【FFTCG】今もっとも注目のデッキ!「土水カオスアーク」を深掘り!

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週はライターのたるほさんが、現在大活躍中の「土水カオスアーク」を深掘りします。

 

◆はじめ
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

先日の「世界選手権 2024」優勝者・はらさんへのインタビューはお楽しみいただけましたか?
2024年シーズンの大きな節目を終えて、2025年シーズン最初のタイトルとなる「第六期名人位決定戦」に照準を合わせているプレイヤーも多いかと思います。現在、全国各地でその予選大会となる「第六期 名人戦」が開催されていますが、そこでは現在あるデッキが飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せています。 

それが「土水カオスアーク」です。

約2年前のブースターパック「悪夢より来たる」で登場した【19-119L】《ウネ》とともに生まれたデッキでありながら「第六期 名人戦」ではすでに3大会を制すなど、過去最高クラスの活躍を見せています。

今回は「第六期 名人戦」の後半戦に向け、「秘められた伝説」環境のトーナメントシーンで目覚ましい活躍を見せている「土水カオスアーク」について深堀りし、みなさんと一緒にデッキの理解を深めていきたいと思います。

それでは、さっそく始めていきましょう! 

  


◆環境最前線の「土水カオスアーク」を学ぼう
まずは現在使用されている「土水カオスアーク」のサンプルリストを見ていきましょう。  

サンプルデッキ:「土水カオスアーク」(「第六期 名人戦」関東地区予選 優勝)  

カード番号 カード名 枚数
【メインデッキ】
フォワード(8枚)
【16-129L】 《カオス》 3
【19-119L】 《ウネ》 3
【19-120C】 《ガーネット》 1
【22-098H】 《セイレーン [V]》 1
バックアップ(18枚)
【1-107L】 《シャントット》 1
【11-072R】 《デシ》 3
【19-068R】 《リディア》 3
【18-055R】 《クルル》 1
【22-066C】 《召喚士》 2
【6-108R】 《イシュガルド教皇》 3
【20-123C】 《レポリット》 1
【21-109C】 《占星術師》 2
【1-177R】 《ユウナ》 1
【14-099C】 《エーコ》 1
召喚獣(23枚)
【19-105H】 《アーク》 3
【8-083C/1-117R】 《ヘカトンケイル》 1
【9-068H】 《ドラゴン》 3
【10-068C】 《クーシー》 3
【14-113R】 《リヴァイアサン》 3
【12-108C】 《レモラ》 3
【18-096C】 《リヴァイアサン》 2
【22-093R】 《アニマ [X]》 2
【9-114C】 《不浄王キュクレイン》 3
モンスター(1枚)
【19-094R】 《聖地のガーディアン》 1
【LBデッキ】
フォワード(8枚)
【22-122L】 《ティーダ》 1
【23-129H】 《ルナフレーナ》 2
【22-123R】 《レオ》 1
【22-118H】 《シャントット》 1
【22-119R】 《マート》 1
【24-118R】 《セルテウス》 1
【24-117R】 《ジタン》 1

今回参考にさせていただくのは、「第六期 名人戦」の開幕戦となった関東地区予選で優勝されたai_fftcgさんのデッキリストです。 召喚獣を主軸に据えた「土水」という土台の上に、その名のとおり【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》のコンボを搭載したデッキであり、デッキスロットの大半を召喚獣が占めるデッキ構造を【16-129L】《カオス》による相手フォワードのコントロール奪取で補うというシステマチックな構築が特徴的なデッキとなっています。 

 


◆3つのパターンから考える「土水カオスアーク」の大局観
そんな「土水カオスアーク」のプレイングの基本は、

相手の攻勢を耐える切り返して有利を確定させたうえで安全にアタックを通す

という、コントロールデッキの定石に沿ったお手本のような流れです。

ここでポイントとなるのが、いかに相手の攻勢を「耐える」のかということ。
仮想敵に応じての的確な耐え方を身につけることが「土水カオスアーク」を使いこなすための第一歩と言えるでしょう。

では、具体的に「土水カオスアーク」を使ううえで意識するべきプレイングがどういったものになるのでしょうか?
「土水カオスアーク」の仮想敵は、戦い方ごとに3つのパターンに分けて考えることができます。  

・耐えきれば勝てるデッキ(例:「カオスコンボ」)
・耐えたうえで切り返す必要があるデッキ(例:「火氷水【騎士】」「土単」)
・こちらから攻める必要があるデッキ(例:「火風土水【光の戦士】」)  

それぞれのパターンによって意識すべきポイントは以下のようになります。  

・耐えきれば勝てるデッキ→負け目を潰すことに注力する
・耐えたうえで切り返す必要があるデッキ→負け目を潰しつつ、盤面と手札を削り取るタイミングをうかがう
・こちらから攻める必要があるデッキ→相手の対応と自分の行動のリスク・リターンを考えプレイする

では、それぞれのパターンを具体的に解説していきましょう。  

まずは「耐えきれば勝てる」デッキについてですが、例として挙げているように現環境では「カオスコンボ」がこのパターンに該当します。
「カオスコンボ」には強力な勝ち筋として、ダメージを6点与えた状態から【23-117L】《カオス》のスペシャルアビリティ「フレアー」による直接ダメージがありますが、「フレアー」は使用するために自身のデッキをリソースにしなければならないため、相手のデッキが10枚を切るまでに受けるダメージを5点以下に抑えるという明確なゴールが存在します。


このようにデッドラインが明確なデッキに対しては、そこに到達しないことのみに注力していれば自然と勝利できるため、相手のクロック数を計算しつつ、その計算を崩してくるカードを対策していくことを意識しましょう。

対策カードを使用する際は、そのタイミングも重要になります。
代表的なのはブレイクゾーンを除外する【9-068H】《ドラゴン》の使用タイミングで、例えば【23-117L】《カオス》の1度目の「フレアー」で【22-087R】《雷神》がブレイクゾーンに落ちた場合、【22-087R】《雷神》がオートアビリティでフィールドに出るのにスタックして【9-068H】《ドラゴン》をキャストするのは一見効果的なプレイに見えますが、【9-068H】《ドラゴン》の解決後に2度目の「フレアー」から【22-087R】《雷神》がブレイクゾーンに落ちてしまう裏目が考えられるため、そこはあえて【22-087R】《雷神》をフィールドに出させてから【9-068H】《ドラゴン》でブレイクゾーンを除外し【22-087R】《雷神》にヘイストを得させないなど、より効果的なタイミングで使用していくことが重要になります。

ここからさらに一歩思考を発展させると、相手がそれを見越して【4-125C】《クリオネ》を置いてくる可能性があるので【23-129H】《ルナフレーナ》で【9-114C】《不浄王キュクレイン》や【10-068C】《クーシー》を探しておき、安全に【9-068H】《ドラゴン》をキャストできるよう意識したり、ダメージが5点以内に収まりそうな場合はあえて【9-068H】《ドラゴン》を打たないプレイをするなど、さまざまなパターンが考えられます。

すべてのパターンを網羅して説明することは難しいですが、カードをプレイするタイミングや手順の引き出しを自分の中で増やしておけば、より効果的にデッキのポテンシャルを引き出すことができるようになります。  

次に「耐えたうえで切り返す必要があるデッキ」ですが、これは「火氷水【騎士】」や「土単」が該当します。
「火氷水【騎士】」は「カオスコンボ」同様アグロに該当するデッキで、「6点ダメージ+【18-015R】《ラムザ》のアクションアビリティ」という勝ち筋がある点においてダメージを5点以下に抑えたいという条件は同じですが、「カオスコンボ」と違って「ここまで耐えればOK」という線引きがなく、また【18-034R】《ラスウェル》のような別の勝ち筋も存在するため、一度攻勢を耐えたうえでこちらから形勢逆転の一手を打ちにいかなければなりません。

具体的には、意識するポイントで述べたようにコンセプトである【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》で盤面と手札を削り、「火氷水【騎士】」側にゲームを立て直すだけのリソースを残させないプレイを心掛けていきたいところです。除去カード(【22-093R】《アニマ [X]》)+対策カード(【9-068H】《ドラゴン》or【14-113R】《リヴァイアサン》)を両方同時に構えて手番を返すというプレイも有効です。

このプレイを基本としながら【23-129H】《ルナフレーナ》などを絡めてできるだけリソースに差をつけつつ、ゲームの展開を切り返すことを意識したプレイをしていきましょう。

ここまでの2パターンではともに相手の攻勢を耐えながら逆転を狙うゲームプランを取っていくことになりますが、ゲームを切り返すタイミングではなるべくバックアップは3枚まで伸ばしておくのを意識するとよいでしょう。

というのも、ゲームを切り返すタイミングでは【16-129L】《カオス》や【1-107L】《シャントット》(【22-118H】《シャントット》も)といった奇数コストのカードを使用したり、【23-129H】《ルナフレーナ》+対策カード(【9-114C】《不浄王キュクレイン》or【9-068H】《ドラゴン》or【14-113R】《リヴァイアサン》)のような奇数コストの動きを相手にチラつかせてプレッシャーをかける状況が多くなるためです。

バックアップ展開の手順としては、対戦相手の情報がない先攻時は【19-068R】《リディア》+【1-177R】《ユウナ》のようなバックアップ2枚展開を基本とします。

対戦相手のデッキがわかった状況から始まる後攻時は、バックアップを1枚置きつつ、

・2ターン目の奇数コスト行動
・【16-042R】《ラスウェル》にバックアップを凍結された場合
・【23-117L】《カオス》に手札2枚を捨てさせられた場合

といった展開に対応するルートを考えていくのがよいでしょう。

さて、ここから解説する3つ目のパターンは「こちらから攻める必要があるデッキ」ということで、序盤の防戦が前提だったこれまでのパターンとはデッキの動かし方が変わってきます。

まず、なぜ「こちらから攻める必要があるのか」という点についてですが、これはEXバーストによる【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》のコンボパーツのサーチが期待できないためです。「カオスコンボ」や「火氷水【騎士】」は積極的にダメージを与えてくるためEXバーストの機会も多くなりますが、「火風土水【光の戦士】」は序盤から積極的に攻めてくることが少なく、EXバーストの機会がありません。

この場合、コンボパーツをサーチできる【6-108R】《イシュガルド教皇》や【11-072R】《デシ》などのカードを普通にキャストしていくことになりますが、これらのカードは汎用性が高いぶん、一般的なサーチ効果を持つバックアップに比べて実質コストが2CPほど重く設定されています。そのぶん一時的にリソースが減るため、【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》のキャストまで時間がかかってしまうこともあります。その間に相手にじっくり準備されてしまうといつまでたってもフィールドを掌握できません。コンボを有効に働かせるためには、こちらが攻め手に回って相手に対応を要求する必要があるというわけです。

具体的なカードで言うと【19-119L】《ウネ》と【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》で相手のバックアップ展開を阻害し、初動をくじくことを意識してプレイしていきましょう特に【19-119L】《ウネ》はバックアップ展開を阻害できるうえに生き残ると毎ターン手札が増え、除去されてもそのぶん相手の展開をさらに遅れさせることができるため非常に強力なカードです。

バックアップの展開についてもEXバーストによるリソースの獲得は期待しにくいため、しっかりと伸ばしていく必要があります。(といっても【6-108R】《イシュガルド教皇》や【11-072R】《デシ》をキャストするため自然に伸びていきますが……)。展開の手順については、先攻時はこれまでの2パターンと同様にバックアップ2枚でスタートしますが、後攻時は【19-119L】《ウネ》のコスト軽減を見越して召喚獣をコストとして捨てるため、手札を使い切るケースも考慮して展開していくのがいいでしょう。

さて、ここまで3つのパターンに分けてデッキの大局観を説明してきましたが、これらとは別に「土水カオスアーク」というデッキが持つ負けパターンについても触れておきたいと思います。

大きく考えられるものとして、

・ビッグアクションのあとで後続が用意できないケース
・デッキがなくなるケース
・フォワード切れで勝ち筋を失うケース

の3つが存在します。

「ビッグアクションのあとで後続が用意できないケース」は主に【22-118H】《シャントット》などで手札とLBデッキを使い切り、その後で後続となるカードを引けない場合に発生します。

「デッキがなくなるケース」は除去能力が高いデッキ同士がぶつかる「土水カオスアーク」のミラーマッチや、「火風土水【光の戦士】」などの【19-108L】《ジタン》で重要なカードを除外されデッキも減っていくことで起きやすい負け筋です。

「フォワード切れで勝ち筋を失うケース」は「デッキがなくなるケース」の流れに加え、「水単モンスター」や「火水モンスター」などにこちらの【16-129L】《カオス》を【15-118C】《ブルードラゴン》でかわされてしまい、有効なアタッカーが獲得できなかった場合などにも発生します。

こうした負け筋は思わぬかたちで現れますが、意識しておくことでケアできたり、それ以外のルートを考慮する材料になったり、「土水カオスアーク」と対面する場合もこれを知っておくことで相手に負け筋を押し付けられるので、ぜひ押さえておきたいポイントです。

 


◆「土水カオスアーク」の使いどころは?
「土水カオスアーク」は現在行なわれている「第六期 名人戦」でも非常に人気を集めているデッキのひとつで、これまで関東・九州・近畿の3つの地区予選で優勝を納めています。

まさに現環境の筆頭デッキと言っても過言ではない「土水カオスアーク」ですが、こうした活躍にはどういった背景があるのでしょうか?

最大の要因としては「カオスコンボ」、「火氷水【騎士】」といったアグロデッキの隆盛が考えられます

もともとEXバーストの多さが売りである「土水」という組み合わせはアグロデッキへの耐性が強いデッキでしたが、ミッドレンジ以外のデッキが多く存在する環境では今ほどの活躍は見せていませんでした。

ですが現在活躍しているアグロデッキは生半可な受け性能では太刀打ちできないほど強力なものが多く、また手札破壊やダル凍結からのリソースの回復手段としてもEXバーストを要求してくるため、メタゲームの上位は強力なアグロデッキvs潤沢なEXバーストをそろえたコントロールデッキという構造になっています

「土水カオスアーク」は後者のデッキに該当するわけですが、これと比肩して活躍しているコントロールデッキ「火風土水【光の戦士】」に対しても「土水カオスアーク」は有効です。

つまり「土水カオスアーク」が苦手とするデッキ群をその他のライバルが食っている状況こそが現在の「土水カオスアーク」の活躍を後押ししているというわけです。

このように、基本的に「土水カオスアーク」はアグロデッキが台頭している環境でこそ日の目を見るデッキですが、今後はこうした活躍を受け「土水カオスアーク」を仮想敵としたデッキが台頭してくることが予想されます。例えば単属性デッキでありながら豊富なEXバーストでアグロへの耐性も持ちつつ、【16-129L】《カオス》に対して【15-118C】《ブルードラゴン》という回答を持てる「水単」などは「土水カオスアーク」の対抗馬になるかもしれません。

しかし、さらにそれに対して「火風土水【光の戦士】」が勢力を盛り返し、それによってアグロデッキが再び隆盛……といった流れも見えるため、やはり現環境で「土水カオスアーク」は環境の中心となるデッキであり続けると予想します。大会に参加する際は対「土水カオスアーク」への意識配分を怠らないようにしたいところです。

 


◆おわりに
今回は「秘められた伝説」環境で躍進を続ける「土水カオスアーク」について深堀りしてきました。
これから行なわれる「第六期 名人戦」の地区予選や「第六期名人位決定戦」においても最注目のデッキのひとつなので、今回の記事で気になったという方はぜひ一度自分の手で触れてみてほしいデッキです。

これからも、こうした1つのデッキについて深く紹介する記事にも力を入れていきたいと思いますので、このデッキを紹介してほしいという方がいれば教えてください!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!