たるほの隙あらばデッキ語り ~「力の復活」ファーストインプレッション編~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターのたるほさんが「力の復活」環境で注目しているデッキやカードを紹介します。

◆はじめに
みなさんこんにちは! 『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。
12月9日に新ブースターパック「力の復活(Resurgence of Power)」が発売されました。久しぶりとなる多属性カードのほかにも、「力の復活」の名に恥じない強力な効果を持つカードが数多く収録されており、多くのプレイヤーがその新たな力を手にしていることかと思います。


今回はそんな「力の復活」でフィーチャーされている新能力「デジョン」および「多属性カード」にフォーカスしたデッキ、そして個人的に注目しているカードの紹介をしていきたいと思います。

それでは、久しぶりの「たるほの隙あらばデッキ語り」、始めていきたいと思います。

◆新キーワードアビリティ「デジョン」とそれをフィーチャーした「氷雷」デッキ
「力の復活」を象徴するのが新たなキーワードアビリティ「デジョン」の登場です。

まずは「デジョン」の仕様を確認しておきましょう。

「デジョン」は1つのフィールドアビリティと2つのオートアビリティからなる能力で、これを持つキャラクターは通常のキャストの代わりに手札からデジョンのコストを支払い、デジョンのうしろに記載されている数字と同じ数のデジョンカウンターを乗せた状態でゲームから除外できます。そして自分の第1メインフェイズの開始時に1つデジョンカウンターを取り除いていき、最後のカウンターが取り除かれたとき、オートアビリティによりフィールドに出ます。


フィールドに出るまでデジョンカウンターの数だけターンがかかるというタイムラグこそあるものの、強力なカードを破格のコストで使うことができる能力「デジョン」ですが、実際の対戦にどれほどの影響を与えるのか未知数と感じるのが正直なところです。そこでその使用感を確かめるべく作ったのがこちらのデッキです。

●デッキリスト「氷雷【黒魔道士デジョン】」

カード番号 カード名 枚数
フォワード(29枚)
【18-026L】 《テオドール》 3
【16-030L】 《シャントット》 3
【18-019R】 《ヴァイス》 3
【16-027C】 《黒のワルツ1号》 3
【18-073H】 《ガルーダ [III]》 3
【16-095H】 《ビビ》 3
【16-088L】 《黒のワルツ3号》 3
【14-122L】 《アルシド》 3
【18-116L】 《セフィロス》 3
【18-117H】 《ライトニング》 2
バックアップ(15枚)
【18-028C】 《ネロ》 3
【14-020R】 《イゼル》 1
【11-022C】 《イドラ》 1
【10-039C】 《ナグモラーダ》 1
【11-133S】 《ケットシー》 2
【10-086C】 《アルド》 2
【4-120R】 《レストリクター》 3
【16-104R】 《リーブ》 2
召喚獣(2枚)
【18-084C】 《ラムウ》 2
モンスター(4枚)
【16-038H】 《ビブロス》 2
【18-023H】 《コキュートス [VIII]》 1
【18-081H】 《メリュジーヌ》 1

今回のデッキのキーカードは「デジョン」のなかでも目玉カードであろう氷属性のレジェンド【18-026L】《テオドール》です。

コスト9で普通にキャストするのは骨が折れますが、フィールドに出たときに相手の手札を2枚捨てさせるオートアビリティと、相手の手札が2枚以下のときはパワー+2000・先制攻撃・ヘイストを得るという氷属性らしいフィールドアビリティを持つカードです。さらに「デジョン」でフィールドに出たときに手札を1枚捨てさせる効果があり、フィールドアビリティの条件をアシストしてくれます。


非常に強力な印象を受ける【18-026L】《テオドール》ですが、「デジョン」で出すうえでの勘所になるのが「どのタイミングがもっとも効果的なのか?」というところ。

これはそれぞれのカードの特性にもよるかと思いますが、【18-026L】《テオドール》については個人的に、バックアップを並べつつゲームの中盤以降でのデジョンを狙う展開がよいのではないかと考えました。

『FFTCG』はバックアップを並べて戦うゲームの性質上、ターンが経過するほど1ターンに使えるCPが多くなりますが、これは裏を返すとバックアップの少ない序盤は手札1枚の価値が相対的に高いため、初手から手札をコストにデジョンを使っても、デジョンの“時間と引き換えに少ないリソースで破格のアドバンテージを得る” という恩恵を十分に受けにくくなってしまいます

また、相手の視点では2ターン後に手札破壊が来るのであれば、そのターンに合わせて手札を使い切ってしまえば被害を最小限に抑えることが可能です。バックアップを展開するために手札をコストにしがちな序盤であればなおさらです。しかし、バックアップが並び始めた中盤以降は手札の還元先がフォワードに代わっていきます。そこに除去を合わせることで手札とフィールドの両方を攻め、こちらの優位な試合展開に持ち込もうと考え作ったのが、最速で「デジョン」を決めるのではなくバックアップ展開からの中盤での「デジョン」を狙うミッドレンジ型の「氷雷」です。

この「氷雷」では【18-026L】《テオドール》と相性がいいカードとして【ジョブ(黒魔道士)】シナジーを持つ【16-095H】《ビビ》、そして【16-088L】《黒のワルツ3号》を採用しています。

これらのカードは【18-026L】《テオドール》を回収し何度もデジョンを狙えるのはもちろん、【18-026L】《テオドール》による手札破壊を嫌がって相手が展開したフォワードを除去する手段になり、アドバンテージを獲得する手段が少ない「氷雷」の貴重なアドバンテージ源にもなるデッキの方向性に非常にあっているカードです。


また、このデッキにはもう1枚「デジョン」を持つカードが採用されています。それが【18-073H】《ガルーダ [III]》です。


【18-073H】《ガルーダ [III]》は現在登場している「デジョン」のなかでももっとも大きい「デジョン 5」のカードで、フィールドに出たとき【18-073H】《ガルーダ [III]》以外のお互いのフォワードをすべてブレイクするアビリティを持っています。強力であることに間違いはないものの5ターンという時間はあまりにも長く、自身のフォワードもブレイクしてしまうためかなり扱いの難しいカードという印象を受けますが、【18-026L】《テオドール》とあわせて2つの「デジョン」を同時に使うことで、相手の手札とフィールドを攻めつつこちらはフォワードを一方的に展開するというコンボを狙うことが可能です。

「デジョン」の強さの1つに、今回の【18-026L】《テオドール》+【18-073H】《ガルーダ [III]》のようにこちらのアクションが集中するターンを作り、相手が対処しきれない攻めを行なえる点があると思っています。これ以外にもさまざまな組み合わせで「デジョン」を活かすことができると思うので、これからさらに強い使われ方が開拓されていくアビリティだと思います。

◆新たな多属性カードをフィーチャーした「火水」デッキ
「力の復活」にはもう1つ、象徴的な要素があります。それが多属性カードの復活です。

多属性カードは「クリスタルの目覚め」で初登場した複数の属性をあわせ持つカードで、のちに続く「クリスタルの輝き」、「クリスタルの深淵」とあわせて3つのカードセットにわたってフィーチャーされ、当時のメタゲームにも多大な影響を与えました。「力の復活」で新たに登場した多属性カードも今後のメタゲームで目にすることは間違いないでしょう。続いては、そんな多属性カードでさらなる強化を受けたデッキをご紹介します。

デッキリスト:「火水【マギサ】」

カード番号 カード名 枚数
フォワード(32枚)
【12-017H】 《マギサ》 3
【5-024H】 《ルーネス》 1
【12-003R】 《アリゼー》 1
【12-004R】 《アルフィノ》 2
【12-015H】 《フォルツァ》 1
【14-010H】 《グツコー》 1
【12-111R】 《ヴェイン》 1
【13-125R】 《ユウヅキ》 3
【18-107L】 《アクスター》 3
【18-111L】 《バッシュ》 3
【18-128H】 《アシェラ》 3
【PR-108】 《スコール》 1
【10-004H】 《カイアス》 3
【2-126R】 《ギース》 3
【18-130L】 《フリオニール》 3
バックアップ(15枚)
【10-016C】 《モーグリ-2組-》 2
【13-006C】 《ザンデ》 2
【13-013C】 《パロム》 2
【18-014R】 《ミース》 3
【18-131S】 《イドラ》 1
【3-143C】 《レオノーラ》 3
【11-121C】 《ポロム》 2
召喚獣(3枚)
【12-002H】 《アマテラス》 3

「力の復活」で登場した多属性カードのうち、火属性を含む多属性のカードにはすべての組み合わせにコスト3のフォワードが存在します。火属性でコスト3のフォワードといえば、相性がいいのが【12-017H】《マギサ》です。


新カードのなかでも【18-128H】《アシェラ》は【12-017H】《マギサ》の相棒として注目しているカードです。

自分のターンのアタックフェイズの開始時に手札を好きな枚数公開し、火属性のカードを3枚以上公開するとフォワードに7000ダメージを与え、水属性のカードを3枚以上公開するとカードを1枚引くというオートアビリティは、【12-017H】《マギサ》に毎ターン継続したダメージを与え、盤面を展開するのにはうってつけです。


ダメージを与えるには手札に火属性のカードが3枚必要となるものの、実質的にコストを支払わず【12-017H】《マギサ》のアビリティを起動できるうえ、火属性を厚めに採用する必要があるデッキの方向性にも噛み合っています。今回はこの【18-128H】《アシェラ》の効果を活かすため、従来の【12-017H】《マギサ》デッキに多い「火単」ではなく、「火水」での構築を軸にデッキを考えてみました。

こちらも新カードの【18-107L】《アクスター》は【12-017H】《マギサ》とともに採用されるコスト3のフォワードとシナジーを形成するカードです。


コンセプト上、コスト3のフォワードを中心に構成されるデッキとの相性がよく、無理なく大ダメージを狙うことが可能です。また、多属性が多く採用されているこのデッキでは手札に引いたカードに必要な属性のCPが共有できず展開に詰まってしまうということも少なくありませんが、そういった場面でも【18-107L】《アクスター》は展開の補助をしてくれます。

唯一の欠点は【18-107L】《アクスター》がフィールドに出たとき【12-017H】《マギサ》をダル凍結してしまうことですが、もとよりフィールドに留まることで仕事をする【12-017H】《マギサ》は凍結による影響を受けにくく、【12-017H】《マギサ》がアタックしたのちに【12-017H】《マギサ》の効果でフィールドに出すなど、タイミングを工夫することでこちらへの被害を最小限に抑えながら運用することが可能です。

【18-111L】《バッシュ》は先述の2枚ほどデッキとのシナジーは高くないものの、【12-017H】《マギサ》自体をサーチすることができる貴重な存在であり、【13-006C】《ザンデ》や【13-013C】《パロム》など【12-017H】《マギサ》にダメージを与えるバックアップをサーチして後続を支えるなど、デッキに汎用性を与えてくれます。役割の近いカードである【12-004R】《アルフィノ》との比較として、多属性カードであるため【18-014R】《ミース》のアビリティで捨てることで【12-017H】《マギサ》をサーチできるなど、デッキの細部を補強してくれる他にはない強みを持つカードでもあります。


また「火水」ということで新カードから【18-130L】《フリオニール》を採用しています。


デッキとシナジーを形成する要素はあまり多くありませんが、アタック時にカードを引く効果は強力で、手札を捨てることで簡単にパワーを上げられるためダメージ除去への耐性や戦闘への適性が高く、1枚で完結した強さを持つカードという印象を受けました。今回の「火水【マギサ】」だけでなく、幅広い「火水」デッキで活躍すること間違いなしのカードなので、より【18-130L】《フリオニール》にフォーカスした構築を探ってみてもいいかもしれません。

ここで紹介した「火水」以外にも「氷雷」「土雷」「氷風」などポテンシャルを感じる多属性の組み合わせは多く、今環境ではさまざまな多属性デッキが登場することになると思います。

もしかしたら3属性以上でデッキを組むのが当たり前という環境になるかもしれませんね。

◆たるほのネクスト注目カードピックアップ!
ここからは、まだまだデッキにはなっていないけれど、個人的に注目しているカードを紹介していきたいと思います。

①【18-050L】《ユフィ》

「力の復活」ではパッケージも飾っている【18-050L】《ユフィ》。
野村哲也氏のサインを箔押ししたスペシャルカードはプレイヤーのみならずコレクターも垂涎の1枚ですが、カードとしてのポテンシャルも一級品です。

ヘイストフォワードでありながら、アタックしたときアクティブになり相手ターンの終了時まで相手の召喚獣やアビリティに選ばれない耐性を得ることができるため、攻守に優れたスペックを持つカードです。

相手のEXバーストなどでも対処できないためその堅牢さは見た目以上ですが、好きな数の相手のフォワードに24000ダメージを割り振れるスペシャルアビリティ「生者必滅」はこのカードの強さをさらに一段階上のものにしています。先行して走り始めたユフィは相手への強力なブロッカーになり反撃を許さず、守りを固めてくる相手に対しては受けを許さぬ除去カードとなります。【ジョブ(忍者)】は【11-060C】《マイナ》によるサーチや【11-045H】《エッジ》によるコスト軽減などの恩恵も受けやすく、新たな風属性のエースカードとして今環境の中心で活躍していくこと間違いなしのカードだと思います。

②【18-121L】《フラン》

個人的に毎回楽しみにしている伊藤龍馬さんの描き下ろしカード。
フィールドに出たときとアタックしたとき、手札からコスト4以下の【カテゴリ(XII)】のキャラクターをフィールドに出すことができる風/土属性のレジェンドカードで、効果自体は明確に強力なものの、これまで【カテゴリ(XII)】は「風水【空賊】」などが活躍していたため「風土」という属性の組み合わせがどれほどのバリューを発揮するかは未知数なところ。

特に相性のいい【カード名(バルフレア)】は、【18-121L】《フラン》にヘイストを与えられる【13-048H】《バルフレア》という印象ですが、【ジョブ(空賊)】のシナジーを考えると水属性も採用することになるでしょうか。「風土水」がどこまでデッキとして仕上がるのか、非常に関心のある1枚です。

 

③【18-103H】《エレナ》

1枚に4つのメリットアビリティを持った破格のスペックを誇る光属性のヒーローカード。
コスト1に着目すると【12-052H】《バッツ》や【13-043C】《スティルツキン》を持つ風属性や【12-082R】《ディアナ》でサーチしへイストを与えやすい雷属性、フォワードをアクティブにしやすい水属性などと相性がよさそうという印象です。光属性という性質上、すべてのデッキに採用できる可能性がありますが、はたしてもっとも適したデッキが一体どんな50枚になるのか、研究のしがいがあるビルダー向けのカードだと思います。

◆おわりに
今回は「力の復活」でフィーチャーされている「デジョン」と「多属性カード」の2つのギミックについて掘り下げたデッキアイディアと個人的な注目カードを紹介しました。

ここで紹介したカードたちは間違いなく強力であることを確信している一方で、正直まだまだ自分のなかで研究が足りていないという気持ちもあるため、今後の「MASTERS 22-23」などでより研究が進み、どんなデッキが登場してくるのか注目していきたいと思います。

今回紹介することができなかったカードのなかにもまだまだ可能性を感じているカードは多数あるので、さらに研究が進み自慢のデッキが完成したときに改めて紹介させていただくつもりです。

今後も引き続き「力の復活」の新カードを使ったデッキを紹介する予定ですが、次回はそのなかでも「MASTERS 22-23」後半戦の初期環境に影響を与えそうなデッキについて掘り下げていこうと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!