【FFTCG】大会における時間管理の大切さについて語る!

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターのたるほさんによる、大会における時間管理についてのコラムをお届けします。

◆はじめに
みなさん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

今回はいつもの「日本選手権 2023」優勝者インタビューではなく、ゲームの対戦における「時間」についてのコラムをお届けしようと思います。

「日本選手権 2023」の予選大会や、来週開催される「Standard Championship 2023」といった大型イベントに参加する際にも重要なポイントになりますので、今後トーナメントへの参加を検討されている方もぜひお読みいただければと思います。

それでは、さっそく始めていきましょう!

◆『FFTCG』をプレイするうえで重要な“時間”の話
みなさんは普段、対戦中に時間を意識していますか?
これは『FFTCG』に限ったことではありませんが、カードゲームのトーナメントでは制限時間内に試合が終わらない、いわゆる時間切れが起こることがあります。

もちろん『FFTCG』は対戦ゲームである以上、難しい局面で長考してしまうこともありますし、マッチアップ次第では時間内に試合を終わらせることが難しい組み合わせも存在します。実際、僕自身すべての試合を時間内に終わらせられているというわけではありません。

そんな、プレイヤーにとって誰にも起こりえる問題だからこそ、プレイヤー一人ひとりが意識して取り組むべき課題であると考え、今回筆をとらせていただきました。

最初に、なぜ時間切れはよくないことなのでしょうか

これには3つの理由が考えられます。

1:自身の不利益につながる
まず知ってもらいたいことが、時間切れになることでもっとも損をするのは自分自身だということです。時間切れによる不利益、それは試合結果となってあらわれます。『FFTCG』ではフロアルールで時間切れの処理が以下のように規定されています。

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3-3.時間切れの処理
延長の3ターンでも決着がつかなかった場合、その時点で対戦は終了とし、両者敗北となります。その場合、両者に与えられる勝ち点は0点です。
2本先取の場合、時間切れの際に1-0だった場合、1勝しているプレイヤーの勝利となります。
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公式トーナメントでは、同じ勝ち点のプレイヤー間ではオポーネント・マッチウィン・パーセンテージ(簡単に言うと、このトーナメントで戦った対戦相手の成績)によって順位が決定されるため、両者敗北は対戦相手の勝ち点も増えないため、自分の最終順位が下がってしまうことにもつながります

ほかにもスロープレイは注意されたり、違反行為の対象となる(※意図的な遅延と判断された場合)こともあり、自身のトーナメントの成績に影響する可能性も高いため、勝利に向かってプレイするのであれば、適正な時間を守ったプレイを心掛けることは必須といえるでしょう。

2:他のプレイヤーの時間を奪ってしまう
『FFTCG』に限らず、対戦ゲームは対戦相手と時間を共有するゲームです。自分が時間を使った分だけ、相手の使える時間は減っていきます。

『FFTCG』は将棋や囲碁のように対局時計があるわけではないので、お互いが均等・平等に時間を使えるわけではありません。使用するデッキによってもプレイにかかる時間はさまざまです。仮に30分の時間が割り当てられた試合では、単純にお互いの持ち時間は15分と考えるのが妥当です。

これは単純な思考時間としてではなく、実際のカードのプレイや、サーチ後のデッキシャッフルなどの動作も含めての時間です。

もちろん、お互いのターンに行動が可能な『FFTCG』において、1ターンが長くなってしまう責任のすべてがターンプレイヤーにあると断言することはできませんし、必ずしもこの時間を厳守しなければならないという決まりもありませんが、1つの指標として15分という時間内でプレイすることを意識するとよいでしょう。お互いに時間を独占せず、対戦相手が使える時間にも配慮したプレイを心掛ける必要があります。

また、時間切れにより試合が延長した場合、イベントではほかの参加者の時間を奪ってしまうことにつながる恐れがあります。たとえ1回戦ごとの遅延が10分程度でも、5~6回戦の試合が行なわれるトーナメントでは、積み重ねにより1時間近くの遅れにつながります。大きなトーナメントでは遠征で来ているプレイヤーも多く、著しく大会の進行が遅れてしまうとそういった参加者の帰宅へ影響が及ぶ可能性もあります。また、施設によっては閉場時間を過ぎてしまう可能性も考えられます。

『FFTCG』において延長ターンに制限時間はかけられていません(適切なプレイ時間で進めることは求められます)が、本意ではなくともイベントの円滑な進行を妨げてしまう可能性があることは知っておいたほうがいいでしょう。

3:フロアルールによって規定されている
トーナメントに参加するプレイヤーの権利と義務については、公式サイトに掲載されているフロアルールに記載されています。

『FFTCG』のフロアフールはこちら

カードゲームとはルールの上に成り立つ遊びなので、トーナメントに参加する方はぜひご一読ください。『FFTCG』ではフロアルール内の“3-1.試合時間”で以下の試合時間が推奨されており、多くのトーナメントで採用されています。

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3-1.試合時間
1本制の場合、1 試合 30 分が推奨されます。2 本先取制の場合、最大 3 試合を合計 70 分が推奨されます。

トーナメントに出場するプレイヤーは、円滑なトーナメントに協力する義務があるので、競技的に『FFTCG』をプレイする場合、定められた時間内でゲームを進行する必要があります。

また過度に遅いプレイについては“8-6.違反行為”の対象となりジャッジにより指導される場合があります。

8-6.違反行為
遅いプレイ
プレイヤーはゲームを適正に進める義務があります。ジャッジはそのプレイが必要以上に遅いと感じた場合は迅速なプレイを促すことができ、指導に従わない場合は【警告】を言い渡すこともできます。時間制限のない延長ターンでも遅いプレイは認められません。

遅延行為
プレイするうえで必要無い行為を繰り返し、意図的に試合時間を消費する行為をさします。遅延行為はトーナメントの進行および対戦相手を尊重する理念から容認されるべきものではありません。プレイヤーには最初に【警告】を与え、改善が認められなければ【敗北】や【退場】の裁定を出すこともできます。遅延行為には以下のものがあります。

・状況が何も変わっていないのに、デッキの枚数、ブレイクゾーンの枚数、お互いの手札などを必要以上に何度も確認する。
・シャッフルを必要以上の時間をかけて行なった。
・緊急の理由なくジャッジの許可もとらずに離席をする。
・その他、ジャッジが意図的に時間を稼いだと判断した場合。
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意図しない罰則などによるゲーム以外での決着を本意とするプレイヤーはいないと思います。普段意識しない「時間」に関しても、ルールではきちんとした決まりがあることを知っていただければ幸いです。

◆時間切れを起こさないために~早くプレイするためのコツ~
前提として、時間管理で重要なのは適正なプレイ時間を心掛けることです。

カードゲームは数ある選択肢の中から正解を求めて思考するゲームです。しかし正解を求めるために使える時間には限りがあります。時間をかけ正解を導くゲームではなく、限られた時間のなかで正解に近いプレイを求めるゲームであることを念頭に置いてプレイしましょう。

また、適正なプレイ時間はデッキによっても異なります。例えば1つのプレイにかかる時間が5秒ほどだとして、「風単」のようなキャストギミックを使うデッキと「火雷【XIII】」のようなアグロデッキでは1対戦あたりでプレイヤーが使用する時間が大きく異なることになります。

ここで「風単」側が思考にまで時間を割きすぎてしまうと、「火雷【XIII】」がいかにスムーズにゲームを進行しようとも時間内に試合が終了しない可能性があります。自身のデッキ選択に責任を持ち、時間内に試合を終わらせる努力が必要です。

では時間切れを起こさないため、私たちはどういった努力ができるのでしょうか?

ここからは実際の対戦で役立つ時間管理のコツをお伝えしていきたいと思います。

1:練習をする
初めて使う(使われる)カードの確認や、初めて迎える局面を正しく理解するためにはどうしても時間がかかってしまいます。こうした問題は知識を蓄えることで、大きく改善できます。そして知識を蓄えるために特に重要になるのが、事前に練習を行なうことです。

自分のカードがどういった動きをするのか、環境的にどういったカードが使われるのか、相手とのマッチアップではどういった行動がベストなのかを練習を通じて身に着けることで実際の試合中に思考する機会が減り、プレイ時間の短縮につながります。

練習は実際の対戦をなぞることに限りません。カードの効果を正しく理解する、自分のプランを整理するといったプロセスも練習の一環になります。

サーチを行なうカードなど、自分の中に選択肢があるカードは事前に自分のなかで優先順位を決めておくとよいでしょう。

例)たとえば初手で【12-097H】《シルドラ》を使用する場合、サーチ対象はすぐに置きたいバックアップの【13-093H】《サラ》と、コストとして使いやすく序盤からブレイクゾーンに置くことで再利用しやすい【13-118C】《セーラ[MOBIUS]》にしよう。


また、1人回しを行なうことで自分のデッキの挙動を正しく理解し、ひとつひとつの所作を素早くすることにつながります。

どんなに練習を重ねていても、初めて迎える局面や判断が難しい場面に出会うことは必ずあります。思考に時間がかかってしまいそうなときは、対戦相手に一言「長考します。」と伝えるのがよいと思います。(伝えたからと言って長考し続けていいわけではありませんが。)

2:相手のターンを有効に使う
対戦相手と時間を共有するということは、対戦相手が思考している時間に自分も思考できるということです。こうした時間に次の自分の行動を考えておくことは、自分のターンにかける時間の短縮につながります。対戦相手の行動を待つ時間は、次の自分のターンの行動をどうするかを考えるために使うのがよいでしょう。

具体的に、ここで思考する内容のポイントとして

1.現在の手札から考えられるプレイの最適解
2.次のターン、ドローで引いたら最適解が変わるカード
3.2のカードを引いたときのプレイの最適解

を軸に考えておくことがオススメです。公開領域にある確認しておきたい情報(ブレイクゾーンにあるカードなど)は、相手を待つ間に確認させてもらうとよいと思います。ただし、状況が変わっていないのにデッキの枚数、ブレイクゾーンの枚数、お互いの手札などを必要以上に何度も確認することは遅延行為とみなされる場合があるので注意が必要です。

3:もしも相手のプレイが長いと感じたときは?
対戦中、相手のプレイが遅いなと感じることもあるかと思います。そういったときは、ジャッジを呼んで対応してもらいましょう

ジャッジを呼ぶことに抵抗感があるという方もいるかもしれませんが、ジャッジを呼ぶ目的はゲームを円滑に進めるためであり、対戦相手へのペナルティを要求するためではありません。プレイヤー間だけで解決を図ろうとすると新たなトラブルにつながる可能性があるので、対戦相手に伝えたいことがあるときはジャッジの助力を求めるのがよいと思います。

◆おわりに
今回は『FFTCG』における対戦時間についてお話をしてきました。一部は個人的な主張が強くなってしまった点もあるかと思いますが、『FFTCG』プレイヤー全体で対戦時間についてあらためて考えてもらえるきっかけになれば幸いです。

もちろん多くのプレイヤーが円滑な対戦を目指し、適正な時間でのプレイを心掛けていると信じて疑っていませんが、お互いに気持ちよく対戦を行なうために、今後も対戦相手の時間を尊重したプレイができるとよいですね。

今回はここまで。また、機会があればこうした記事が書ければと思います。

それではまた次回の記事でお会いしましょう!