【FFTCG】相手を縛り上げ、そのまま制圧! 「運命を超えて」がもたらしたもう一つのアグロデッキ ~「第五期名人戦」関東大会優勝者インタビュー~

『FINAL FANTASY TRADING CARD GAME』の公式記事連載。今週は「第5期名人戦」横浜大会で全勝優勝を果たしたeurekaさんに、「氷水グリーヴァ」についてインタビューしました。

 

◆はじめに
あけましておめでとうございます!
FFTCG』公式記事ライターのたるほです。

新たな1年の始まり、みなさんはどんな目標を立てましたか?

僕は今年の目標に、

『FFTCG』のトーナメントで優勝すること。
『FFTCG』の記事のバリエーションを増やし、より多くのプレイヤーに楽しんでもらうこと。

2つを掲げることにしました。
プレイヤーとしてもライターとしても成長の1年にしていきたいと思いますので、今年もよろしくお願いします。

さて、そんな今年最初の記事ですが、おなじみのインタビュー記事をお届けします。
今回は「第五期 名人戦」関東地区予選で優勝されたeurekaさんに、「運命を超えて」環境のメタゲームで新たに頭角を現し始めた「氷水【グリーヴァ】」についてのお話を聞いてきました。

今後の予選大会でも注目必須のデッキとして、ぜひチェックしていってください。
それでは、さっそく始めていきましょう!

◆新機軸のコントロールで環境を席巻! 「氷水【グリーヴァ】」
――「第五期 名人戦」関東地区予選優勝おめでとうございます。
eurekaありがとうございます。

――今回eurekaさんは「氷水【グリーヴァ】」を使用して優勝されました。「氷水【グリーヴァ】」は「世界選手権 2023」で閣下(Kakka)さんが使用したり、前週に開催された東北地区予選でもちょーぎょーじさんが優勝するなど最近注目度が高くなってきたデッキタイプです。閣下さんの「氷水【グリーヴァ】」はeurekaさん謹製のデッキとうかがっていますが、まずは「氷水【グリーヴァ】」がどのようなデッキであるか教えてください。

eureka私は「氷水【グリーヴァ】」というデッキは、ゲーム序盤からこちらのビッグアクションで相手に手札を消費させリソースの限られた状況を作り、そこに手札破壊を合わせることで手札をコストにしたカードのプレイを許さず、こちらのフォワード展開を一方的に押し付けるデッキだと考えています。

デッキリスト「氷水【グリーヴァ】」(「第五期 名人戦」関東地区予選優勝 フォーマット:スタンダード)

カード番号 カード名 枚数
フォワード(36枚)
【21-027L】 《グリーヴァ》 3
【21-023L】 《アルティミシア》 2
【20-040L】 《ルーファウス》 3
【21-036H】 《ヤ・シュトラ》 2
【13-022H】 《シド・ランデル》 3
【19-024L】 《セーラ[MOBIUS]》 3
【16-042R】 《ラスウェル》 3
【13-023R】 《シャルロット》 3
【17-138S】 《ローザ》 3
【21-104C】 《賢者》 3
【14-111R】 《美神ラクシュミ》 2
【15-119L】 《ポロム》 2
【13-127H】 《チャイム》 2
【12-110L】 《ネオエクスデス》 2
バックアップ(5枚)
【20-025C】 《曲芸士》 2
【21-115C】 《ラーサー》 3
召喚獣(8枚)
【9-114C】 《不浄王キュクレイン》 3
【13-100R】 《リヴァイアサン》 2
【20-118H】 《ユニコーン》 3
モンスター(1枚)
【19-094R】 《聖地のガーディアン》 1

eureka;本来FFTCG』のセオリーではバックアップを並べアドバンテージを伸ばして戦うことが多いですが、このデッキでは序盤から【21-027L】《グリーヴァ》のアビリティで手札を捨てさせ、相手のリソースをロックした状態で戦うことを目指しています。 

またその補助として17-138S】《ローザ》や【21-104C】《賢者》で【21-027L】《グリーヴァ》をアクティブにしてアクションアビリティを複数回使うコンボを用意し、これらのカードを軸にデッキを構築しています。

 ――これまでeurekaさんが作ったさまざまなデッキについてインタビューをしてきましたが、フォワードの展開を先行させる今回の「氷水【グリーヴァ】」はこれまでのeurekaさんのデッキの印象とは少しスタンスが違うように感じますね。

eurekaFFTCG』に対して競技的に取り組むようになってからは、確かにこういったスタンスのデッキを使う機会は少し少なくなっていたかもしれません。ですが、本来自分はアグロデッキのようなフォワード主体のデッキを好むプレイヤーでもありました。

今回、デッキの原案となったのは「英雄の夜明け」環境の「日本選手権
2023東京予選でありかさん(「Standard Championship 2023」準優勝などの実績を持つ関東の強豪プレイヤー)が使っていた「氷水」です。このデッキは【20-040L】《ルーファウス》や【14-111R】《美神ラクシュミ》などアドバンテージを継続して獲得できるフォワードを初手からキャストしそのまま走りきるデッキでしたが、個人的に注目したポイントは【19-024L】《セーラ[MOBIUS]》と【17-138S】《ローザ》を採用し、相手の行動に追加のリソースを要求する動きでした。

「運命を超えて」では【19-024L】《セーラ[MOBIUS]》に次ぐアクションアビリティ要員となる【21-027L】《グリーヴァ》と【17-138S】《ローザ》、そしてさらにそれらに次ぐアクティブ要員となる【21-104C】《賢者》が登場したことで、この追加のリソースを要求する動きが強化されたと考え、発売前からアイディアを温めていました。

――閣下さんが「世界選手権 2023」で使用した構築はありかさんのデッキでも採用されていた【8-115L】《ジタン》や【21-122H】《天蛇将ルガジーン》などアグロ要素となるカードが採用されていましたが、今回のeurekaさんのデッキにはこれらのカードは採用されていないのでデッキの印象もガラっと変わったように感じます。

eurekaもともと閣下さんは「世界選手権 2023」へ持ち込むデッキをデッキA・デッキBともにアグロから選択するWアグロというコンセプトを掲げており、「氷水【グリーヴァ】」もその理念に基づいて考えていました。しかし「世界選手権 2023」や「第五期 名人戦」近畿地区予選で「火氷水【ウォーリアオブライト】」が活躍し周知された以上、それらを対策するためにEXバーストを厚く採用したデッキが流行するのは当然の流れです。特に「火氷水【ウォーリアオブライト】」に対して効果的な【14-113R】《リヴァイアサン》は、【21-122H】《天蛇将ルガジーン》型の「氷水【グリーヴァ】」にとっても天敵となるカードです。

 そのため関東地区予選で「氷水【グリーヴァ】」を使うためにはEXバーストで負けない構築を目指す必要がありました。そこで考えたのがアグロではない「氷水【グリーヴァ】」です。もちろん最終的に7点ダメージを与えて勝つことになるのですが、戦況的に勝ちが確定するまでリスクのあるアタックを仕掛けないことを念頭に置いたプレイを心掛け、EXバーストを有効に使わせないことを目指しています。

――【21-122H】《天蛇将ルガジーン》が採用されていた光/闇属性のスロットには【12-110L】《ネオエクスデス》が採用されています。

eurekaバックアップをほとんど採用しない「氷水【グリーヴァ】」は手札からコストを捻出することが基本になるため、CPを生み出せない光/闇属性は手札を圧迫するするリスクが高くなりがちです。【21-122H】《天蛇将ルガジーン》を主軸にした構築ではそのリスクも高かったため、構築を模索するなかで光/闇属性を採用しないかたちも検討していました。

しかし【21-027L】《グリーヴァ》は【21-115C】《ラーサー》を経由してキャストした場合、先攻2ターン目に【17-138S】《ローザ》や【21-104C】《賢者》をキャストするコストが足りないため、この課題を解決するためのカードが必要になりました。

それを解決してくれると考えたのが【12-110L】《ネオエクスデス》です。【12-110L】《ネオエクスデス》は生き残ることが勝利に直結するカードであることはもちろん、仮に対処されたとしてもお互いのリソースを大幅に削ってくれるため、後続となる【21-027L】《グリーヴァ》が登場するまでにバックアップが並ばず手札も消費しているという「氷水【グリーヴァ】」にとって理想的な状況を作り出すことができます。また環境的に「火氷水【ウォーリアオブライト】」の【18-107L】《アクスター》や「雷単」の【21-093L】《ザンデ》・【16-100L】《ヤ・シュトラ》といった除去のために複数体のキャラクターを要求するカードが多く、初手の【12-110L】《ネオエクスデス》に追いつく除去が少ないことも追い風で、【1-107L】《シャントット》のような全体除去に対しても2ターン以上タイムラグがあれば痛手にはならなかったため、メタゲームにピタッとハマった1枚でした。

 先ほど話した手札に重なるリスクも【21-115C】《ラーサー》でサーチできるようになったことで改善されており、先攻をとった際の初手の選択肢として非常に強力なカードでした。

――【12-110L】《ネオエクスデス》は登場当時も初手性能の高さを見込まれてこれを主軸としたデッキが開発されていましたが、依存度の低いサブプランとして採用できる「水氷」ではリスクを抑えつつ強みを活かせるのがいいですね。ここからは個別のカードの採用枚数とその理由についてお聞きしたいと思います。

eureka:デッキのコンセプトとなる【21-027L】《グリーヴァ》、【19-024L】《セーラ[MOBIUS]》、【17-138S】《ローザ》、【21-104C】《賢者》と【21-027L】《グリーヴァ》をサーチするための【21-115C】《ラーサー》についてはそれぞれ最大枚数の3枚採用としています。サブプランの【12-110L】《ネオエクスデス》は先ほど話したとおり過剰に引きすぎるリスクもあるため2枚採用に留めています。

また【21-027L】《グリーヴァ》や【12-110L】《ネオエクスデス》を守る避雷針の役割としてもっとも重要だと考えている【13-023R】《シャルロット》についても3枚採用です。

 ――【16-042R】《ラスウェル》、【20-040L】《ルーファウス》も3枚採用となっていますが、これらはアタックすることでより高いバリューを生むカードでもあります。ある意味でデッキコンセプトと相反するカードだとも感じますが、それを差し置いても採用する価値があるということでしょうか?

eureka20-040L】《ルーファウス》のカードパワーについては言わずもがなかと思います。たるほさんのおっしゃるとおり、デッキコンセプトとは相反するカードではありますが、現在の氷属性においては採用しない理由が見当たらないカードだと言えるでしょう。16-042R】《ラスウェル》についてもデッキコンセプトとマッチしているカードとは言いかねますが、デッキの重要なカードである【13-023R】《シャルロット》とのシナジーが強力である点と、代わる採用候補の【21-082C】《赤魔道士》などと比較したとき、総合的に優れた点が多いのは【16-042R】《ラスウェル》だと判断しこちらを3枚採用しています。

これらのカードはカード単体で評価しても強いというのはもちろんですが、【21-027L】《グリーヴァ》を使ううえで相手のフォワードをダルにできるという点も評価しています。これらはどちらもフィールドに出た段階である程度の仕事が見込め、そのうえでプラス要素としてアタック時にバリューがあるカードなので、コンセプト度外視で3枚採用としています。

反対に【21-036H】《ヤ・シュトラ》は【20-040L】《ルーファウス》同様、現在の氷属性のデッキで採用しない理由がないと考えているカードではあるものの、デッキコンセプトと相反するがゆえに2枚採用に留まっているカードです。強力な除去であることは間違いないのですが、基本的な除去は【21-027L】《グリーヴァ》で事足りるので、ゲーム終盤に速やかにゲームを終了させるためのヘイストとしての役割が大きく、最大枚数採用する必要性はないと考えています。

 ――2枚採用のカードといえば【21-027L】《グリーヴァ》からのサーチ先となる【21-023L】《アルティミシア》が2枚に留まっているのも目を引く要素です。

eureka21-023L】《アルティミシア》は初期こそ3枚採用していたのですが、さまざまなカードのスロットを検討していくなかで採用枚数を減らしていったカードです。というのも、基本的にこのデッキではかなり早い段階で【21-027L】《グリーヴァ》を定着させるため、1枚目の【21-027L】《グリーヴァ》が対処されるまでに【21-023L】《アルティミシア》を引ききってしまうということがほとんどないんです。もちろんゲームが長期化すれば【21-023L】《アルティミシア》をすべて引いてしまう可能性はあるのですが、逆に言えばそこまで【21-027L】《グリーヴァ》が生き残ってくれたのであれば、万が一【21-023L】《アルティミシア》が出せなかったとしても十二分な働きをしてくれたと言えます。なので、最大枚数採用する必要性は薄いと考え【21-023L】《アルティミシア》は2枚採用に留まっています。

 ――同じく2枚採用されたカードとしては【15-119L】《ポロム》や【14-111R】《美神ラクシュミ》もあります。これらも理由と枚数について教えてください。

eureka15-119L】《ポロム》も生き残ることで勝利がぐっと近づくという点で、非常にデッキと相性がいいカードです。特に現在の環境では【21-122H】《天蛇将ルガジーン》や【20-040L】《ルーファウス》、【21-036H】《ヤ・シュトラ》のようにコスト5以下で強力なアビリティを持つフォワードが多いため、【15-119L】《ポロム》のアクションアビリティの価値はメタゲーム的にも評価が高くなっていると考えています。ただこのカード自体はデッキのコンセプトに直結するカードではないため、プレイする優先度などの観点から他のカードにスロットを譲るため2枚採用に留まっています。


14-111R】《美神ラクシュミ》は先ほど話した原案のありかさんのデッキには3枚採用されていたカードですが、デッキコンセプトの捉え方の都合で私のデッキでは採用枚数を減らしています。ただ、原案でそうであったようにスタートプランの1つとしてとても優秀で、「氷雷」のような【14-111R】《美神ラクシュミ》を対処できない相手に対し1枚でゲームを決められるだけのパワーのあるカードでもあるため、3枚採用する構築もあると思います。

 ――汎用性の高いカードがスロットを争うなか、【13-022H】《シド・ランデル》のようなピーキーな性能のカードが3枚採用されているのも印象的です。

eureka13-022H】《シド・ランデル》は流行の中心である【21-121L】《ウォーリアオブライト》へのピンポイントメタカードとして採用しています。現在【21-121L】《ウォーリアオブライト》を使った構築の主流である「火氷水ウォーリアオブライト」では【13-022H】《シド・ランデル》に対する除去手段が【18-107L】《アクスター》のアタック時オートアビリティか【21-004L】《カイエン》のアクションアビリティを2回使う以外にないケースがほとんどで、そのどちらも実行までにタイムラグがあるうえ、過剰なリソースを必要とし、効率的な対処が不可能となっています。

長い回戦を戦うトーナメントでは事前に相手のデッキ内容がわかっていることもあり、相手のデッキがわかった段階で【21-115C】《ラーサー》から【13-022H】《シド・ランデル》をサーチすることでイージーウィンという試合も少なくありません。

12-110L】《ネオエクスデス》のときもお話しましたが、【21-115C】《ラーサー》という汎用性の高いサーチカードの登場で、対戦相手を見てからそのデッキへのカウンターになるカードをサーチして封殺するという戦い方が可能になったことが環境に与えている影響はかなり大きいんじゃないかと考えています。

 ――「氷水【グリーヴァ】」というデッキによって、これまで目に触れる機会の少なかったカードが脚光を浴びるようになった1つの例ですね。その意味では多属性カードの【13-127H】《チャイム》もようやく表舞台に立ったカードと言えそうです。

eureka実は【13-127H】《チャイム》は非常に強力なカードで、こと「氷水【グリーヴァ】」のミラーマッチではこのカードの有無が勝敗を分けるほど重要な役割を担っています13-127H】《チャイム》のオートアビリティは対戦相手のフォワードを2体選び片方を手札に戻し、もう片方をダル凍結にするというものですが、干渉できる範囲こそ広いもののゲームへの影響力は大きくなく、相手に出し直されるリスクまで考慮すると決して強力であるとは言い切れないものでした。しかし素のコストが大きく、動き出すまでにタイムラグがある【21-027L】《グリーヴァ》に対しては手札に戻すバウンス除去は非常に有効です。

そして【21-027L】《グリーヴァ》を使う側の視点に立ってみると、手札に戻したフォワードもダル凍結したフォワードも【21-027L】《グリーヴァ》のアビリティでブレイクゾーンに送れるため、組み合わせて使うことで強力な除去として運用できる強力なアビリティと捉えられます。CPを生み出すためにコストとして捨てる場合も多属性カードであることが活きるため「氷水グリーヴァ」においては非の打ちどころのないカードだと思います。

 ――バックアップはキーカードをサーチする【21-115C】《ラーサー》以外に【20-025C】《曲芸士》が採用されています。こちらはどういった狙いから採用されたのでしょう?

eurekaまず2属性のデッキということで【21-115C】《ラーサー》の対になる氷属性が捻出できるバックアップを採用したいと考えていました。候補としてコスト3のバックアップなども検討したのですが、基本的に奇数のアクションを取ることがほとんどなかったため、別のアプローチをとりたいと考えていたときに注目したのが【20-025C】《曲芸士》の持つバックアタックでした。

単純に相手ターンに相手のフォワードをダルにできるという点で【21-027L】《グリーヴァ》と相性がいいことはもちろんですが、バックアタックの強みは相手の行動を待ってキャストするか選べるという点にあります。「氷水【グリーヴァ】」は基本的に手札をコストにカードプレイしていくという話をしましたが、プレイの指針として手札をオールインしてフィールドを作る場合と、手札を維持して次のアクションに備える場合の2パターンからプレイの取捨選択を行なっていくのが基本となります。

バックアタックを持つ【20-025C】曲芸士は相手ターンまでアクションを構えつつ、特にアクションがなければフィールドにカードを展開するという第3の選択肢であり、「氷水【グリーヴァ】」というデッキにとてもフィットしていました。

 ――手札を維持して次のアクションに備えるという点では召喚獣の重要性も高そうです。このデッキではコスト2以下の召喚獣のみが採用されていることからも、手札をコストにして使う前提の取り回しのよいカードのみが採用されているという意図がうかがえますね。

eureka基本的に21-027L】《グリーヴァ》+【17-138S】《ローザ》のコンボはフィールドに出ているカードからとれる行動が逆算されてしまうので、そこから計算を狂わせられる見えない選択肢となる召喚獣はデッキの重要な要素になると考えていました。

フォワードのアビリティを失わせる【9-114C】《不浄王キュクレイン》は【15-119L】《ポロム》同様に現在のメタゲームで活躍する効果を持っています。【13-100R】《リヴァイアサン》は【21-027L】《グリーヴァ》・【12-110L】《ネオエクスデス》を除去から守ってくれます。なにより【20-118H】《ユニコーン》は基本的に【21-027L】《グリーヴァ》や【19-024L】《セーラ[MOBIUS]》のアクションアビリティを使いつつ、状況次第では【21-027L】《グリーヴァ》と合わせ実質的に除去として機能させるなど多種多様な使い方が可能で、特に活躍してくれたカードです。

――それぞれのカードがしっかりとかみ合い、1つのデッキとしてのポテンシャルを高めてくれていると感じますね。関東地区予選での「氷水【グリーヴァ】」はメタゲーム的にはどういった立ち位置にいたのでしょうか?

eureka最初に話したとおり、現環境は「火氷水ウォーリアオブライト」などの活躍からEXバーストに意識が寄っている環境だったという予想は当たっていたと思います。実際トーナメントでは「雷単」と2回対戦しましたが、この対戦はコンセプトどおりにEXバーストのリスクを負うことなくゲーム進行ができました。

――1つ気になるのが、対「火氷水ウォーリアオブライト」との相性関係です。環境の中心であるこちらのデッキとのマッチアップについてはどういった認識をされていますか?

eureka個人的にこのマッチアップは【18-125H】《オニオンナイト》の有無が勝敗を分けると思っています。【18-125H】《オニオンナイト》は【21-027L】《グリーヴァ》を手札に戻して強いのはもちろん、【12-110L】《ネオエクスデス》に対してもフィールドにキャラクターを残しながら【12-110L】《ネオエクスデス》を対処できるため有効な除去になりえます。

「世界選手権 2023」で活躍していたタイプの「火氷水ウォーリアオブライト」にはこの【18-125H】《オニオンナイト》が採用されていたものの、近畿地区予選以降で主流になってきたミッドレンジ帯を意識した「火氷水ウォーリアオブライト」には【18-125H】《オニオンナイト》の採用が見送られるケースも多いため、直前の結果も踏まえて関東地区予選では「氷水【グリーヴァ】」側が有利なポジションについていたのではないかと考えています。

 ――東北地区予選、関東地区予選と連勝したことで、次回以降はメタゲームでも意識される側になることが予想されます。そういった意味では使用タイミングも相まって関東地区予選のベストデッキでしたね。

eureka正直、今回デッキを使ったタイミングは本当にベストだったと思います。「世界選手権 2023」時点ですでにデッキは確立されていたものの配信で人目に付くことも少なく、東北地区予選で結果を出してから世に周知されるまでほとんど時間もたたなかったことで、正しく対処されることが少なく、世間に知られていないという強みを存分に発揮することができました。個人的に今環境で特に調整を重ねてきたデッキでもあったので、今回こういった結果につなげることができたのはとてもうれしく感じています。

――では最後に「第五期名人位決定戦」に向け目標などあればお願いします。

eureka:2023年は、自分が作ったデッキこそ活躍してくれたものの一プレイヤーとして思うような成績を残せない一年でしたが、最後の最後でしっかりと勝つことができて本当によかったです。次回参加するトーナメントまで少し時間が空いてしまうので、一旦しっかりと休憩し、「第五期名人位決定戦」ではベストなデッキを作り持ち込みたいと思います。

――ありがとうございました。


◆おわりに
今回は「第五期 名人戦」関東地区予選をみごと勝ち抜いたeurekaさんにインタビューを行ないました。
隅々まで練り上げられたデッキで環境を席巻する様は、eurekaさんの2023年の集大成となる結果だと言えるでしょう。
ぜひ「第五期名人位決定戦」でもこの勢いのまま勝ち進んでもらいたいと思います。

2024年の顔となる「第五期名人位」には誰が就くのか、引き続き注目していきたいと思います。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!