-068L】《アーデン》だけ採用できなかったため、今回のリストでは同じくコスト7のフォワードである【14-062L】《岩神タイタン》を採用しています。
ただし、この【14-062L】《岩神タイタン》は「土雷【王の剣】」と非常に相性がよいカードとなっています。
その理由が【15-094L】《ニックス》の持つ2つ目のアクションアビリティにあります。
【14-062L】《岩神タイタン》は自身のパワー未満のフォワードをすべてブレイクする全体除去効果を持っていますが、自分のフォワードを巻き込んでしまうため、フォワードを大量に展開して戦うデッキとは本来それほど相性がいいとは言いがたい効果と言えます。
ですが、【15-094L】《ニックス》のアビリティを使って【12-122L】《レギス》をデッキから呼び出すことで、そのターンに【14-062L】《岩神タイタン》によってブレイクされたカードを復活させることができるのです。
【15-094L】《ニックス》は自身のアビリティでパワーを上げることもできるので、【14-062L】《岩神タイタン》に巻き込まれずフィールドに残ることができます。
また【王の剣】は【15-086R】《アクシス》で【14-062L】《岩神タイタン》を回収したり、【15-093R】《トレッド》で【14-062L】《岩神タイタン》のパワーを上げ除去の範囲を広げるなど、全体的に相性がよいこともあり非常に理にかなった選択であると考えられます。
L6構築ではブレイクゾーンへ干渉できる【9-068H】《ドラゴン》も存在しないため、コンボを止める手段が少ないということも、環境的に追い風なデッキになっていると言えるでしょう。
◆おわりに
今回は今週末に開催される「自宅名人戦 クリスタルの支配者 Series」第1回大会に向け、禁止・制限カードの施行後のL6構築について、これまでのデッキから注目のものをピックアップして紹介してきました。
もちろん今回紹介したもの以外にも強力なデッキは考えられるので、いったいどんなデッキが勝利するのかはわかりませんが、僕も優勝目指してここからさらにデッキを考えていきたいと思います。
また「自宅名人戦 クリスタルの支配者 Series」で活躍されたプレイヤーの方へもインタビューをお願いしていきたいと思いますので、そちらもぜひお楽しみにしていただければと思います。
それでは。また次回の記事でお会いしましょう!