2月11日、東京・バンダイ本社にて『バトルスピリッツ』の大型大会「バトスピチャンピオンシップ2023 日本決勝」が開催されました!
本大会は2023年6月からスタートした「バトスピチャンピオンシップ2023」の大一番となるイベントで「Cycle1 ツアー予選」「Cycle2」「バトル オブ リベンジャーズ」「バトスピリーグ」など、バラエティ豊かな大会を勝ち上がってきた全国の強豪バトラー62名が集結。予選スイスドローラウンド、決勝トーナメントラウンドで激突し、日本一の座をかけたバトルを繰り広げました。また、リベンジラウンドの進出者を含めた上位22名の選手には、3月2日(土)・3日(日)に幕張メッセで開催されるバンダイカードゲームの総合イベント「BANDAI CARD GAMES Fest23-24 World Tour FINAL in JAPAN」で実施されるアジア決勝の進出権も与えられます。
決勝トーナメントの模様は『バトスピ』公式YouTubeチャンネルでも配信され、小川祥平さんと紫のガーディアン、土岐頼知さんが実況解説として参加。また、対戦開始コールや表彰式をバトスピ公式アンバサダーの田中健大さんが担当されました。配信はアーカイブされているので、本記事とあわせてチェックしてみてください!
◆最高峰のバトルを制した優勝&準優勝選手にインタビュー!
日本決勝に臨んだ62名のバトラーのデッキ分布は前環境から引き続き「獄契約」「アイボウ突契約」デッキがやや目立つものの『契約編:界 第4章 界導』で《超契約煌臨》が追加されたデッキを中心にさまざまなデッキが台頭。実に21種類ものデッキタイプが立ち並ぶ混戦模様となりました。
【お知らせ】
『#BSCS2023 日本決勝』の62名のデッキ分布を公開!
この後、上位16名による決勝トーナメントの様子を14:15頃より配信いたします。
いよいよ2023年度の日本チャンピオンが決定いたします!是非ご覧ください。🔽配信URLhttps://t.co/om9ZbPzm5H#バトスピ pic.twitter.com/0SG56UtwYN
— バトルスピリッツ (@bs_official) February 11, 2024
純粋なデッキの強さはもちろん、あらゆるデッキに対応できるプレイングの高さも求められるハイレベルなバトルを制し、見事日本優勝に輝いたのは「零契約」デッキを使用したスラ選手! また、「デッキ破棄型獄契約」を使用したずみ選手が準優勝を手にしました!
ここからは優勝、準優勝選手のインタビューをお届けします!
■優勝:スラ選手
―優勝した今の心境を、これまでの『バトスピ』歴や大会の優勝経験とあわせてお聞かせください。
これまで「バトスピチャンピオンシップ2022 バトル オブ リベンジャーズ」やかなり前の「ワイルドバウト」で予選抜けはしていたのですが、本戦トーナメントの1回戦で負けてしまうとか、中途半端なところで敗退してしまうのが続いていました。今回初優勝かつ日本一になれたので、純粋にめちゃめちゃ嬉しいです!
『バトスピ』歴でいうと、ブースター第1弾の発売前に雑誌「ケロケロエース」に付録されていた体験デッキから触っています。小学校の頃は環境なんて気にせず、自分の持っているカードでなんとなくデッキを作って遊んでいたくらいでしたが、そこから学業がおろそかになるという理由で一度離れました(笑)。高校3年生から大学生あたり、ちょうど『煌臨編』が出ていたあたりで復帰してからは大会を見据えた勝つためのデッキを考えるようになり、今までずっと遊び続けています。若干ブランクはありましたが、『バトスピ』と一緒に成長して、15年という節目で優勝できたというのも感慨深いですね。
―本日の使用デッキと使用理由は?
「零契約」デッキを使いました。『契約編:界』シリーズの顔ともいえるスピリットというのは表彰式のインタビューで言われてから気づいたくらいで(笑)、使用理由は単純に強いと思ったからです。『契約編:界 第4章 界導』の発売以前から「零契約」をよく使っていた友人に「新カードを入れたデッキが結構良かったよ」と教えてもらい、リストも参考にさせてもらいました。自惚れではないですが、いただいたリストを80から100にしたイメージです。カードゲームは運の要素が大きくて、だからこそ「蒼契約」「獄契約」「アイボウ突契約」デッキのような必ずドローできる契約カードがいるデッキが強いんです。対して「零契約」はどうなんだろうと思っていたのですが『界導』で追加されたサーチカードに加えて《聖皇ジークフリーデンXV》がすごく強いので回していて不快感がない、詰まるところがないデッキになっていたんです。そこからより感触をよくするためにいろいろなカードを試して、アドバイスをもらって調整した形になります。
―デッキの調整で気をつけたポイントは?
《銀槍竜スラッシュ》を1枚だけ入れているところです。「零契約」デッキにとって、「呪契約」デッキの《ダークタワー》がなによりもしんどいので対策として考えたのですが、フラッシュタイミングで出せるので防御にもなるし、追加の打点にもなるしで攻守で役立つかなと。【励起】持ちなのでトラッシュに落ちてくれればいつでも回収できるのも強みですね。実際に大会中も「アイボウ突契約」デッキの《6つの輝石》をフラッシュタイミングで除去して《アルテミックシールド》で1ターン耐えたりと、当初の目的以上の活躍をしてくれました。
ただ、このカードを入れようと思ったのが大会前日の23時だったんです。手持ちのカードにはないし、カードショップはもちろん開いていないしでどうしようかと悩んでいたところ、偶然カードを持っている友人が朝から移動する用事があって、当日の6時45分に合流してギリギリで譲り受けました(笑)。正直このカードがなかったら優勝までたどり着けなかったですし、デッキリストを提供してくれた友人もあわせて、周囲の助けがあったからこそ叶えられた日本一だと思っています!
―となると、本日のMVPカードを選ぶとしたら……?
デッキに入っているカードは全部強いので、デッキ全体がMVPと言いたいところではあるんですが、やはり《銀槍竜スラッシュ》ですね。自分のバトラーネームにも意図せず通ずるところもあって愛着が湧いたというか、運命的なものも感じましたね。優勝盾のカードのなかに一緒に入れておこうかな(笑)。
―大会で印象に残ったバトルはありますか?
ひとつは決勝トーナメント1回戦です。フィーチャーマッチで配信で流れたバトルになるんですが、放送事故レベルの速さで勝ててしまって(笑)。1ターン目で《タシカニ》の《煌臨》、《星零剣フォーアンサー》の【合体】ができたことで相手の《相棒魔卿ジャバド》をブロックで破壊して、返すターンに《マーキュル・ドレイク》でオープンした4枚のカードにフィニッシュまでつながるカードがすべて入っていたという流れになります。「零契約」デッキは展開が早いデッキではあるんですが、特に早く決着がついたバトルですね。配信で流れることもあってものすごく緊張していたんですが、このバトルのおかげでデッキのすごさをあらためて体感して、うまく緊張がほぐれました。
もうひとつは予選ラウンドで当たった、『バトスピ』を最もやり込んでいる熟練バトラーだと個人的に思っているティアワン所属のプロ、komainu選手とのバトルです。こちらがスピリットを出した状態で《審判蛇ツイノムシバミ》をバーストにセットしたんですが、komainu選手はこれを《聖皇ジークフリーデンXV》だと警戒して、アタックをためらってくれたんです。「アイボウ突契約」デッキはアタックが【覚醒】を経由してドローにつながるので、実質1枚ドローが減ることになります。そのあと、こちらが無難にカウントを増やして攻勢をかけたタイミングで、相手に防御札がなかったのでそのまま畳み掛けることができました。前半の1ドローがあれば結果は変わっていたかもしれないので、見えない《聖皇フリーデンXV》を巡ってひりつく駆け引きが発生する、今の『バトスピ』を体現したバトルでした。
―日本決勝は『契約編:界 第4章 界導』のカードが加わる初の大型大会となりましたが、前環境と比べて思ったことはありますか?
「零契約」デッキはもちろんですが、新たに加わった《超契約煌臨》がどれも強いので、気にしなければいけないデッキが増えた印象ですね。特に「造契約」デッキと「冥契約」デッキはかなり強化されて、本大会でもかなり見かけました。ただ、本質的なところは前弾の環境から変わっていなくて《聖皇ジークフリーデンXV》の対策や、それを前提としたバーストの読み合いに尽きると思います。「獄契約」デッキや「アイボウ突契約」デッキが優位なのも変わっていませんが、「アイボウ突契約」デッキの強さが知れ渡って一気に普及したことで対面不利な「蒼契約」デッキの数が減り、結果として「超星」デッキのような「蒼契約」デッキに不利だったデッキが増えたのも現環境のユニークなところだと思っています。
―4月からは『契約編:真』シリーズがスタートしますが、期待しているポイントは?
環境が変わらないと遊ぶ方も飽きちゃうので、強いデッキには出てきてほしいんですが、強すぎるデッキはあんまり出さないでほしい……というのはみんな思っていることですよね(笑)。「契約創界神ネクサス」が新ギミックとして登場するということで、環境が一新される可能性もありますが、一気に塗り替わるよりは今の環境を引き継ぎつつ、新しいデッキが一緒に上がってきて、バトラーが環境にあわせて取捨選択できるのが理想ですよね。「このデッキ以外使う意味ないよね」みたいなことにならなければ自分は楽しめると思っています!
―ホームにしているショップはありますか?
あまり特定の店舗には偏っていなくて、休日に予定が合えば秋葉原のどこかのカードショップで集まってバトルしている感じです。平日も仕事が終わったあと、夜中までリモートでちょっとずつ練習するのがルーティンになっていて、使える時間は全て『バトスピ』に注ぎ込んでいますね(笑)。大会の調整とかもありますが、楽しめるうちに全力で楽しんでおきたいというのが第一です!
―アジア決勝進出の意気込みをひとこと!
友人に香港出身の方がいて、そこから海外の大会結果をよく教えてもらっているんですが、海外は独自の環境があるというわけではなく、日本で強いと言われている最新のデッキを完璧に回して、しっかり勝ち切っているという印象があります。よりプレイングの質が問われる大会になるかもしれません。日本一として恥じないプレイを、悔いの残らないバトルができればと思います!
■準優勝:ずみ選手
―準優勝した今の心境を、これまでの『バトスピ』歴や大会の優勝経験とあわせてお聞かせください。
本格的に取り組みだしたのは2017年の「煌臨編」からなんですが、そこでありがたいことに「バトスピチャンピオンシップ2017 -煌臨杯-」の九州・沖縄エリア予選大会で優勝して全国大会に進出できたんです。そこから後戻りできなくなって(笑)、やるしかないよねというところで続けています。その後「バトスピチャンピオンシップ2020-2021」でも全国決勝まで進んで、準優勝になっています。今回も準優勝で、もしかして自分はシルバーコレクターなのかなという悔しさもあるんですが(笑)、無事結果を残せてよかったなという感じですね。
―本日の使用デッキと使用理由は?
「獄契約」デッキのよく使われているリストから《獄風の四魔卿ヴァン=トゥース》と《獄炎の四魔卿ブラム・ザッファーグ》を抜いて、《龍魔侯オーバーヴェルム》を入れたデッキ破棄タイプを使いました。使用理由は「獄契約」デッキがコントロールデッキとしてはすごい優秀なんですけど、ミラーマッチになったときの時間切れが怖かったんです。そこでデッキ破棄タイプならミラーマッチもケアできるし、環境デッキに勝てるポテンシャルも秘めていたので採用した……というのもあるんですが、自分が『バトスピ』のYouTubeチャンネルをやっているので、なによりもデッキが話題になってほしい、盛り上がって欲しいという想いでおもしろいデッキを一から構築してみました。
―デッキの調整で気をつけたポイントは?
「おもしろいデッキ」ではあるんですが、逆に立ち回りは「つまらない動き」ができるように意識したところです。今の『バトスピ』において、1ターン目はプレイして、2ターン目は何もせずエンドするような止まってしまう動きは悪手だと思っているので、1~3ターン目の流れを毎回キープできるような、事故のないデッキを考えました。その結果、今回デッキ枚数は42枚になっています。デッキの上限がないカードゲームでも、確率的にデッキは下限枚数に収めるのはセオリーとして思われがちですが、このデッキは破棄すると《相棒魔卿ジャバド》をトラッシュから蘇生できる《獄海男爵グラウゴール》を2枚入れているので、実質デッキの圧縮になっているんです。ちゃんと理由があれば41枚以上のデッキでもいいんだよという例が示せたのもよかったかもしれません。
―大会で記憶に残ったバトルはありますか?
フィーチャーマッチで配信で流れた準決勝のレモン選手とのバトルです。想定していた「獄契約」デッキのミラーマッチで、コンセプト通り《龍魔侯オーバーヴェルム》を2枚使ってデッキアウトまで持っていけたので、デッキの強さやおもしろさをしっかり伝えられたかなと思います。
―となると、本日のMVPカードを選ぶとしたら《龍魔侯オーバーヴェルム》になるのでしょうか?
実を言うと《オーバーヴェルム》自体は大会を通して勝ちにつながったバトルは少ないんですよね。このカードはあくまでミラーマッチで強いカードで、予選5回戦と本戦4回戦のうち「獄契約」デッキとは2回しか当たらなかったので。それ以外は本来の「獄契約」の強みを活かした、殴り勝つルートで勝っています。それでいうと《カウントドロー》はかなり優秀だったかもしれないですね。
―『契約編:界 第4章 界導』発売後の環境で思ったことは?
色々なデッキが構築次第で勝てるので、ずっと『バトスピ』を続けているなかでも今は良い環境だと思っています。今回優勝したスラ選手の「零契約」デッキだって誰も予想していなかったでしょうし、発売前は「造契約」、発売後は「冥契約」デッキも注目されていました。実際大会でもたくさんのおもしろいデッキとバトルできましたし、それで全国大会まで進出しているということは自信をもって強いといえるデッキなんですよね。そういうデッキがバリエーション豊かに存在しているというのはすごくいいなと思います。
―『契約編:真』で期待しているポイントは?
まだ情報がそこまで出ていないので難しいところですが、新ギミックが出るので、環境を荒らしてほしくはないですね。いくつか増える新しいデッキのなかから1個くらいが強くて、全体デッキ分布の5%とか10%くらいで環境に入ってくるくらいが個人的には理想です。1強環境ってやっぱり好ましくないというか、ユーザーもそこまで望まない形だと思うので「環境を変える」というよりも「新規テーマも勝てる」環境になればおもしろく遊べるんじゃないかなと。『契約編:界』も当初は「蒼契約」デッキの強力なハンドロックに手が出せないデッキが多くて猛威を振るっていましたが、「アイボウ突契約」デッキの流行や、自分もデッキに入れていた《オラクルVI オーバーラバーズ》などの対抗策が登場したことで構築次第で対処できるようになりましたし、今の楽しい環境をもうしばらく味あわせてほしいなというのがあえての期待ポイントですね(笑)。
―ずみ選手は『バトスピ』のYouTubeチャンネルをお持ちとのことですが、開設のきっかけなどはあったのでしょうか?
もともとYouTubeが好きだったのもありますが、チャンネルを開設した2020年頃は「バトスピ エクストリームゲーム」も始まったばかりで、まだまだ『バトスピ』YouTuberも少なくてというところで、あまりカジュアル目線の動画がなかったんです。そこで新規ユーザー、初心者のために「楽しく遊べるデッキがあるよ」と紹介する動画をやってみないかと、今のチャンネルの相方に話したのがきっかけです。
―動画コンテンツとして『バトスピ』を扱ううえで、楽しいポイントや難しいポイントはありますか?
デッキタイプの数があるだけ動画が作れるので、ネタが尽きないというのがいいところですよね。特に『バトスピ』はコラボカードもたくさん出ていて《アルケーガンダム》や《無幻魔人ジャグラス ジャグラー[ウルトラ怪獣2020]》のように注目しないと痛い目を見る強いカードもあるので、動画で触れられるのは楽しいところです。難しいところでいうと、カジュアルデッキを紹介するときに、勝つことを追求すればするほど構築が歪んでしまうので、どこまでガチ目線で作るか、どこまでのカードを採用するかというのは意識しています。また、対戦相手が使うデッキもあまりガチ過ぎるとカジュアルなデッキの魅力を紹介しきれないので、相手もコラボデッキを使ってもらうみたいな調整はしていますね。
―ホームにしているショップはありますか?
よく調整で集まっているのは熊本の「コミックランド」さんです。「遊ing」さんの大会にも出ていますね。特にコミックランドさんは、大会前の1週間は連日開店から閉店までずっと調整していたくらい良いショップです(笑)。来てくれたら高確率でいますので、一緒にバトルしましょう!
―アジア決勝進出の意気込みをひとこと!
繰り返しにはなりますが、自分は強さはもちろん、みんなを驚かせるような構築をしたいと思っています。アジア決勝でも何かしらおもしろいデッキを用意しつつ、とはいえそれで負けたらしょうがないので、みなさんの前に自信を持って出れるようなバトルをしたいです。また、自分のYouTubeチャンネルには海外の視聴者さんもいらっしゃるので、海外のバトラーにもさらに広がるような結果を残せるといいですね!
3月2日(土)・3日(日)に幕張メッセで開催されるバンダイカードゲームの総合イベント「BANDAI CARD GAMES Fest23-24 World Tour FINAL in JAPAN」で実施されるアジア決勝では、本大会の上位22名に、アジア各国の代表選手10名を加えた32名によるバトルが実施されます。世界に名を轟かせるバトラーが誰になるのか、こちらも楽しみにしておきましょう!
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