【FFTCG】環境を読み切った重コントロールで堂々の連覇 ~「第五期名人戦」中国・四国予選優勝者インタビュー~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「第5期名人戦」中国予選、四国予選を連覇したしらたまさんのインタビューをお届けします。

◆はじめに
皆さん、こんにちは!
『FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

新年に入り、「第五期 名人戦」の地区予選も折り返し、後半戦に入りました。
全国の強豪が次々に「第五期名人位決定戦」へ名乗りを上げるなか、2日連続での開催となった中国地区予選と四国地区予選では、関西の雄・しらたまさんが連覇という快挙を成し遂げました。

今回のインタビューでは、そんなしらたまさんに今の環境を騒がせている「土水カオスアーク」についてお話をうかがったので、そちらのもようをお届けしようと思います。

それでは、さっそく始めていきましょう!

 

◆「運命を超えて」環境に立ち込める暗雲、「土水カオスアーク」
――「第五期 名人戦」中国地区予選、四国地区予選の連覇おめでとうございます。

しらたま:ありがとうございます。

――2日連続での優勝は大きな快挙ですが、しらたまさんは両大会ともに「土水」を使用されています。召喚獣軸の「土水」はこれまでも活躍してきたデッキですが、今回どういった経緯で使用に至ったのでしょう?

しらたま:「土水」を使おうと思ったきっかけは、年始に「コスモキング(※大阪の寝屋川市にある、関西の『FFTCG』プレイヤーが集まるショップ)」で行われた調整会で、しーゆーさん(「第四期 名人戦」近畿地区予選優勝などの実績を持つ大阪のプレイヤー)が使っているのを見て、また対戦して非常に可能性を感じるデッキだったからです。

「運命を超えて」環境では「火氷水ウォーリアオブライト」をはじめ、採用される属性の多いデッキが活躍しており、そうしたデッキへの回答として【16-129L】《カオス》が有効で、また高コスト帯のバックアップが多いため【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》の刺さりやすい環境だと感じていました。どちらの要素も兼ね備えるデッキとして「土水」は非常に優秀なデッキであると感じました。

そこで自分でも「土水」を組んでみようとなったのですが、デッキリストについて詳しく聞いたわけではなかったので、「こんなカードが入っていたな」というイメージから自分で肉付けしていきました。

●デッキリスト「土水カオスアーク」(「第五期 名人戦」四国地区予選優勝 フォーマット:スタンダード)

カード番号 カード名 枚数
フォワード(16枚)
【9-063L】 《ガブラス》 1
【19-057L】 《ケフカ》 1
【21-074L】 《ネオエクスデス》 2
【20-117L】 《ユウナ》 3
【19-119L】 《ウネ》 3
【19-120C】 《ガーネット》 3
【16-129L】 《カオス》 3
バックアップ(17枚)
【7-069C】 《コルカ》 2
【18-055R】 《クルル》 1
【19-068R】 《リディア》 3
【11-072R】 《デシ》 2
【1-107L】 《シャントット》 2
【14-099C】 《エーコ》 2
【13-093H】 《サラ》 3
【6-108R】 《イシュガルド教皇》 2
召喚獣(16枚)
【10-068C】 《クーシー》 2
【9-068H】 《ドラゴン》 3
【8-083C/1-117R】 《ヘカトンケイル》 2
【15-082H】 《ヘカトンケイル》 1
【9-114C】 《不浄王キュクレイン》 2
【14-113R】 《リヴァイアサン》 3
【19-105H】 《アーク》 3
モンスター(1枚)
【18-089H】 《エキドナ》 1

※中国地区予選で使用したリストとは【15-082H】《ヘカトンケイル》→【19-057L】《ケフカ》が異なります。

――しーゆーさんのデッキから得た着想を元に、自分なりの「土水」を作り上げたと。実際しらたまさんのデッキにはこれまでの召喚獣軸の「土水」には見られなかったカードも多く採用されています。採用されているカードはどういった基準で決めていったのでしょう?

しらたま:「土水」というデッキを作るにあたり、まず採用を決めたのはデッキの基盤となる【13-093H】《サラ》と【7-069C】《コルカ》の2枚のバックアップと、そこからつながるフォワードの【19-119L】《ウネ》です。

――最近の「土水」では【20-075L】《セシル》を採用する構築も多いですが、召喚獣軸であれば【19-119L】《ウネ》のほうが自然ですね。

しらたま:また、これだけでは初手のキープ基準となるカードが少ないと感じたため、【19-119L】《ウネ》を引いている場合により強力なカードとなる【19-068R】《リディア》を採用しています。それぞれ属性の異なる【ジョブ(召喚士)】のキャラクターと召喚獣をサーチできるため、バックアップと【19-119L】《ウネ》のコスト軽減のためカードを同時にサーチできるのは強力です。

 そして【19-068R】《リディア》からつながるバックアップとして今回は【14-099C】《エーコ》を採用しています。これはしーゆーさんの構築から感銘を受けた要素で、土属性か水属性のうち【19-068R】《リディア》でサーチできなかったほうの召喚獣をサーチしてブレイクゾーンに置くことで、スムーズに【19-119L】《ウネ》を展開できます。また【19-105H】《アーク》をブレイクゾーンに送ることでデッキ内の闇属性の枚数を減らすこともできるので、後続のドローで闇属性を引きすぎてしまうという展開を避けやすいのもデッキにマッチしています。

 ブレイクゾーンに置いた【19-105H】《アーク》は【19-119L】《ウネ》や【18-089H】《エキドナ》、そして【14-099C】《エーコ》自身でも回収できるので、サーチカードとしての役割もしっかりと果たせます。枚数に関しては少し悩んだのですが、後述するバックアップのコスト面のこともあり、素引きしたときに足回りがよくなるよう2枚採用としました。

――確かに残るバックアップは【6-108R】《イシュガルド教皇》、【11-072R】《デシ》【1-107L】《シャントット》と重量級のカードが採用されています。

しらたま:【6-108R】《イシュガルド教皇》はコストこそ重いですが、【16-129L】《カオス》+【19-105H】《アーク》のコンボが決まれば、そのためにかけたコストを十分に還元できるだけのポテンシャルを持っているので、よりアクセスしやすくなるように採用しています。
【11-072R】《デシ》のサーチ対象はフォワードのみですが、コンボへアクセスしやすいように採用しました。
【1-107L】《シャントット》については、デッキの構造上序盤の展開でそのまま押し切られるのがつらいため、リセットカードは必須と考え採用しています。

 これらのカードはどれもバリューが高く、特に【1-107L】《シャントット》は3枚採用したいカードではあるのですが、ミラーマッチを想定すると採用しすぎることで隙を大きくしてしまうので仕方なく2枚採用に留めています。

――「土水」にとってどの召喚獣を採用するかは構築上のひとつのテーマになるかと思います。

しらたま:召喚獣についてはバックアップにスロットを割く都合により、枚数をそこまで多く採れなかったので結構悩みました。
まずデッキのコンセプトでもある【19-105H】《アーク》、汎用性が高く【21-121L】《ウォーリアオブライト》などにも強い【14-113R】《リヴァイアサン》、攻守で使うタイミングの多い【9-068H】《ドラゴン》。これらのカードの3枚採用は間違いないと考えていました。

 【9-114C】《不浄王キュクレイン》や【10-068C】《クーシー》も強力なカードではあるのですが、もうひとつのコンセプトである【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》を採用するスロットを考えると3枚採用は難しく、それぞれ2枚採用としています。
中国地区予選ではこの15枚だったのですが、大会後に構築を振り返った結果、四国地区予選ではさらに【15-082H】《ヘカトンケイル》を追加しています。


――【15-082H】《ヘカトンケイル》を追加で採用したのはどういった理由からでしょう?

しらたま:元々このスロットには展開力のあるデッキに対して強い【19-057L】《ケフカ》を採用していました。ですが、採用している召喚獣を見ていただければわかるとおり、このデッキは【19-057L】《ケフカ》でコストを踏み倒せる召喚獣があまり多くありません
中国地区予選では、【19-057L】《ケフカ》を出したはいいが撃つ召喚獣がないという状況が頻発したので、それなら全体除去の枚数を増やしたほうがいいだろうと考えた結果、【15-082H】《ヘカトンケイル》の採用に至ったという経緯です。

――【19-057L】《ケフカ》もそうですが、【20-117L】《ユウナ》が採用されているのもかなり印象的ですね。

しらたま:【20-117L】《ユウナ》の採用理由の半分は「使いたかった」というものなので、趣味枠です(笑)。ただ、カードの性能としてはとても強力でしたこのデッキは【19-105H】《アーク》のコストを支払わずにキャストする関係で、召喚獣をキャストしたとき誘発する【20-117L】《ユウナ》のオートアビリティによる1ドローが破格のバリューになります。【9-114C】《不浄王キュクレイン》のように【20-117L】《ユウナ》がいる状況でキャストするとリソースが増えるカードもあり、【20-117L】《ユウナ》にかけた5CPの回収が容易です。

また【16-129L】《カオス》が使いにくい「雷単」のような単属性のデッキは召喚獣による除去があまり多くないため、【20-117L】《ユウナ》の除去耐性が有効に働きやすいです。

もちろん全体除去に巻き込まれることはありますが、その場合は相手も相応のコストを支払うので損しにくいです。
ブレイクゾーンに召喚獣が貯まりやすいのでスペシャルアビリティ「ホーリー」も十分な出力になるうえ、手札に貯まった【19-105H】《アーク》も無駄なく使える還元先になるため、大会を通してかなり活躍してくれたフォワードでした。

 ――「運命を超えて」の新カードからは【21-074L】《ネオエクスデス》のみが採用されています。まだまだ未知数なカードという印象ですが、「土水」での使用感はいかがでしたか?

しらたま:【21-074L】《ネオエクスデス》の全体除去は強力な反面デメリットも大きいので、お守り感覚での採用でした。ただ【1-107L】《シャントット》などほかの全体除去にないメリットとしてモンスターを除外できる点、相手のフィールドのカードのみを除外できる点があり、これはゲーム終盤の詰めのタイミングで使うと非常に強力でした。特にモンスターを除外する効果は「氷土水モンスター」や「風単」などを相手にするとき、相手のフィールドを取りこぼさず除去できるので逆転の目を残さず攻め切ることができます。これまで触りにくい要素であったモンスターを対処できるようになったことは「土水」にとって大きな変化だと思います。

 ――もともとポテンシャルを秘めていた「土水」ですが、「運命を超えて」環境はデッキ自体の強化とポジションのよさという追い風になる要素も多かったみたいですね。

しらたま:そうですね。特にこの2日間はプレイヤーの意識が「火氷水ウォーリアオブライト」や「氷水グリーヴァ」といった速いデッキに向いていたと思います。実際、四国地区予選と同じデッキで翌週の東海地区予選にも参加しましたが、相手のプレイが明らかに【16-129L】《カオス》を意識したものになっていると感じ、戦いにくかったです。

――ただ、その東海地区予選でも「土水」は3位に入賞しています。

しらたま:そうですね。3位に入賞したたまごまんさんには、四国地方予選のあとデッキを貸して観戦しながらデッキについていろいろお話させていただいたのですが、東海地区予選ではみごとに使いこなしていましたね。以前の関東地区予選でもしどさんが2位に入賞されていましたし、決してポジションがよかっただけでなく、現環境でも戦えるだけのポテンシャルを持つデッキだと思います。

――そんな「土水」ですが、現時点でなにか弱点となるデッキは存在するのでしょうか?
しらたま:大会を通じて感じたのが、「火氷水ウォーリアオブライト」に対して意外と楽勝ではなかったなということでした。

当初の想定では【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》でバックアップをブレイクしつつ【1-107L】《シャントット》につなぐことで大きくテンポを崩して勝利できるとにらんでいたのですが、実際に対戦を重ねてみると【8-083C/1-117R】《ヘカトンケイル》を使う隙がなかなかなく、そのまま一度全体除去しても後続の【21-121L】《ウォーリアオブライト》につなげられてしまうことも少なくありませんでした

もちろん「土水」が「火氷水ウォーリアオブライト」に対して有効なデッキであるという認識は変わりませんが、ここは意外とギャップを感じた点でした。

――それに関しては「火氷水ウォーリアオブライト」も流石のポテンシャルといったところですね。中国地区予選と四国地区予選、みごと2連覇して挑む「第五期名人位決定戦」ですが、自信のほどはいかがですか?

しらたま:実は「第四期名人位決定戦」には参加できなかったため、自分にとっては久しぶりの「名人位決定戦」となります。なので今回はとにかく当日を楽しみたいという気持ちが強いです。それに加えて今回は久しぶりに「FFTCG13周年記念ファンフェア」が開催されるので、そちらも今から楽しみです。

先日、今回の「FFTCG13周年記念ファンフェア」に向けて「作品単構築戦」のルールが大きく変更されましたが、「作品単」は普段活躍しないデッキやカードが活躍する場でもありますし、この変更でどんなデッキが生まれてくるのか今からとても気になります。

どちらのイベントも自分にとってとても楽しみなものなので、全力で楽しめればいいなと思います。

――たしかに、せっかくのイベントは十二分に楽しみたいですよね! ありがとうございました。

 

◆おわりに
今回は「第五期 名人戦」中国地区予選と四国地区予選を連覇したしらたまさんにインタビューを行い、今もっとも熱い活躍を見せている「土水」についてお話をうかがいました。
デッキのポテンシャルを敏感に感じ取りつつ、ここぞという場面で勝ち切る感性はさすがの一言。
今一番勢いに乗っているといっても過言ではないしらたまさんの「第五期名人位決定戦」での活躍が今から楽しみですね。

躍進を続ける「土水」が今後どんな活躍を見せるのかも気になるところです。

といったところで今回はここまで。
今後も各地の「第五期 名人戦」の動向をお伝えしていければと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!