【FFTCG】「L3構築」で「反撃の雄たけび」がローテーションすることへの影響を考察!

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は7月28日(金)発売の新ブースターパック「英雄の夜明け」と入れ替わるかたちで「L3構築」で「反撃の雄たけび」が使用できなくなることの影響を考察します。

◆はじめに
みなさんこんにちは! 『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

さて、「英雄の夜明け」の発売を月末に控え、公式サイトのコラム「Card of the Week 今週の一枚」やユーザープレビューなどで、じょじょに新カードがその姿を現してきました。 非常にヒロイックなカードが多く、まさに英雄たちがもたらす新時代の夜明けを感じさせる内容に、今からわくわく心を躍らせています。

みなさんをわくわくさせるカードはすでに登場しましたか?

新しいブースターパックの登場は環境に大きな変化を与えますが、中でも特に影響が大きいのがL3構築です。 実にカードプールの約1/3が入れ替わり、これまで活躍してきたデッキがメタゲームから忽然と姿を消してしまうことも少なくありません。今回は「英雄の夜明け」の登場とともにL3構築を去る「反撃の雄たけび」のカードにフォーカスし、現在活躍しているアーキタイプのこれからについて考察していこうと思います。

それではさっそく始めていきましょう。


上位デッキから見るローテーションの影響
ではまず、「悪夢より来たる」環境でどのようなデッキが活躍してきたかを振り返ってみましょう。
今回参考にするのは、「日本選手権 2023 Spring」「日本選手権 2023 Summer」シーズンで優勝を収めたことがあるデッキです。
赤文字のカードが「反撃の雄たけび」のカードです。 

 

「火風土水【ウォーリアオブライト】」(「日本選手権 2023 Spring」千葉大会優勝 使用者:はら) 

カード番号 カード名 枚数
フォワード(27枚)
【19-128L】 《ウォーリアオブライト》 3
【18-111L】 《バッシュ》 3
【18-120H】 《ティファ》 3
【18-130L】 《フリオニール》 2
【19-107C】 《ヴァン》 2
【19-118L】 《ユウナ》 3
【19-120C】 《ガーネット》 2
【17-107R】 《アルフィノ》 2
【17-138S】 《ローザ》 1
【18-068R】 《リュック》 1
【19-057L】 《ケフカ》 3
【19-096C】 《ティーダ》 1
【19-103H】 《ティーダ》 1
バックアップ(17枚)
【18-016C】 《ルールー》 3
【19-042C】 《白魔道師》 2
【19-046C】 《ダチ》 3
【18-056C】 《ケットシー [XI]》 2
【19-068R】 《リディア》 3
【18-101C】 《レン》 1
【18-102C】 《ワッカ》 3
召喚獣(6枚)
【19-001R】 《イフリート》 1
【17-014R】 《バハムート》 2
【17-053R】 《チョコボ》 1
【19-064R】 《フェンリル》 2

「火雷【XIII】」(「日本選手権 2023 Spring」岡山大会優勝 使用者:居ないヒト) 

カード番号 カード名 枚数
フォワード(35枚)
【19-138S】 《ライトニング》 3
【18-013R】 《ファング》 3
【19-129S】 《ヴァニラ》 3
【19-136S】 《ノエル》 3
【19-137S】 《ホープ》 3
【19-135S】 《シド・レインズ》 2
【19-124L】 《ヤ・シュトラ》 3
【18-074L】 《ギルガメッシュ》 2
【18-137S】 《アラネア》 3
【19-005C】 《サッズ》 3
【19-122C】 《ザックス》 3
【19-131S】 《ファング》 1
【18-122H】 《ヴァニラ》 3
バックアップ(8枚)
【17-012R】 《ティファ》 3
【19-007C】 《ドッジ》 2
【19-076R】 《クジャ》 3
召喚獣(6枚)
【17-014R】 《バハムート》 2
【19-083R】 《ラムウ》 1
【19-130S】 《バハムート》 3
モンスター(1枚)
【19-081R】 《ベヒーモス》 1


●「火氷雷【VI】」(「日本選手権 2023 Spring」岐阜大会優勝 使用者:しらたま) 

カード番号 カード名 枚数
フォワード(29枚)
【19-016H】 《レーヴ》 3
【17-002L】 《エドガー》 3
【17-017H】 《マッシュ》 3
【17-030H】 《セッツァー》 1
【19-020H】 《ウーマロ》 2
【19-026H】 《ソーニョ》 3
【18-074L】 《ギルガメッシュ》 1
【18-137S】 《アラネア》 1
【19-079H】 《スエーニョ》 3
【19-124L】 《ヤ・シュトラ》 3
【18-116L】 《セフィロス》 3
【18-107L】 《アクスター》 3
バックアップ(16枚)
【17-020R】 《モンブラン》 3
【19-011C】 《ミユウ》 3
【19-029C】 《トオノ》 1
【17-034R】 《ハーディ》 2
【19-028C】 《ティナ》 2
【17-095C】 《クオン》 2
【19-076R】 《クジャ》 3
召喚獣(5枚)
【17-014R】 《バハムート》 3
【17-090R】 《イクシオン》 2


「氷雷」(「日本選手権 2023 Summer」高崎大会 使用者:ちょーぎょーじ) 

カード番号 カード名 枚数
フォワード(24枚)
【19-024L】 《セーラ [MOBIUS]》 3
【18-019R】 《ヴァイス》 3
【18-029R】 《ハイン》 2
【19-019R】 《ヴィンセント》 3
【17-096H】 《黒衣の男》 3
【17-091L】 《エクスデス》 2
【18-116L】 《セフィロス》 3
【19-082H】 《ライトニング》 3
【19-103H】 《ティーダ》 2
バックアップ(18枚)
【17-025C】 《ギルバート》 3
【18-018R】 《アルハナーレム》 1
【18-028C】 《ネロ》 3
【19-028C】 《ティナ》 2
【17-095C】 《クオン》 1
【18-077R】 《シド・ソフィア》 1
【19-076R】 《クジャ》 2
【19-084R】 《リチャード》 3
【17-094C】 《ガリークランのシド》 2
召喚獣(8枚)
【17-090R】 《イクシオン》 3
【18-084C】 《ラムウ》 2
【19-083R】 《ラムウ》 3


まずは、それぞれのデッキからカードプールを去るカードをピックアップしてみましょう。
 

 

「火風土水【ウォーリアオブライト】」:4種6枚 

 使用できなくなるカードはどれもデッキの根幹をなすカードではなく、バックアップに関しては「悪夢より来たる」環境と同様のものを今後も使用できるため、デッキの主軸となる動きには大きく影響がないように感じます。

とはいえ【19-128L】《ウォーリアオブライト》や【19-119L】《ウネ》と相性のよい【17-138S】《ローザ》がいなくなることで、デッキポテンシャルの最大値が下がり、これまでほど手が付けられない状況になることは減りそうです。

またデッキの受け札である【17-014R】《バハムート》と【17-107R】《アルフィノ》が失われたことで、アグロデッキに対して耐性が弱まった印象も受けます。特に後述する「火雷【XIII】」にデッキから失われる要素がほとんどないことを考えると、これらのカードを失う影響は少なくないでしょう。

【17-014R】《バハムート》と【17-053R】《チョコボ》の2種類の召喚獣を失うことで、バックアップ展開の要である【19-068R】《リディア》のバリューにも影響が出る可能性があります。

一見して1つのデッキタイプとしての体裁を損なうことはなさそうですが、「英雄の夜明け」環境では小さな変化で生まれたほころびを突かれ、これまでほどの絶対的な活躍は難しくなるのではないかと予想しています。(もちろんトップメタの一角であることに疑う余地はありませんが。) 

 

「火雷【XIII】」・・・2種5枚 


デッキを構成するパーツのほとんどが「カスタムスターターセット FINAL FANTASY XIII」に収録されている「火雷【XIII】」は、「反撃の雄たけび」のローテーション落ちの影響でデッキの根幹となるカードは失われることなく、次シーズンのトップメタの筆頭となることは間違いありません。 

使用できなくなる【17-012R】《ティファ》と【17-014R】《バハムート》はどちらも強力な除去カードですが、【17-012R】《ティファ》は必ずしもすべてのデッキリストに採用されている必須パーツというわけではなく、現状のカードプールにも採用圏内とされる選択肢がまだまだ残されていることを考えると、これらのカードが使えなくなる影響は微々たるものでしょう。 

そのうえ【17-014R】《バハムート》や【17-090R】《イクシオン》といった「火雷【XIII】」のストッパーの役割を担っていた召喚獣が環境を去ることで、カード単位でデッキを対策することが難しくなり、相対的にも強化を受けたデッキと言えます。 

非常に恐ろしいことではありますが、「英雄の夜明け」環境における「火雷【XIII】」はこれまで以上にメタゲームで存在感を発揮するデッキとなりそうです。 

 

 

「火氷雷【VI】」・・・8種19枚 


デッキの3割以上のカードが失われる「火氷雷【VI】」は「反撃の雄たけび」のローテーション落ちの影響をもっとも受けるデッキです。

フォワードの主軸となる【ジョブ(夢の三兄弟)】のパッケージは残っているものの、【17-002L】《エドガー》・【17-017H】《マッシュ》を中心とする【カテゴリ(VI)】の面々が軒並みカードプールを去ることで、アドバンテージ・パワーライン・除去力などの観点でフォワードのバリューが大幅に低下することは間違いありません。

また3属性デッキの足まわりを支えていた【17-020R】《モンブラン》・【17-034R】《ハーディ》や【19-011C】《ミユウ》のサーチ先である【17-095C】《クオン》を失うことで、「火氷雷」としての利点は大きく損なわれると言えます。

加えてデッキの強みのひとつである【17-014R】《バハムート》・【17-090R】《イクシオン》の2大召喚獣も失いもはや泣き面に蜂といった状況で、「英雄の夜明け」環境での活躍は非常に厳しいものであることは間違いないでしょう。 

 

「氷雷」・・・6種11枚 


 

「氷雷」は「火氷雷【VI】」ほどではありませんが、今回のローテーション落ちの影響が大きいデッキの1つです。

デッキの強みである【18-116L】《セフィロス》・【18-117H】《ライトニング》2種の多属性フォワードは残っているものの、バックアップから対コントロールで有効な【17-025C】《ギルバート》と、EXバーストを持ちアグロ耐性を高めてくれた【17-094C】《ガリークランのシド》、かつてL3構築最強のバックアップと呼ばれた【17-095C】《クオン》などデッキの足まわりとなる要素が大幅に失われる結果となりました。

また【17-096H】《黒衣の男》や【17-091L】《エクスデス》といったデッキのフィニッシャーに位置するカードも環境を去ることで、これまでとは違ったアプローチでデッキ構築を行う必要があると考えられます。

対「火雷【XIII】」の観点では【17-090R】《イクシオン》を失うものの、元のデッキ構造が「火雷【XIII】」に強いものなので、若干ガードこそ下がるものの大きく不利をとることはないだろうと予想されます。

またよい影響として「氷雷」が特に苦手としている【17-138S】《ローザ》が環境を去ることで、動きやすくなるカードが増えると考えられます。 幸い現在公開されている「英雄の夜明け」の新カードのなかにも今後の「氷雷」を後押ししてくれそうなカードが多く、次環境でも引き続き活躍を期待してよさそうです。 

 

◆属性ごとに見るローテーションの影響 

次に、退場するカードを属性別に考えてみましょう。

内訳としては火属性と雷属性の比率がもっとも高く、それぞれ5種類のカードが挙げられており、それに次ぐ形で氷属性の3種類と続きます
もちろんこれ自体は各デッキタイプのひとつの構築を例に挙げたものであり、統計をとれば結果はまた違ったものになると思いますが、1つの指標として「反撃の雄たけび」のカードプールは火・氷・雷属性に強力なカードが集中していたと考えることができます。

これらの属性はダメージによる除去や、ブレイク、ダル、凍結など盤面に干渉する能力の高い属性であり、前述の「火氷雷【VI】」のようなデッキが成立しなくなることで、除去コントロール系統のデッキが数を減らすことが予想されます。 また【17-091L】《エクスデス》、【17-025C】《ギルバート》がいなくなる影響で、ブレイクゾーンに対する抑止力が減ることも今後の環境に影響を与える要因になりそうです

風属性は一見するとそれほど影響を受けていないように感じますが、カード単位で見てみると【17-063R】《ルッソ》がいなくなるなどキャストギミックにまつわるカードに影響が出ています。 現在L3構築でキャストギミックを取り入れているデッキは【19-114L】《クラウド》などをゴールとする「風雷」ですが、【17-063R】《ルッソ》のほかにも【17-053R】《チョコボ》・【17-096H】《黒衣の男》、【17-102L】《謎の男》といったキャスト数を支えるカードが環境を去ることで、これまでのような活躍は見込めないのではないかと感じるのが正直なところです。

今回の結果で唯一カードが失われなかった土属性は、環境トップメタの一角である「火風土水【ウォーリアオブライト】」の中核をなす属性として活躍しており、そのほとんどが「力の復活」以降のカードであることが読み取れます。とはいえローテーションの影響をまったく受けないかといえばそんなことはなく、土属性のアイデンティティである【17-076H】《マトーヤ [I]》や【17-079L】《闇の王》といった全体除去が環境を去ることで、フォワード展開を主軸とするデッキはさらに動きやすくなりそうです。フォワード展開……? ん? 「火雷【XIII】」……?

「英雄の夜明け」環境では現在活躍しているほとんどのカードが引き続き活躍することが予想されるため、「火風土水【ウォーリアオブライト】」だけでなく、新たな土属性主軸のデッキが登場するのではないでしょうか?

水属性もそれほど大きな影響を受けていない印象がありますが、今回リストアップしたカードのほかに明確な弱体化として【17-113L】《グラセラ・ウェズエット》を失うことが挙げられるでしょう。

現在のメタゲームではそれほど高い使用率ではないものの、単体性能に優れ構築に縛られにくい汎用的な除去カードの喪失は、今後の水属性に小さくない影響を与えそうです。 現在水属性を採用している主たるデッキが「火風土水【ウォーリアオブライト】」であることを考えると、L3構築では引き続き補助的な立ち位置に落ち着くことになるかもしれません。 

 

◆まとめ
それでは、今回のまとめに入ります。

まず現在のL3構築で活躍している主なデッキのうち「火氷雷【VI】」以外のデッキは、「英雄の夜明け」環境でも引き続き活躍が見込めるとみて間違いないでしょう。 特に「火雷【XIII】」はデッキのポテンシャルが一切失われないまま環境自体も追い風傾向になるため、具体的な対策が確立されるまで環境の中心となることは間違いなさそうです。

「火風土水【ウォーリアオブライト】」はデッキの根幹となるカードには影響がないものの、展開を下支えするカードへの影響が少なくなく、そういった隙を突かれることが多くなりそうです。

「氷雷」はデッキの足まわりへの影響があるものの、「火雷【XIII】」が流行し「火風土水【ウォーリアオブライト】」がやや下火傾向にあることから、環境的な立ち位置は向上すると予想されます。

「英雄の夜明け」環境のL3構築はこの理解を起点に、それぞれのデッキにどういったカードが追加されるか? またこれらのデッキに太刀打ちするデッキは登場するのか?
がテーマとなってきそうです。いまだその全貌が明かされていない「英雄の夜明け」の新カードにも注目していきたいですね。


◆おわりに

今回は「英雄の夜明け」環境のL3構築に向け、環境を去る「反撃の雄たけび」のカードに焦点を当てた考察を行ってきました。
デッキタイプや属性によって大小はあるものの、これらのカードが環境を去ることの影響により、「英雄の夜明け」環境のL3構築はよりエキサイティングなものになるのではないかと感じています。

みなさんの予想はいかがでしょうか?

「英雄の夜明け」環境では9月2日(土)・3日(日)に開催される「L3 Championship 2023」が控えており、L3構築が盛り上がること間違いなしです。
こちらの記事でもそれにまつわるトピックを取り上げていこうと考えていますので、ぜひL3構築で盛り上がっていきましょう。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!